【感想・ネタバレ】天切り松 闇がたり 第四巻 昭和侠盗伝のレビュー

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第三夜「王妃のワルツ」嵯峨浩と愛新覚羅溥傑の話が好きだった。

浩は栄治兄ィのファンで憧れていた。女子学習院の黄不動ファンクラブ秘密結社のリーダーだった。

しかし、愛新覚羅溥傑に嫁ぎ満州国へ行くことが決まっていた。
愛新覚羅溥傑は満州に妻がいたが、浩と結婚するためにその妻を捨てなくてはならなかった。浩もまだ人を愛したことがなかった。この二人は国に「理不尽」な結婚させられる。

嵯峨浩は嫁ぐ前に栄治と恋愛がしたいと松蔵へ頼んだ。舞踏会の時に栄治兄ィが現れ、舞踏会を楽しむ。栄治兄ィの腕を引っ張って逃げようとしているところを溥傑にみられる。

そのときの溥傑の誠実なことばを聞き、浩は逃げるのをやめる。
「ですから私に残された方法は、浩さんを心から愛することだけなのです。よろしいですか、浩さん。もしあなたと私が愛し合えば、投法子は何もない。理不尽はない。それが私の抵抗です」

そのあとの栄治さんのことばもいい。
「おひいさん。あんたは果報者だぜ。こんな立派な男に見込まれたんだ、もう二度とわがままを言っちゃならねえ。さぁ、舞踏会に戻りな。殿下は、俺なんぞよりずっとダンスがお上手だ」

すまけいさんの解説を読んで1〜4まで振り返れた。「どんなやぶれかぶれの世の中だって、人間は畳の上で死ぬもんだ」という台詞は本当に凄い。「やせ我慢で貧乏で妥協することが嫌い」そんなキャラクターばかりこの作品に出てくる。すごくよかった。

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2012年01月07日

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解説すまけい氏。 亡くなっているのか。。

松蔵の独り立ちした姿も読みたいが、そうすると親分たちがもういないわけで。。 悩。。。

常兄は『ジョーカーゲーム』を思い出す。
実際に起こった事件。
近代以降の方が歴史がなじみがない。。

おこん姐さんは、以前から言われてはいたが恋愛に関して凄く純情だとわかる話。

栄治兄も親分も格好よく、全員のエピソードが入った1冊。

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2016年05月17日

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天切り松闇がたりシリーズ4.
昭和侠盗伝(目細一家のお手並みオンパレード、3つの勲章×東郷平八郎!)/日輪の刺客(相沢事件、×相沢三郎×永田鉄山)/惜別の譜(相沢の妻、相沢の処刑まで)/王妃のワルツ(黄不動の栄治×嵯峨浩×愛新覚羅溥傑)/尾張町暮色(振袖おこん)

この1冊は、実在の歴史上の人物や事件、出来事を絡めたものが主流だったな。相沢事件もあらためて調べなおしたりした。嵯峨浩さんの半生も、あたらめてべつの伝記でも読んでみたいなあ。お写真検索すれば出てくるけど、ほんとに美人。
昭和侠盗伝は、3巻までに、一家それぞれのキャラや仕事分野を描いておいて、それをふまえて読むと、もう、映画のようだ。でもこれは、必ず先に3冊ぶんの流れを読んでないと、味わえないとこだよね。

なんか、ルパン一家みたいに、キャラの特性も年齢も動かないままパターンの違う事件だけが起こるんじゃなくて、時代がちゃんと動いていって、だんだんみんなが老いていってるもんな、そうそう長く続くシリーズじゃないのかもな。。。これの次まで手元にあるので、5巻、ライムライト、心して読もう。松蔵は青年になってきたけど、次くらい、そろそろ虎弥はけっこうな歳になるかなあ。。。。

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2014年08月04日

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江戸末期~昭和の近世を舞台にした小説は、本当に浅田次郎の真骨頂ですね。
らしさが出ています。天切り松 闇がたりシリーズの最終巻です。

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2013年04月10日

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いつの間にか浅田次郎が「好きな作家」になっていた(笑)。

さて、シリーズ第4弾。当初10歳前後の小僧っ子だった“天切り松”も、はや20代の後半。親分、兄貴たちもそれぞれ歳を重ねているのも、趣がある。

今回は、太平洋戦争にひた走る軍部の闇が、市井の人々の目にどう映っているのか、“先の大戦”やら“日露戦役”等の戦争を経験している者たちが、破滅に向かって突き進む日本に憤る様にページを多く費やされていた。

タイムリーにも、船戸与一が同じ時代を描いた長編を読んでいる最中だったため、歴史に疎い自分にも時代背景がよく見えてきて、読みやすかった。

★3つ、7ポイント半。
2018.05.03.古。

相沢事件や二二六事件等、軍部周辺では非常におかしな空気が充満している日本。大陸では(前述の)「満州国演義」に描かれるような謀略が行き交うきな臭いことこの上ない時代。
政治の思惑を振りかざし軍部の内でも権力闘争や武力行使が日常茶飯事で・・・・、支那の大地では不毛な作戦に投じられた若い命が無残に散る・・・。

その同じ時代の東京。銀座・丸の内などでは「モダンガール」や「モダンボーイ」が横文字で洒落た言葉を交わしつつ優雅な都会生活を営む・・・・。

(この作品はもちろんフィクションであるが)
それらの世相の対比は決してフィクションではなく、当時の日本のリアルであるという点が、なんともかんともやるせない。

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2018年05月07日

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ネタバレ

天切り松シリーズの最終巻。
とはいえ「このシリーズである必要はない」と、そんなふうに思える作品がほとんど。
どちらかというと、作者の中に昭和モダンの時代小説を書きたいという気持ちが先にあって、そのためにシリーズの登場人物を「使った」のではないかという気がする。
だから、もちろんいつもの「天切り松」シリーズの一環として読んでいいのだけれど、ピカレスク・ロマンとしての味わいよりも、ひとつの時代に呑み込まれていく人々の姿を描いたオムニバス短編小説のような味わいのほうが強かった。

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2012年08月16日

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