あらすじ
富む日本、惑う警察。
この国は、守る価値があるのか――。
1970年。大阪万博を控え、高度経済成長で沸き立つ日本。捜査一課と公安一課を対立させたある事件以降、袂を分かった刑事の高峰と公安の海老沢は、それぞれ理事官に出世し、国と市民を守ってきた。だが、かつてふたりの親友だった週刊誌編集長の息子の自殺をきっかけに、再び互いの線が交わっていく。単なる自殺と思われたが、独自に調べを進めるうち、日本全土を揺るがすスキャンダルの存在が、徐々に明るみに出る。尊重すべきは国家なのか、それとも名もなき個人なのか。「警察の正義」を巡り、苦悩してきた高峰と海老沢の答えは――。
戦後警察の光と闇を炙り出す一大叙事詩、待望の第三幕!
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Posted by ブクログ
2024.07.26
1970年生まれ、現在53歳の私にとっていろいろ考えさせられる一冊。
まず自分の生まれたころについて「いま」読むことが新鮮。
例えば、タバコの立ち込める煙と匂いが全編に漂っている社会、家庭、組織は2024年のいま完全に遠くなった。
例えば、土曜日の位置付け。
半ドンは私にはわかるが週休2日が当たり前の世代には?だろうなあと思う。
例えば、定年は55歳、だから、53歳の主人公たちには、ゴールはすぐそこに。
今は65歳、それまで年金もでないから働かざるをえない。
次に53歳のときに「考える」ことについて非常に考えさせられる。これまでに属してきた組織、自分のいずれについても「あるべき」姿、「こうあろうとする」努力、モチベーションの持ち方、いろいろと自分ならと考えて読み進めた。
終わり方にはびっくり。
ここで終わるとは。
Posted by ブクログ
富む日本、惑う警察。
この国は、守る価値があるのか――。
地検特捜部がやろうとしているのは「国を守る」捜査ではない。「国を正す」「政財界の膿を出す」ための捜査だ。
一方公安一課の中には、「先輩」である市川を守ろうとする動きがある。自分は、腐った政府を守ることに意味を見いだせるか……高峰は、こういう話をするのに相応しい相手ではある。
1970年。大阪万博を控え、高度経済成長で沸き立つ日本。捜査一課と公安一課を対立させたある事件以降、袂を分かった刑事の高峰と公安の海老沢は、それぞれ理事官に出世し、国と市民を守ってきた。だが、かつてふたりの親友だった週刊誌編集長の息子の自殺をきっかけに、再び互いの線が交わっていく。単なる自殺と思われたが、独自に調べを進めるうち、日本全土を揺るがすスキャンダルの存在が、徐々に明るみに出る。尊重すべきは国家なのか、それとも名もなき個人なのか。「警察の正義」を巡り、苦悩してきた高峰と海老沢の答えは――。
戦後警察の光と闇を炙り出す一大叙事詩、待望の第三幕!
Posted by ブクログ
「日本の警察」シリーズ第3弾。
舞台は70年安保の昭和45年。当時の世相のあれこれが綴られ、一定の読者には懐かしさとともに、セピア色の記憶が蘇ることだろう。
それぞれの「正義」観の違いから袂を分かっていた高峰と海老沢。定年間近になった彼らが、友人の息子の自殺の原因を探るべく、18年ぶりに手を組む。
背後にあるのは、国をも揺るがす日米にまたがる巨大なスキャンダル。
二人の動きを牽制するかのように佐橋検事も登場。彼らの正義を貫けるのか予断を許さない状況に。
このシリーズ、高峰と海老沢の息子たちが活躍する平成版があるようで、そちらも期待できるか。
Posted by ブクログ
時間が経とうと解決しない問題を抱えたまま
友、小島の息子の自殺の真相を突き止めるために
動き始める高峰と海老沢
2作目、動乱の刑事の終わり方はあれで良かったんだと思えた
自殺の理由は
汚職に関わったという自責、汚職を隠蔽するための自殺教祖によるもの
希望を抱いて飛び込んだ少年に待っていたのが汚い大人たちの世界
学生を終えたばかりの若者にはどれ程のギャップを与えたのだろうか
個人を守るために捜査する高峰と
守るべき国を正すために捜査する海老沢の
刑事であることよりも
もっと根本にある人間的な感情が溢れた言動が彼ららしかった
守るものは相容れないが
信じるものは互いだったのだろう
ストーリーに交えて描かれる彼らの家庭
それぞれの場所で理事官に就き、家庭を持ち、父親となりシリーズ最終作のファイナルステージ
自身の道を信じる高峰と
まだ探し迷いを見せる海老沢
それぞれの息子にかける言葉に『自分』がよく描かれている
どう受け取ったのか自作からの次世代のステージに期待