西垣通のレビュー一覧

  • 基礎情報学 : 生命から社会へ
    情報の「本質」は生命による「意味」作用であり、意味を表す記号同士の論理的関係性やメディアによる伝達作用は派生物に過ぎない。情報の「意味」とは、生命システムにおいて発生し、伝達されるものである。そして本書で取り上げている「基礎情報学」は、世界を「情報」から眺め、かつ従来の情報工学や情報科学では扱いが難...続きを読む
  • こころの情報学
    第4章がおもしろい。共同体の書き方が、すごくシンプル。終盤、若者の心の問題になったのは、戸惑ったけど。
  • 基礎情報学 : 生命から社会へ
    関連本二冊目だけどむしろ疑問が増えた。 1. 「階層的」自律システムの制約強すぎないか? 2. 社会システムの説明あたりで、急に現象論的で場当たり的になってる気がする。 3. 観察者や相互作用の辺り良くわからない。写像・要素・作用素とかでシンプルに出来ない?
  • 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
    数学的には、個人の知より、集合知の方が正しい。ただし、そうなる条件としては、多様性の高い集団であることとのこと。多様性が低ければ、結局、個人が間違うのと同じ様に間違うという当り前のこと。
  • 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
    クオリア,暗黙知,APS,HACS,ネオサイバネティクス,SEHS,分人,アサキモデル...色々な学説が出てきて、思ったよりヘビーな新書だったが筆者の要点としては、
    ①多様な価値観が混在する人間集団において閉鎖性・不透明性が保たれれば、メンバー同士の二人称対話(信用のキャッシング行為)にもとづき、社...続きを読む
  • 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
    正直、今の私には少し専門知識が不足していて咀嚼しきれない表現が多かった。通常、新書を読むペースより2倍の時間をかけ、目次を写してメモをとりながら2度読む方法をとった。
    西垣通氏の著書は以前に何度か読んでいて社会学的な視点で興味のある眼差しを持っている方だという印象を持っていた。本書も、第一章で今...続きを読む
  • 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
    集合知の本でありつつも「ビッグデータの集合で、最適な回答が導き出せる」という立場とは真逆の本。

    情報学をベースにしつつ、認知学、心理学、組織論などの分野と関わりながら、人間と機械の違いに注目し、「人間の知が機械に取り込まれる」のではなく、「機械を使って人間がどのように知を流通させるか」がテーマ。
    ...続きを読む
  • 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
    「グローバルでフラットなIT社会」を目指すというような最近の画一的な風潮に,「個人的な知」からの切り口で批判的に論じた一冊.めちゃくちゃ面白い.

    全体的に少し感情的な表現に感じるところもあったけど,何より,「本当にコミュニケーション活性化とか,情報共有とか,徹底的に推し進めていいのかな?」という疑...続きを読む
  • 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
    あとがきから引用

    20世紀は、専門家から天下ってくる”客観知”が絶対的な権威を持っていた時代だった。21世紀になると、一般の人々の多様な”主観知”が、互いに相互的な位置を保って交流し、ネットを介して、ゆるやかな社会的秩序を形成していくのではないだろうか。個々の血のにじむような体験からなる、繰り返せ...続きを読む
  • 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
    集合知とは何か、というタイトル通りの本です。
    生命体の集合知では、クオリアという感覚質によって外界の情報を無意識にインプットされ、個体の記憶を基にして情報が再編される閉鎖的自律システム(オートポイエティック・システム)。時間や場所や心理状態が変われば、同じものを見ても感じ方が変わるのは当たり前。そし...続きを読む
  • ネットとリアルのあいだ――生きるための情報学
    人間の心を機械で作る試みはまだ発展途上で、失敗の原因は言語的自己ばかりを求め、身体的自己を蔑ろにしているからである。
    心のはオートポイエティック・システム(自己創造)である。
    インターネット(殊バーチャルリアリティ)の問題は、人間の知覚(嗅覚や触覚や味覚)を使っていないことである。主に言語脳しか使わ...続きを読む
  • 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
    1948年 ウィーナー「サイバネティックス-動物と機械における制御と通信」
          ウィーナー「人間機械論」
    サイバネティックスとは、本来、生命体が生き続ける為に、いかに電子機械を活用すればよいか、という実践知に他ならない。

    生物の主観世界を考慮した革新的なサイバネティックス1970年代から現...続きを読む
  • 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
    「情報」「知識社会」「知」「パラドックス」「自己言及」「クオリア」「心身問題」「オートポイエーシス」「自己組織化」「時間」「生命体」「生物」「秩序」「分人」「平野啓一郎」「ベルクソン」「モナド」等々最近、気になっていた言葉が次々に現れて驚いた。

    内田樹さんが、「人は何を知りたいかわからないままに知...続きを読む
  • 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
    西垣通の新刊。集合知は、ゼロ年代のweb2.0のときに微妙に流行って、オープンとかシェアとかあのへんのネットカルチャー的な耳あたりのよいバズワードとも相性が良かった。ノマドだとか新しい民主主義だとか一般意思2.0だとか、10年代の議論にも連なるかもしれない。
    しかし、著者はそんな意識が高くナイーブな...続きを読む
  • 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
    情報論の西垣さんの本。
    原発事故との絡みも多く、面白い。
    過度の専門分化と予算不足からくる産学協同の推進が専門知のレベルを落とした。
    専門知の普遍性と一般性の崩れ。

    正解のない問題
    正解の推測より「物事の決め方」へ

    依然として「みんなの意見」より専門的権威を信じているという事実

    数理社会学者ス...続きを読む
  • 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
    思考とか主観的な知識や暗黙知はどこまでも一人称的なものだから、これを客観的にとらえて三人称的にとらえた段階で変質してしまうので、主観的なものは主観的なままで捉えるのがいいみたいな話。
  • 続 基礎情報学 : 「生命的組織」のために
    情報学的転回は「人間中心ではなく生物中心」で、「人間の機械化を否定」し、ITと生命活動との新たな可能性を探る。組織の生命的な活性度を上げるためのタイプIIIアプリケーションを模索せよ。大量生産/大量消費と個人間の熾烈な市場競争にもとづくいわゆる知識社会とは異なる、集合知と共有財にもとづく近未来社会の...続きを読む
  • 1492年のマリア
     本の帯にあるキャッチフレーズは的外れで、推薦文も何が言いたいのか良くわからない。これは講談社のマーケティングの失敗か? 何もミステリー小説みたいに仕組まなくてもいいのに。 
     
     歴史小説として丹念に書かれている秀作です。コロンブスの航海がはじまる経緯の裏に、ユダヤ人の悲劇が隠されていたという新し...続きを読む
  • こころの情報学
    西垣さんは、後書きでも書かれているとおり、ところどころで「知的暴力」という過ちをおかしており、論証力という部分において、ちょっと突っ込みたくなる部分があるのだが、一冊通して読むと、得るところが多い書き手なのが魅力である。

    今回は、オートポイエシスという概念に、アフォーダンスという概念を交差させ、...続きを読む
  • こころの情報学
    [ 内容 ]
    地球上に生命が誕生した三十数億年前に、情報も同時に誕生した。
    情報とは生命の意味作用であり、ヒト特有の言語もその発展形にほかならない。
    すなわち、ヒトの“心”とは“情報”が織りなすダイナミックなプロセスなのである!
    それでは、動物の心を根底にもちながら、一方で機械(コンピュータ)で心を...続きを読む