あらすじ
お前なら、きっと本を取り戻せるはずだ。
幸崎ナナミは十三歳の中学二年生である。喘息の持病があるため、あちこち遊びに出かけるわけにもいかず学校が終わるとひとりで図書館に足を運ぶ生活を送っている。その図書館で、最近本がなくなっているらしい。館内の探索を始めたナナミは、青白く輝いている書棚の前で、翡翠色の目をした猫と出会う。
なぜ本を燃やすんですか?
「一番怖いのは、心を失うことじゃない。失った時に、誰もそれを教えてくれないこと。誰かを蹴落としたときに、それはダメだと教えてくれる友達がいないこと。つまりひとりぼっちだってこと」
ようこそ、新たな迷宮へ。
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Posted by ブクログ
前作 『本を守ろうとする猫の話』
林太郎から主人公が変わっていました。
ワクワク ドキドキ。
林太郎と沙夜が夫婦になっていて・・・
つながってた。
七海は、とても勇敢でした。
少しずつ強くなる様子が良かった。
やはり、“1人じゃない”ということが人を強くさせるなと思った。
「忘れるな。目に見えるものがすべてではない。大切なものは、いつも心の中にある。」
王の言葉にドキッとしたし、目が覚める感じがした。
Posted by ブクログ
前作からの登場人物も登場して和む一方、
より、夏川さんからのメッセージの強い作品だと感じた。
灰色の男はどこからともなく現れて、
入り込んでしまう。こと大人には。
入り込まれていないか?
人を思う気持ちを忘れていないか?
振り返り、立ち止まりながら本と向き合い続けよう、
本を読む仲間を大切にしよう、
そう、強く思った。
こんな時代だからこそ「本の力」が必要なのかもしれない。
Posted by ブクログ
「本を守ろうとする猫の話」の続編。
主人公はナナミという喘息持ちの女の子。前作の林太郎と同様、喋るトラネコに導かれて、本を盗んでいく男を追いかけ、不思議な本棚の奥の世界に足を踏み入れる。
昔から愛されている名作を、人間の世界から排除しようとする男たちとの対話を通して、本が人に与えてくれるものを訴えるナナミの姿は、強くて凛々しい。
喘息のために激しい運動ができず、普段の生活でも気をつけなければならない不便さを抱えながらでも、本を通してこんなに強い人になれるのだと、ナナミ自身が証明している。
その姿に、同じ本好きとして勇気をもらった。
前作の主人公・林太郎と、林太郎と行動を共にした沙夜がまた登場しているのも嬉しいサプライズ。
今回も、前作とは違う視点で、本との付き合い方を見つめ直すきっかけをもらえたお話でした。
Posted by ブクログ
「自信に満ち溢れた態度に、容易に身を任せてしまう。自分自身が積み重ねてきた真実を放棄してしまい、考えることそのものをやめてしまう」大人は責任をもって、自ら判断し、自ら行動しなくてはいけないんだ。「一人で生きているわけじゃない。だから困ったときは、いろんな人の力を借りればいい。そして、借りた分は、いつかどこかでまた返せばいい」「一番怖いのは、心を失った時に、誰もそれを教えてくれないこと。誰かを蹴落としたときに、それはダメだと教えてくれる友達がいないこと。つまりひとりぼっちだってこと」わたしも本が好きだ!
Posted by ブクログ
本を愛する作者が書く、本を愛する少女の冒険
「本を守ろうとする猫の話」から、数年後の新たな主人公のお話。
「本を守ろうとする猫の話」でも感じたが、作者の夏川草介さんの本に対する愛情が感じられる。
悪意なく本から離れる人の心を灰色の男と表現し、読書から離れる人への嘆きとも取れる物語と感じた。
夏川草介さんの表現が美しい。
『己の欲望を追求し、より多くの富を貯め、より多くの快楽を手に入れる。そんな風に欲望のままに生きることが「自由」と言われる時代だ。そうでない時代もあったのだよ。欲望をコントロールし、欲望から自由であることこそが、真の『自由』だと定義された時代もあった。』
ここは考えさせられる一文だった。