ウェルズのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ未来に行ったタイム・トラベラーが未来でタイムマシンを失い、現在に戻るために苦闘する、という小説の内容自体は、現在から見ると使い古されやや陳腐かもしれない。
一方で、著者が示した人類の進化の方向性(企業家階級と労働者階級の分化が進み、前者は労働から離れたために知性と身体能力を失い、地上を荒廃させる。後者は地下に押しとどめられることによって視力を失い、たんぱく質確保の方法として前者を襲う。)は、これも今日では陳腐と思われるものの、当時の社会的風潮を判断すると一定の妥当性のある推測であるように感じられ、その未来予測には見るべき点があると思われる。 -
Posted by ブクログ
H.G.ウェルズ(1866-1946)の短編集。世紀末的なナンセンスやデカダンスの趣が漂い、まるで stop motion animation を観ているような気分になる。「劇評家秘話」これは我が身を顧みても、気持ちはとても分かる。自己というのは、他者から受けた刺激から成るモザイクのようなもの。「初めての飛行機――"アラウダ・マグナ"」とその続編「小さな母、メルダーベルクに登る」は"トムとジェリー"的なスラップスティック。いづれも面白い作品だと思うが、奈何せん訳文が悪い。訳者の問題なのか、ウェルズ自身の文体の癖なのか。言葉がゴツゴツと突っかかり、文章とし