【感想・ネタバレ】活版印刷三日月堂 星たちの栞のレビュー

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Posted by ブクログ

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表紙が可愛いのと印刷ってなんだろう?と思い、手にとりました。
恥ずかしながら活版印刷のことは知らずに( 昔の印刷のやり方は知っていたのですが、それが活版印刷とは知らなくて )読み始めました。読み始めて活版印刷のことを知り、各章の扉の写真見て、「すごい…」っと開いた口が塞がらなかったです。いつか実物を見てみたいです。

心がポカポカして、とても優しいお話でした。大きく盛り上がることはないのですが、優しく静かに寄り添ってくれるようなお話が続きます。

個人的には『八月のコースター』が好きだったのですが、印象に残ったのは最後の『ひとつだけの活字』です。いろは唄のようにひらがなを1回しか使わない結婚式の招待状…実物を見てみたくなりました。

続編もゆっくり読もうと思います。

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2022年07月12日

Posted by ブクログ

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「コンピュータの中では文字には重さがない。厚みもない。『もの』じゃない。」”重厚長大”——、活版印刷には、そんなイメージが漂う。

活版印刷と聞くと、『銀河鉄道の夜』でジョバンニが活字を拾う場面しか知らない。活字をピンセットで拾うかどうか話題になったらしい程度。「男はつらいよ」で、寅さんの義弟が印刷屋さんで、古い映画では活版印刷機を使用していたと聞いたことがあるが、残念ながら見たことがない。亡くなる時は速いものです。

従来は、チラシとかポスターが中心だったでしょうが、さすがにそんなニーズは今はない。本書で紹介されたような、”物珍しさ”で扱うのがやっとでしょうか。でも、通常の印刷では体験できない”味”のある栞やコースター、名刺(カード)を作ってみたいと思わせられる。
活版印刷の持つ魅力もあるでしょうが、主人公・弓子さんがもつ「作りたい形を一緒に探してくれる」姿勢に心奪われるからかもしれません。

街の印刷所の変遷を考えると、未来がある話ではないだけに、”やるせなさ”を感じる。道楽にならなければいいけれど、と。

版も活字もないけれど、印刷された文字はこうして残っている。実体が消えても、影は残る。弓子さんが語るように、印刷物って、考えてみたら不思議です。そんな不思議さの世界を、道案内されているようです。そして、いつまでもその中にいたいって思わせてくれる、優しい物語です。

「カムパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ。」
こんな、栞があったら、最高ですね。しかも活版で。

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2022年02月04日

Posted by ブクログ

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【活版印刷三日月堂シリーズ01】
活版印刷というものを知らなかったが、ほっこり系のシリーズものと知り読み始めた。

・世界は森
お節介で面倒見のいいハルさん。ハルさんは夫を亡くしており、運送屋で働く。一人息子の森太郎が北海道の大学に進学するので、お祝いのプレゼントを悩んでいた。
その時に、活版印刷の『三日月堂』の孫である弓子さんが、川越に住み、運送屋のバイトをしたいと言ってきた。
そこで学生時代に憧れで、ハルさん自身がお祝いでもらった三日月堂のレターセットを思い出す。
『三日月堂』は祖父母・両親を亡くし、弓子さん一人で住んでいるが、学生時代に祖父と作業をしていたため、小さい機械なら動かせるから、とハルさんのためにレターセットを作る。ハルさんの息子の想い、すごくよかった。

・八月のコースター
伯父から受け継いだ喫茶店「桐一葉」のマスター岡野。
伯父の思いのつまった店で、何か変えたいけど変えたくない。そんな時にハルさんから『三日月堂』を教えてもらい、ショップカードを作ることに。
弓子さんは一緒に何をつくるのがいいか考えてくれ、コースターを作成する。
岡野は岡野らしい「桐一葉」を作っていけているし、弓子さんも活版印刷にのめりこむ。

・星たちの栞
高校教諭が文芸部の生徒と鈴懸学園の学園祭で、弓子さんにお願いして活版印刷のワークショップをすることに。
教諭の友人関係と文芸部の友人関係が、文字を通して和解していくのがいい。

・ひとつだけの活字
結婚式前に、川越に活版印刷のお店があることを知った雪乃。実は雪乃の祖父が銀座で活版印刷の活字店をやっており、すべて戦争で失ってしまったが、祖母がひらがなだけのフォント活字を持っており、雪乃がもらっていたので、それで結婚式の招待状を作ることになる。
弓子さんとともに銀座の活字店を訪れ、雪乃さんの祖父のことも知ることができる。

活版印刷の良さと弓子さんのキャラの良さが、優しい話を紡いでいく。

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2023年07月18日

Posted by ブクログ

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物語りを生み出した人が居なくなっても、その影として活字が残る……残った活字が物語りとして実体になり、あとに続く誰かの中にあり続ける。
今はいない誰かの世界が読んだ誰かの中で花開いていく。素敵で不思議な魅力です。

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2023年07月14日

Posted by ブクログ

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古くて新しい活版印刷技術に惹かれて、皆その店に足を運ぶ。平たい文字とは異なる、厚みのある活字を通して身近にいる人と普段は恥ずかしくて言えない本音を交わし、文字を選びながら自分の過去の出来事を反芻する。良い小説でした。

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2023年01月16日

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