西垣通のレビュー一覧
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デジタル社会の現況と情報学を幅広に捉えた一冊。総花な感じで焦点がぼやけるか?
全5章から成り、1章は新型コロナ以後の日本の官民デジタル社会現況、2章はAIとメタバースの現況、3章は情報学のうち多様な主観性を重視する考え方の概論、4章は分断アメリカ社会、5章がまとめと提言の構成。
1・2・4章に新しい発見や驚きは正直あまりなくて、読むべきは3章と5章か。
とはいえ、3章は情報学素人の私は完全に置いてけぼりをくらった。著者の専門分野で真骨頂発揮の章なのだと思うけど、情報を哲学的に捉える視点・イメージ・理論がさっぱりわからない。これは別の本で学ぶべきことか。
5章は、日本人の気質(保守的でトッ -
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シンギュラリティ仮説への批判。
最終章にすべてのエッセンス。
素朴実在論に立脚し得ない点は既に決着済。フレーム問題や記号接地問題は解決し得ない。相関主義哲学に基づけばシンギュラリティーはありえない。唯一の可能性は思弁的実在論によるものであろうが、その場合、現在喧伝されているような楽観的なシンギュラリティー後の社会は描き得ない。
シンギュラリティー仮説の背後にある、創造神、ロゴス中心主義、選民思想、この3つがセットとなった一神教的世界観。
過去の蓄積に準拠する機械と、創発性のある生命体との相違。
AIよりもIA Intelligence Amplifierと捉えるべき。 -
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【ノート】
・西垣センセーの情報学のテキストは、難しそうな面構えの割に読みやすい印象があったので、本書も期待して読み始めたのだが、人間と人工知能との比較検討が乱雑。特に中盤から終盤にかけてはその印象が強い。
例えば。
芸術は過去にないものを創り出すものだが、人工知能は過去のパターンから持ってくるだけなので、よって芸術は人間によってしか可能たり得ないというくだりがある。著者のお仕事と本書の性格から言って、では、人間が芸術を創り出す時の知能のプロセスが、人口知能のそれと、どう違うのかということを提示してくれて然るべきでわ?
・ただし、人工知能肯定派(カーツワイルとか)は、まだ解き明かされ -
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この人はITなどという言葉で呼ばれる前から
この業界にいる人ですが、正直、僕には全然合わない。
AIの知性というものに限界があるのだから、
万能であるかのように思ってはいけない、
という主張それ自体は受け入れましょう。
というよりも、それはむしろ当たり前なんです。
ただ、その主張をする時に
万能AIという夢想が一神教的なものに通じているとも述べるのは
あまりに粗雑な議論です。
少なくともその夢想がヨーロッパから来たという証はなく
同時発生的に同じような概念が自生するという
可能性をほとんど顧みていない。
また、これは議論の中核ではなくて、単に言ってみた程度の話であり
要は万能ではないとい -
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ネタバレ[集合知定理]
集団誤差=平均個人誤差−分散値 p50
生命体である人間は「オートポイエティック・システム(autopoietic system)」、機械であるコンピュータは「アロポイエティック・システム(allopoietic system)」というわけだ。p104
(前者は「閉鎖系」で、後者は「開放系」p105)
Cf. ルーマン「機能的分化社会理論」
きわめて粗っぽく図式的に整理すれば、規模が小さいときは共同体主義が有効だが、大きくなるにつれその有効性は急激に減少し、相対的に自由主義の有効性が増していく。そして功利主義は、両者の中間的性格を持っている。より正確にいうと、自由主義は規模 -
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「基礎情報学」から4年経って出版された本。階層的自律システム(階層的オートポイエティックシステム)と呼ばれていたものは、HACSという新たな呼び方になった。そのHACSは、心的システム、社会システムを表すものだという認識だったが、生命体や神経システムなども表せるという新事実が明らかになり、非常に混乱した。ちょっと無理があるというか何でもありな感じがしてしまう。HACSの概念を、他の学問との類似点や相違点を挙げつつ説明していくのだが、これが同じことが何度も繰り返し述べられていて非常に冗長に感じた。既視感におそわれること数十回。なんだか疲れた。期待されるタイプIIIコンピュータについては、具体的な
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ネタバレ「知とは何か」という問いかけは、決して、暇つぶしのペダンティックな質問などではない。むしろ、命がけの生の実践にかかわる問いかけなのだ。
前書きの1文を見ただけで、購入して失敗したと実感
小難しい単語を並べて、自己満足している学者チックな著者なのだと。案の定、本書は権威がありそうな他人の主張を参照するのみで、著者の意思が感じられない、いわゆるつまらない論文チックな文章となっている。
題名だけを見てネットで購入すると、たまに買ってしまう残念な一冊でした。
ペダンティック:pedantic
物知り顔の、学者{がくしゃ}ぶった、学者{がくしゃ}ぶる、知識{ちしき}をひけらかす (www.al -
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相変わらず難しいけれど、他に似た本に出会ったこともないくらい独特で刺激的な内容。情報という切り口から、生命や社会を考察している。前著では、生命活動のレベルで終わっていたのが、今回はもう一歩進んで社会システムまで階層的自律コミュニケーションシステムによって基礎付けられている。
情報というと、ITをはじめとしてクールなイメージなのだけど、これを読むとそうではない側面が見えてくる。情報こそが、生命活動や社会システムを駆動させるもので、それによって生命や社会が絶えず再構成されていく動的なシステムになっていることがわかる。こういう視点からすれば、生命を機械のように扱うことも、生命の絶対的な優位性を主張す