ポーのレビュー一覧
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ポーの独特の語りに引き込まれます。不気味すぎる話にゾクゾクしながら、「この後どうなる?」という期待感にあふれました。8編の短編それぞれが個性的で、心情描写のうまさに脱帽でした。
「モルグ街の殺人」は“推理小説の元祖”と、解説にありました。謎解きが論理的に進み、最後に解き明かされる流れは明快で、数学の難しい問題が解けたときのような痛快さを感じました。
訳者あとがきに、明治時代「黒猫」を訳した饗庭篁村(あえばこうそん)、内田魯庵についてのエピソードがあり、当時の翻訳事情が垣間見られて興味深かったです。
角川文庫の河合祥一郎訳と小川高義訳を比較すると、本書の方が心持ち、分かりやすいかなと思いま -
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「アモンティリャードの樽」
一文あらすじ
幻のワイン「アモンティリャード」を餌に、憎き男を生き埋めにして復讐を果たす、ある貴族の話。
メモ
首尾一貫して、主人公の男がなぜ殺人を決行するのか、その理由が明かされない。わかるのは、彼の家の訓戒が「侮辱ニハ逆襲アリ」ということだけ。彼が憎む男は、永久に地下墓所の岩にくくりつけられたまま、完全犯罪が成し遂げられておわる。謎が謎のままにされるところ、それがこの作品のおもしろさだろうと思う。復讐する男の歓喜と恐怖の雄叫び、復讐される男の吠えるかのような絶叫・・・ふたつの声の不協和音が、いつまでも耳にこびりつく。
引用
すると鎖につないだは -
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翻訳の小川高義さんの力によるところもあるとはおもうけど、今から180年近く昔、日本では江戸時代の後期にあたる時期に書かれたとは思えないくらい読みやすくて面白かった。
特に「早すぎた埋葬」はものすごく怖かった。
「モルグ街の殺人」が推理小説の元祖だと解説を読んで初めて知りました。
いわゆるエンタメである「推理小説」っていうジャンルを確立したことが本当に凄いと思うけど、推理小説として面白いかどうかというとそんなに面白くなかった。
良心と邪悪さの対比や、ダメなことだと思えば思うほど実行したくなる人の心の描写がうまくてとても怖さを煽るけれど、ポーはお酒が原因で体調も精神も不安定だったようで、もし素で頭 -
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ポーです
もちろん再読ですが、当時は推理小説愛好家であれば一度は読んでおくべき必読の書として義務感みたいなのに駆られて読んだ記憶があります
基本的に頭のおかしい奴の妄言です
いろんな意味でなんか恐っ!てなる話なんですが、注意深く読み進めていくと、あれなんかちゃんとしてない?ってなるんです
唐突にあれすごいロジカルじゃない?っとことに気付くんですな
そこらへんが未だにポーが読まれている所以なのかと思ったりします
そしてポーと言えば江戸川乱歩の名前の元になったことでも有名ですよね
エドガー・アラン・ポー→江戸川乱歩
初めて知ったときに、すげーセンス!となぜか感動した覚えがありますが、本人は結 -
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ネタバレ表題作の一つである「モルグ街の殺人」(1841)は史上初の推理小説であるとのこと、また、他の短編の怪奇小説の味わいなどから、コナン・ドイルや江戸川乱歩に与えた影響をしみじみと感じた。一話が短いのでとても読みやすい(たまに難解な部分もあるが)。
本書には、恐らく笑うところではないと思いながらも、突き抜けた悪人ぶりがちょっと笑えるなぁと思った点がいくつかあった。
ポーは以前児童向けの文庫で(表題作を含む)一冊だけ読んだことがあったが、今回、「翻訳は一種の探偵業」という、訳者ならではの解説とあとがきを読んで、より楽しむことができた。一般論または抽象論(私には難しくてよくわからない)+本題という「話の -
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黒猫 この手の小説をあまり読んだことがないのでちょっととっつきにくかった。もっと感覚を鋭敏にして入り込んで読んだら楽しめるのかなと思った。
名作、有名作品と呼ばれてるのにぴんと来ることができなくて悔しかった。もっと味わって深くまで読むことができるようになろうと思った。
解説を読んだらなるほど面白いと思った。
けどやっぱり解説は少なくとも一度自分で読んだ後に読むべきだと思った。
アモンティリヤードの樽
これも少しわかりづらいと感じてしまうところがあったが、主人公とフォルトゥナートの間に何があったのかわからないところがよいそう。個人的にはフォルトゥナートがあんな状況でアモンティリヤード(ワイン -
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人間の内面に宿る狂気を浮き彫りにするような、共感をぎりぎりもてるような際どい作品群。
特に印象に残るのはやはり表題の2作品。モルグ街の殺人でもデュパンはまんまシャーロック・ホームズです。デュパンものは他に2作品しかないのが残念です。黒猫は、妻を殺したところが淡々と書かれかえって恐怖度が増し、物語に引き込まれます。
早すぎた埋葬は、もし自分が生きたまま埋葬されたとしたら…と考えずにはいられません。
ウィリアム・ウィルソンは壮大な前振りが面倒ですが読み終えた後に新しさを感じます。
江戸川乱歩やコナン・ドイルをはじめ後の小説家に影響を与えたことに納得です。
江戸時代後期に書かれた作品とは思えないほど -
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黒猫、アモンティリャードの樽、告げ口心臓、邪鬼、ウィリアム・ウィルソン、早すぎた埋葬、モルグ街の殺人を収録。
飜訳が素晴らしく、明晰で平明なポーを読むことができる。
明晰で平明である分、作品の意図が明確に伝わってくる。
「黒猫」のラストシーンがこんなに鮮烈だということははじめて知った。
ポーの作品は、ずっと昔、創元推理文庫の「ポオ小説全集」でいくつか読んだことがあって、ここに収められた作品もその時通過していたはずだ。
その全集は、錚々たる飜訳陣を揃えたものだったが、たぶん重厚すぎたのだろう。こちらは文章についていくのがやっとで、内容を味わう余裕までなかった。結果、怖くも何ともない、ちっと