平川秀幸のレビュー一覧
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学校で教わる理科のイメージとは異なり、科学の問題に確定した答えがあるとは限らない。科学にも不確かな面があり、そのことが科学不信をもたらすことがあるという。しかし、不確かな面に切り込んでいくでいくためにも科学的思考の訓練が必要となるのは間違いない。科学不信を取り除くには専門家と一般市民とが双方的に対話する場を作っていくことが重要だと指摘している。
安全性の基準は必ずしも客観的かつ不変的なものでなく、当事者のおかれた状況などによって異なってしかるべしという記述になるほどと思った。
5人の著者による解説を足し合わせたものだが、それぞれ内容があってよい。 -
Posted by ブクログ
第一章では科学技術にとって曲がり角となった1970年代の雰囲気がまとめられている。第二章では市民社会の台頭という観点から科学技術ガバナンスという概念が紹介される。日本では1995年の地震をはじめとする一連の出来事が、英国ではBSE問題が転機と捉えられ、科学なしでは解けないが、科学だけでは解けない問題の存在を指摘する。第三章では科学技術の不確実性とその分類が議論される(「known unknown」「Unknown unknown」、「閉鎖系」、「開放系」という考え方は大事そう)。第四章では緑の革命や医薬品の南北問題に見られる技術と社会の不可分性について議論される。第五章ではリスク評価には価値基
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Posted by ブクログ
疑似科学を批判する書籍は多い。この本も例外なく、ゲーム脳、マイナスイオン、水からの伝言、ゲルマニウム・ブレスレットなどの疑似科学に気持ちいい批判を浴びせている。また、マスコミの科学に関する無知による報道の歪みや、「学」と「民」の科学コミュニケーションのあり方、3,11以降の情報リテラシーなどにも触れている。
だが、薄っぺらな科学原理主義とは一線を画す。環境や社会に関する複雑な問題を解決するには、あえて科学以外の「知」も用いたほうが効率的だという主張が印象的だった。場合によっては、哲学や文学などの「非科学」も有効なのだ。注意すべきは、「非科学」なのに「科学」を装う「疑似科学」だ。これは欺瞞以