【感想・ネタバレ】鳴門秘帖(一)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

時代劇ふう。
泉鏡花の文章みたいにテンポがいい。そして、山田風太郎なみの活劇。

序盤は人間関係がわからずにもたもたするが、次第に阿波藩の陰謀が明らかになるにつれて、各人の旗色が鮮明になる。

主人公の美男子・法月弦之丞に刃を向ける天堂一角、旅川周馬、そしてお十夜孫兵衛。その弦之丞と悲恋の関係にある千絵姫や女スリのお綱、そして薄幸のお米。などなど。

とにかく人間関係が入り乱れ、愛と欲が乱れ打ち、怒濤の展開の連続で見逃せない。『三国志』では英雄たちの情理を描くに長けた作家だが、本作ではもっぱらがストーリー重視。ジェットコースター展開がすさまじい。

舞台が、上方、江戸,阿波と移っていく紀行小説でもある。

ちょっとした出来心でスリを働いたがために多くの男たちの運命を狂わせつつも、情に篤いお綱や、岡っ引きながらも主人公を食う活躍を見せる万吉など脇役が光っている傑作。これが昭和初期の作とは思えない。

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2014年11月02日

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