山野井泰史のレビュー一覧
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山野井泰史(1965年~)氏は、世界各地の大岩壁や未踏の山々に新たなルートを切り開き、南米パタゴニアのフィッツ・ロイ冬期単独初登攀(1990年)、世界第6位の高峰チョ・オユー南西壁新ルート単独無酸素初登攀(1994年)、世界第2位のK2南南東リブからの単独無酸素初登攀(2000年)等の実績を持つ世界のトップクライマーのひとり。2021年には、クライミング界のアカデミー賞とも称され、アルパイン・クライミング界で著しい業績を残し、次世代のクライマーたちに多大なる影響を与えた者に対して贈られる「ピオレドール・生涯功労賞」を、アジア人として初めて受賞した(過去の受賞者はラインホルト・メスナーなど僅か1
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筆者の山野井泰史は有名な登山家(クライマー)だ。登山に親しみのない私がこの本を読もうと思ったきっかけは、沢木耕太郎の「凍」だ。「凍」は、山野井泰史と、その妻で同じく登山家である妙子を主人公としている。
2002年秋、山野井夫妻は、ヒマラヤのギャチュン・カンと呼ばれる難峰に挑み、泰史が単独登頂に成功する。しかし、下降中、嵐につかまる。夫妻は奇跡的に生還するが、泰史は手足の指のうち10本を凍傷で失ってしまう。また、妙子も凍傷で傷つく。
沢木耕太郎の「凍」を読んだのは、随分昔の話なので、細かいところは忘れているが、山野井夫妻を主人公とし、このギャチュン・カンからの奇跡の生還を題材にしたものだったと記 -
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垂直の記憶に引き続き読みました。垂直の記憶はインパクトのある山行を中心ですが、本書は温度差少なめに半生を平均的に描かれています。そんな中、時折触れている「アルピニズムに対する考え」はわかる気がします。たぶん頻繁に山に登っても(トレッキング)、なんちゃってクライマーでアルピニスト気取りでも、それを体感できないと思います。
トップのアルパインクライマーって、登る目的自体が違いますね。でも「わかる気がする」人達は、潜在的にその要素がありながら、時代の流れに逆らわず、自分に課せられた画一的な業務をこなし、自分に素直になれなかった人なのかもしれません。意地悪な言い方をすれば、山野井さんは自分の生き方に -
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チョ・オユー南西壁にソロで挑んだ時の装備は、何と総重量5kgを切っていたという(p56)。ザックもたったの30リットル。一般人には想像も付かないが、昨今の「ウルトラライト」とは別次元の話なのだろう。何せヒマラヤの8,000m峰。
ザックやビバークテントは余分な部分を切り取って軽量化し、クッカーはEPIのカートリッジが入る一個だけ。カトラリーも現地で買った10gのフォーク一本。軽量化のキーとなる食料は、全部で500gほどだったという。
先鋭的な装備も並ぶ中で、マットはただの「銀マット」、水筒はエバニューのポリタンク(たった300cc)というのも面白い。グランテトラ以前の水筒は確かにポリタンだ -
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ブロード・ピーク、アマ・ダブラム、チョ・オユー、マカルー、K2など、ヒマラヤやカラコルムの名だたる嶺々への挑戦が語られているが、本書のハイライトはやはりギャチュン・カンだと感じた。沢木耕太郎の『凍』で描かれた凄絶なドラマ。
紙幅の違いもあって『凍』より簡潔に話が進み、筆致は淡々としていて、話を盛るような感じも一切ない。そして何よりスポンサーに頼らず、普段は清貧に徹して登山だけに集中する生き方が潔い。
文庫のあとがきには「最近は実力もないのに名前ばかりが先行しているようで、これで文庫として改めて出版されると、ますます恥ずかしさも倍増しそうです」と書かれている。世界的な登山家でありながら、どこ -
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元々、山野井泰史氏のことは沢木耕太郎氏著『凍』でその存在を知ったが、沢木氏の描いた山野井氏とは別の凄さがこの本から伝わってくる。『凍』が緊張の本であったなら本書は「解」といえるかもしれない。凄まじい体験を圧倒的な生命力で包み込んでいる気がする。
題名は『垂直の記憶』だが、彼が登攀するのは垂直ではなく90度以上のオーバーハングした岸壁である。単独登攀に拘り10本の手足の指を失ってもなお挑戦する彼の姿は、人間の生き甲斐とは何かを考えさせられる。山野井氏が度々語る、限界に挑戦して乗り越えたときに感じる「生きている実感」とは登山含め限界へ挑戦する者たちの本質を突いた言葉である。 -
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