短編集。ホラーを読むのであればまずコレから。上田秋成の雨月物語です。現代語訳本はいくつか出ているようですが、これが一番わかりやすいかなぁと。幽霊や妖怪の話もありますが、人の二面性、そして多重人格性についても描かれており、高い文学性によって現代においてもその恐怖は決して古臭さを感じさせないでしょう。特に物語の中に登場する女性、「磯良(いそら)」の恐ろしさは現代にも通じるものとされ、作家・貴志祐介は「十三番目の人格(ペルソナ)」という小説のサブタイトルとして「ISOLA」の名前を使っています。純粋に文学としておもしろいので、是非。