高田明典のレビュー一覧
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特撮やアニメのヒーローたちが何故戦うのか、あるいは何故戦わないのかを分析したものだ。そのアプローチのベースになっているのは、主にロジックと類型化であり、全てに賛同するわけではないけれど、説得力のある論理構成で面白いと思った。特に、私自身の本書の直前に偶然読んだ「殺人者はいかに誕生したか」に採用されている心理分析のアプローチととても似ていて、これが心理学の方法論なのだろうかと感じた(心理学を学んだことがないのでわからないけれど)。
ただ、題に「戦うキモチ」と書いてあるのだから、ロジックばかりではなく、もう少し感情にも着目して欲しかったなと思う。ヒーロー達の人物造形はどのような感情の表れなのか、と -
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細部の理解なしには到底把握したことにはならないのが哲学であり、現代思想全般だということを改めて思い知らされた。ざっくり教えてくれようと意図されたこのような書物の大方が、最初は「優しいおじさん」がそっと手をとって歩いてくれているのが途中から「そんな甘いもんじゃないんじゃい、おりゃー」と豹変して振り回してくれちゃうのは、困ってしまうのだ。そして結果最後のブックレビューに書かれていた「何の疑問も感じないほどにまで読み込む」ことが絶対的に課される。辛い。
リチャード・ローティーはじめポスト構造主義以降を耳かきほどのテイスティングスプーンで味見をさせてくれたことには感謝するけれども。 -
Posted by ブクログ
これは良書。
タイトルの通り、構造主義やポストモダニズムに代表される「現代思想」を扱った一冊です。現代思想と哲学の違い、現代思想の誕生と変遷、その未来までを扱っています。レヴィ・ストロースやハイデガー、アガンベンといった有名どころの思想もわかりやすく説明しており、現代思想の概観をつかむにも好適でしょう。
とはいえ、それだけでは「よく出来た入門書」の域を出ません。本書が優れている点はひとえに、現代思想の目的と機能を明確に示していることにあります。
著者は、現代思想の目的は「世界をよくする」ことにあると断言します。そして現代思想とは、その目的を達成するための「道具」なのだとも言います。
その -
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タイトルが結構自己啓発臭がするけれど、そういう本ではない。同級生にデリダの脱構築の概念がうまくつかめずに苦労しているという話を彼にしたところ、この本を薦めてくれた。薦めてくれてありがとう。かなり目から鱗が落ちる部分があった。この本は哲学と現代思想を分けて、そのうちの現代思想について非常にわかりやすく解説してくれた本。これを読んでホントによかったな。何せ武器になる。マシンガンを拾った感じだ。現代思想を読み解くのに役立つというよりは、生活や就労場面でモロに役立つものって感じだ。ただし、この本は万人にオススメできない。いや、オススメできる。条件があるのだ。この条件を満たしていないと、かなりの確率でわ
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[ 内容 ]
難解で役に立たないと思われがちな「現代思想」。
しかし、それらの思想が、どんな「目的」を持って、どういう「道筋」や「思考の技術」を使って展開されているのか、を見ることによって、「難解さ」は解消し、「役に立たない」という批判は誤解にすぎないことがわかるでしょう。
本書では、「現代思想」によって、「幸福」や「よさ」を追求するための技術を解説し、それが日々の生活の中で使えるようになることを目指します。
繰り返して参照するのにも便利な「ブックガイド」「キーワード解説」付き。
[ 目次 ]
第1章 現代思想の目的
第2章 現代思想の「土壌」
第3章 現代思想の「誕生」
第4章 現代思想の -
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あまりこういう本を登録する事はないんだけど・・・メモ代わりに。
・本の内容は「開かれた本」(素地を提供して読者の自発的な思考構築を促すもの)、「閉じられた本」(著者が明確な結論を持っており、それを読者に提供するもの)
・本のタイプは「登山型」(始めから理論を一つずつ積み上げていくもの)、「ハイキング型」(周りの景色を楽しみながらその時々の展開に注目するもの)
・読み方は「同化読み」(記述が正しいという前提で著者の意見に賛同しながら読む)、「批判読み」(懐疑的な眼差しでそれぞれの理論を吟味しながら読む)
・・・以上の組み合わせで心構えを変えながら読むが、簡単な登山型もあれば、軍事訓練のような -
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哲学や思想の分野の難解な本を読んで理解するためのヒントが示されています。
哲学や思想の本には、著者が自分の結論を明確にもっていてそこへ向かって議論が構築されている「閉じている本」と、読者自身がみずからの意見を構築することをうながす「開いている本」があり、それぞれの本の性質におうじた読みかたをする必要があると著者はいいます。さらに、「外部参照」が必要な本とそうでない本、「登山型」の本と「ハイキング型」の本といった分類をおこない、それぞれについてどのようなスタンスで読むべきなのかということを解説しています。
後半には、「代表的難解本ガイド」として、現代思想の分野を中心に二十人の哲学者や思想家た -
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現代思想の入門書です。ただし、ソシュールの言語学からレヴィ=ストロース、ドゥルーズやデリダといった人びとの思想の内容を紹介することよりも、彼らの思想がどのような「目的」を持っているのか、というところに焦点を絞った内容になっています。
「現代思想」は、「哲学」とは異なり、目的を離れて正しいかどうかを議論することはできないと考えると本書では述べられています。特定の目的をもたない普遍的真理を探究することの断念から、現代思想はスタートします。こうした観点に立つならば、脱構築の実践による「正義」の発想や、観察者が観察対象の外部にたつことはできずつねに参与者でしかありえないという立場をとるガーゲンやモラ