稲葉振一郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
SFものフィクションにしばしば登場する銀河系規模の国家の成立について、主にアイザックアシモフの古典SF作品を題材として考察する本。アシモフを作品は読んでいないが、本の要所要所で解説を挟むので読み進める上での不便はあまり感じなかった。(逆にいうとこれからアシモフの本を読みたい人には向いていない)
しかしながら倫理学や自然科学、社会科学に関連する内容が含むので、読み進めるのに骨が折れるし時間もかかる。
そもそもの話のスケールが壮大なので、直接現代の我々がこの本から得られる気づきは余りなさそうだが、フィクション作品を楽しむうえで作中の社会の成り立ちなどをあれこれ夢想するための資料にはなるだろう。 -
Posted by ブクログ
本書のテーマは、著者自身によって「素人の、素人による、素人のための経済学入門」と規定されています。その一方で、「あとがき」には、「「マルクス主義」を野辺送りにし、「近代経済学」を肯定し、その上で自由主義と左翼ラディカリズム、そしてポストモダンへの、自分なりのスタンスを定められたように思います」と述べられているように、マルクス経済学という不良債権を処理し、その思想的遺産のなかに引き継ぐべきものとしてなにがのこされているのかということを見定める試みともなっています。
小泉内閣における「構造改革」が人びとのが大きな共感を呼び、金子勝を中心とする左派の経済学者たちの批判を鈍らせることになった理由となった「モラリズム」についての考察は、興味深く読みました。ただ、本書が経済思想に焦点を当てた入門書であることを鑑みれば、「モラリズム」の思想的な系譜についてもうすこし立ち入って解説してほしかったという気がします。
マルクス経済学を学んだ読者が新たに近代経済学を学ぶための入門書としては、優れた導入になっていると思いますが、そうした読者がどの程度いるものなのか、よくわかりません。 -
Posted by ブクログ
稲葉振一郎先生の新刊が出るので再読。「経済学という教養」についてあれこれと書かれている本だが、今から読むにはかなり厳しい本である。第一に、経済学入門としては、あまり筋がいい本とは言えず、これを主流派の経済学入門とするには、かなり厳しい。第二に、元はwebの連載をまとめたもので仕方ないかもしれないが、総花的でどうも纏まりが良くない。稲葉先生の「勉強ノートを公開してみた」という感じで、要点が整理されておらず、闇鍋みたいな経済学教養本。賛否で云うと否の割合が個人的に高い。
マルクス経済学について書いた部分をバッサリ切って、もっと主流派経済学について書くべきだったのでは?これだと「(マルクス)経済学という教養」要素の方が大きい。マルクス経済学の歴史について延々と書かれている第七章は正直なところ読み進めるのに苦労した。(その辺りの知識はなかったので大変勉強にはなったが)リフレ政策を推奨している部分も、アベノミクスがリフレ派の云うところの「財務省リフレ」(金融緩和+緊縮財政)へと変容し、黄昏を迎えているので今となっては懐かしい。稲葉先生にはアフター・リフレーションを踏まえた本をこの本の続編として書いて欲しいところである。
評点: 6点 / 10点 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
「私的所有」が制度化され、市場経済が発展し、資本主義の秩序が支配する世界は、それ以前の「自然」な状態よりも、おおむね有益である。
だがそうした世界は不平等や労働疎外をも生みだす。
それでもなお、私たちはこの世界に踏みとどまるべきであり、所有も市場も捨て去ってはならない。
本書はその根拠を示し、無産者であれ難民であれ「持たざる者=剥き出しの生」として扱われることがないよう、「労働力=人的資本」の所有者として見なすべきことを提唱する。
「所有」「市場」「資本」等の重要概念を根本から考察した末に示されるこうした論点は、これからの社会を考える上で示唆に富む。
[ 目次 ]
プロローグ 自然状態からの社会契約
1 「所有」論
2 「市場」論
3 「資本」論
4 「人的資本」論
エピローグ 法人、ロボット、サイボーグ―資本主義の未来
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
<目次>
第1章こういう人は、この本を読んでください
第2章出発点としての「不平等化」問題
1日本社会の「不平等化」
2不平等と経済学
第3章素人の、素人による、素人のための、経済学入門
1ミクロ経済学ーマクロ経済学への入り口として
2マクロ経済学
(1)マクロ経済現象-総需要と物価
(2)マクロ経済現象の原因-市場の不完全性か、貨幣愛か
3マクロ経済動学
(1)二つのケイジアン
(2)三つのケイジアン
(3)不完全情報と不確実性
(4)バブルとは何か
(5)この節のまとめ
4この章のまとめ
補論金融システムという魔圏
第4章日本経済論の隘路
1「構造改革主義」は「市場原理主義」ではない
2資本主義の発展段階と「日本型経済システム」論
3「日本型経済システム」論(1)小池和男と青木昌彦
4「日本型経済システム」論(2)村上泰亮
5「日本型経済システム」論(3)青木昌彦と岡崎哲二
6「講座派」の復権
7「構造改革主義」と「新自由主義」
第5章左翼のはまった罠
1ケインズ主義へのアンビバレンツ
2敵は新自由主義か?日本型経済システムか
3罠にはまった左翼金子勝を例として
4経済モラリズムの罠
第6章市場経済と公益
1厚生経済学の視点
2「市場原理」再考
第7章マルクス経済学への最初にして最後の一歩
1貨幣の存在論
2搾取理論
3歴史の発展段階論
(1)史的唯物論
(2)帝国主義・国家独占資本主義論
4で、マルクス主義のどこが間違っていたのか?
(1)金本位制への固執
(2)疎外論
第8章経済学と公共性
1公共財と不平等
2マクロ経済と公共性
3おわりに-経済学と公共性
補章「経済成長擁護論」再び -
Posted by ブクログ
資本主義は不平等や疎外を生み出すシステムだけど、それに代わるものとしてマルクス主義のように新しいシステムを構想するのではなく、持たざるものは「労働力=人的資本」を所有する者として、このシステムに留まるべきだ――ということを、ホッブズやロックの社会契約論を参照しながら、所有、市場、資本など資本主義を構成する概念を検証しながら主張する。なんて分かったように書いているけど、社会学にも経済学にも不案内な僕には難解で理解できないところも多かった。たぶん誠実に書くからこうなっちゃうんだろうけど、新書なんだし、不誠実でも分かりやすく書いてもらえるとありがたいなと。