あらすじ
第六天魔王・信長の首、頂戴つかまつる!
元亀元年(一五七〇)六月二十八日(新暦七月三十日)、浅井・朝倉勢と織田・徳川勢が激突した姉川の合戦が、弓の名人・与一郎の初陣だった。父・遠藤喜右衛門が壮絶な戦死をしてから三年、家督を継いだ与一郎と、郎党の大男・武原弁造は、主君・浅井長政率いる四百の兵とともに巨大な山城・小谷城の小丸に籠っていた。まさに風前の灯だった。長政には、信長の妹で正室の於市との間に、五歳の長女・茶々以下三人の女子があり、於市ら四人を織田方に投降させるという。だが、十歳の万福丸と乳飲み子の万寿丸は、信長とは血の繋がりがない。信長は決して男児を許すまい。万福丸を連れて落ち延びよ。主命とはいえ、浅井家が果てようという時に、自分一人生き残るなど、与一郎には、及びもつかない。だが、死にゆく主人から嫡男を託されて、古風も美意識も矜持も吹き飛んだ。浅井家再興がなるまで守り抜く。与五郎と改名させた万福丸を弟に仕立てて、小谷城脱出を決行する与一郎。供は、元山賊の頭目・武原弁造ただ一人。天正元年(一五七三)旧暦八月二十八日未明、三人は敦賀を目指して出立した。
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三河雑兵シリーズでお馴染みの作家の、浅井長政筋の武士を描いた新シリーズ第1巻。
三河雑兵シリーズも私に取って、必ず読みたくなる面白いシリーズだが、立場を変えての新シリーズ。
どんな展開になるのかと、ドキドキしながら読み始めた。
浅井長政が信長の怒りによって滅ぼされるところから話は始まる。
負け組の武士なのだ。
長政とお市から万福丸という10歳の嫡男を逃すことを願われる主人公、遠藤与一郎。そして山賊上がりの従者、武原弁造。
早くも秀吉も登場。2巻が今から楽しみだ!
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井原さんの作品は3シリーズ目。『三河雑兵心得』が面白くて続けて読んでいるので、こちらも読んで見た。
『北近江合戦』と狭い範囲なので姉川の合戦と小谷城の合戦くらいかと思ったが、もっと幅広いようだ。主人公の遠藤与一郎と部下で山賊出身の弁造が良い。三河雑兵では茂兵衛一人の活躍だが、こちらは二人。
遠藤与一郎は主君の浅井長政より、嫡男の万福丸を逃す役目を追う。史実を思い出すと、皆んな殺された筈、と思って読み進めると矢張り悲惨な結果。復讐に燃えた与一郎の働きが素晴らしい。
1作目では意外な方向に進んで行った。まだまだシリーズは続くようだが、どこに向かって行くのか興味深い。
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新しいシリーズ始めます。このシリーズは本当に読みやすくて好き。浅井長政との約束を果たせなかった与一郎。けじめをつけて、この先どう展開するのか楽しみです♪
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新たな戦国シリーズ。今回の主人公は浅井麾下の名門若武者。支配層を描く物語は多いのでその点では特徴は薄いが、今回は浅井残党の復讐、そして足軽からの再出発を描く点が面白い。
三河雑兵シリーズと同様、弾むような会話のテンポが心地よい。与一郎・弁造主従の身分を超えた関係性も良い。第1巻の本作は浅井長政の遺児・万福丸の庇護と裏切り、仇討ちを一気に描く。最後に秀吉に仇討ちを諭され、次作でどうなるか。仇討ち譚も面白いが、諦めて於弦との恋も成就してほしい気持ちもある。
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新たな心得シリーズは、姉川の戦い後、敗軍の将・浅井長政の家臣、遠藤与一郎と郎党・弁造が主役という、最初からハラハラさせる設定。与一郎らが、小谷城から長政の長男・万福丸を一時は敦賀に落ち延びさせたが、於市の方の手紙が要因で織田方へ投降。万福丸は獄門首になり果ててしまう。そこから与一郎の復讐が始まる。織田方の足軽となり、万福丸の首を刎ねた安達佐兵衛は仕留めたが……。羽柴秀吉が終盤与一郎の前に現れ、復讐は意外な方向に向かいそう。戦国時代も面白いな~
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浅井家に仕える遠藤与一郎は小谷城落城に際し、浅井長政の嫡男万福丸を脱出させる密命を負う。
弓の名手であり、美男、鎌倉時代から続く名門である遠藤家の嫡男の冒険が始まる。
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感想
お市は秀吉を嫌っていたはずでは!?まぁ、フィクションだからいいか。
あらすじ
弓の名人、遠藤与一郎は浅井家の重臣。浅倉に組したことで織田家から攻められる。不利な状況になりつつも与一郎は長政を支え続ける。
浅井は滅亡したが、与一郎は長政より次男の万福丸を任され、敦賀の乳母の嫁ぎ先の木村家を頼る。お市から連絡で、信長の起請文をもらい、小谷城に万福丸を連れて投降するも、安達という足軽大将に万福丸を殺されてしまう。
与一郎は万福丸の晒し首を奪い取り、荼毘にふす。その後、信長を討つために織田家の足軽募集に家来の弁造と仕官し、家中に潜りこむ。まずは万福丸を討った安達を誅殺する。その後、お市に呼び出され、幼馴染の片桐が匿っていた万寿丸を担いで、浅井家の再興を目指すことを秀吉と約束する。