水戸岡鋭治のレビュー一覧
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この本の肝は、私にとっては第15章の今後に向かう水戸岡さんからの提案にありました。
駅という窓口をキーにして、どんな街を作っていくかという構想にはワクワクを禁じえません。
水戸岡鋭治さんは、パース絵(完成予想図)作成のプロフェッショナルです。
クライアントに依頼されたモノ、乗り物や建物を作るだけではなく、それを使う人をイメージして、その人々基点に使われる人を意識し続ける姿勢が水戸岡鋭治さんの真骨頂です。
私は、水戸美術館で水戸岡さんの作品展に出掛けたことがありますが、彼が手掛けた乗り物を楽しんでいる子供たちを見て頷いていた彼の姿は、本当に嬉しそうでした。
デザインは、そのモノが使われて、作っ -
Posted by ブクログ
どういう分野であれ、「或る仕事で一定以上の実績を挙げた人達の貴重な経験談」というものは傾聴に値する。そういう意味だけで本書は一読に値するであろうが、鉄道車輌や駅施設、更に多くの人の目に触れる包装紙やロゴマーク等の“公共”のモノを造る、或いは創ることに関る意見というものは非常に貴重で、より広く読まれなければならないものであると思った。評価の高い車輌が登場した背景に興味を抱く「鉄道ファン」に奨めるべき一冊であることは間違いないが、これは「“鉄道ファン”は特殊な領域に居る人達で、自分は無関係」と思っている人達にこそ奨めなければならない一冊かもしれない。更に加えると…「“鉄道ファン”は特殊な領域に居る
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ネタバレ 購入済み
常に時代を先読みしている人
以前、九州に住んでいたので、水戸岡鋭治さんとお名前は馴染みがあった。
JR九州の様々なアイデア列車のデザイナーというイメージだったが、列車の製造に関わる数多くの職人や専門業者との交渉をなど、プロデューサーのような役割も兼ねた仕事をしてきた方なのだということがよく分かった。そしてそれは、サラリーマンとして働く立場にも大いに共感する部分が多い。
顧客は依頼主ではなくあくまでお客様である、という一貫したブレない姿勢が強く伝わる。
そして、人間は勘が全てではないか、というくだりに大いに勇気づけられた。何事にも興味を持って取り組む姿勢を大事にしていきたい。 -
Posted by ブクログ
オンラインセミナーの予習として。
水戸岡氏がこれまでデザインした電車のカラー写真を中心としたもの。
いわゆる観光列車というものにはおそらく乗ったことがないけど、九州にこんなに個性的で楽しい電車が沢山あるのはなぜだろう。JR九州の赤字からの頑張りなのか?首都圏でしか暮らしたことがないと、路線や会社の違いなど無いも同然の、画一的な通勤車両しか見たことがないのでとても驚いた。九州を電車で旅したらとても楽しそうだと思った。
・日本は元々経済だけを考えて生きてきた民族ではなく、経済と文化のバランスを取りながら、精神や心を大事にした民族。
・洋の上に和を乗せるから無理がある。和の文化の上に洋の文化を乗せ -
Posted by ブクログ
一つ一つのシーンをイメージし、感動するシーンを作る
――そのために、最後の1%を担うのがデザイナーである(1%がだめだとそれまでの99%が台無しになる)ということ、
服飾や列車名の印字までなんでもやる(分業制にしない)ということ、
また、ファミリーを作る(PTのようなものを自分の周りにつくる)ということ――など、、
グッとくる教えが多い。
公共空間の在り方について真摯に考察し、おごらず、サービス精神をもって、そもそものところから熟考し、よいものを作ろうとする。その姿は、土木の者には心に響くものがあるのではないか(土木のデザイナーにも通じるところがあるようにおもった。そういえば土木デザイナーも -
Posted by ブクログ
熊本へ資料調査に行くついでに、博多駅でやっていた水戸岡鋭治展を観た。それが氏をよく知る直接のきっかけだった。
鉄道は好きなので、氏の手がけた数々の車両は知っていたし、なんなら少し勉強もしていたのだが、氏のもつ世界観、空間のデザインの仕方を初めて知ることとなったのはその博多の展示が初めてであった。
デザインというのは氏もいうように、アートとは異なりクライアントの希望に即してやっていくものだけれど、その中であれほどの世界観を作り出していく、氏
簡単に書いているけれども、その世界観を描くところまでよりもそれを作り出していくところまで持っていく調整力と目利きの力、これが本当に勘所というか、氏の能力なの