あらすじ
“いたぞっ! 殺せ、殺せっ!”――15世紀、琉球王国。伊是名島の貧しい家に生まれた金丸は、田畑に用いる水を盗んだと因縁をつけられ村人たちから追われる。命からがら故郷を離れて本島に流れ着いた彼は、生き残りと復讐を求めて首里王府に入る。深い闇を纏い、陰謀と欲望に走る金丸は策略を巡らせ、国王にまで上り詰めるが・・・・・・。明治の世まで400年以上続いた琉球王国(第二尚氏)初代国王の誕生秘話を描く物語。テーマは復讐。圧倒的な悪役が主人公の書き下ろし歴史長編!
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Posted by ブクログ
琉球王国の統一後、王族でもないのに王となり礎を築いた金丸の一代記。琉球の歴史は全く詳しくなく、どこまでが史実か分からないが本当に庶民から王に成り上がったのなら実力や運は相当な人物だったのだろう。
本書では最初に村人から受けた理不尽な仕打ちに復讐することをエネルギーにして出世していく…という展開が途中からは忘れたかのように(一応、綺麗事だけでは回らないことを知ってるとか、その辺りに設定は生きているものの)別の話になっていって、衝撃的な導入部分が霞んでいったのがもったいないとは思った。とはいえ、知略謀略で成り上がっていく様はダークヒーロー感があり面白かった。
Posted by ブクログ
水泥棒として追われた金丸が逃れ流れ着いた首里で馬の糞掃除から始まった人生、その才覚で成り上がっていく。権謀術数、駆け引きと忍耐の醍醐味、面白かったです。
沖縄にも豊臣秀吉がいた。血脈、後楯もない底辺の民が自らの力と強運で頂点を極めた物語だ。概ね史実に基づいているようで驚くばかりだ。金丸の表裏を描きだしているが、民のために自ら王を目指すあたりはいささか理解がついていかない。今一度読み返してみたい。
いずれにせよ彼の王朝は明治維新まで続く。金丸は弟を大事にしたのに対し、秀吉は病で弟を失い後継の甥を殺し結果豊臣家は短命に終わった。境遇が同じでも金丸の方が一枚上手ということか。