長谷川三千子のレビュー一覧
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『ブリューゲルのバベルの塔』展を観に行ってミュージアムショップでみつけた本です。
著者あとがきから
著者は、ユダヤ教、キリスト教信者でもなく、聖書学の専門的訓練も受けたこともない門外漢で、この本は「学術書」でも「研究書」でもない
或る一つの謎を追ってゆくことの楽しさを共に味わっていただければ、それが何よりのこと、と考えている。どうぞ気楽にお楽しみ下さい!
→ 若かりし頃『小説「聖書」』を読んで、人間に戦争を起こさせたりする神様ってなんなんだと、理解に苦しみましたが
長谷川三千子さんの謎解きを読んで、そうだったのか!ということをたくさん知れて面白かったです。
読み易かったし、本当に気楽に楽しめ -
Posted by ブクログ
和辻哲郎の『続日本精神史研究』に収められている「日本語と哲学」という論考を手がかりにしながら、日本語という観点に立つことで西洋から輸入された哲学的な思索がどのような新たな眺望が得られることになるのかを考察している本です。
前半は、デカルトやヘーゲルらの思想と、それに対して和辻がどのように切り結ぼうとしているのかを明らかにしながら、少しずつ著者自身の問題意識が明らかにされていきます。後半になると、日本語の「もの」と「こと」をめぐる著者自身の思索が展開されます。とくに著者は、「もの」ということばに「無のかげ」が差し入っていることと、「こと」ということばによってその内容が区切られ、際立たされている -
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「からごころ」をはじめ、五編の論考を収録しています。
本居宣長と小林秀雄の議論を読み解く著者は、宣長を「「日本人であること」といふ問題を発見してしまつた人、そしてそのことによつて自らは日本の内からはみ出してしまつた人」と規定します。宣長が見ようとした「やまとごころ」は、「漢意」を玉ねぎの皮のように剥がしていくことで後に残されるようなものではありません。彼が見いだしたのは、意識的な中国崇拝ではなく、善悪是非の判断のような普遍的な原理として、知らず「漢意」を取り入れてしまっている、「漢意」を「漢意」として知ることのない、日本人の盲目ぶりでした。そして著者は、日本人が発明した訓読において、漢文が中 -
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人は考えるとき、必ず何語であれ、どれかの言葉で考える。そして、言葉が概念を切り取る。そのため、考えるとき、自分の言語の影響を受ける。西洋の言葉で考えられてきた哲学を日本語でとらえ直そうという和辻氏の言葉を受けてかかれてもの。特に、「存在」と「存在者」の関係を、「もの」「こと」という日本人が昔から自然に使ってきた言葉を見つめ直している。
万葉集などの和歌までさかのぼり、「もの」には無のかげがちらついている、例えば、 物悲しいとか、という見つめ直しが面白かった。
ただ、人の考えの批評が多く、もうひとつ踏み込んで議論してほしかった。
未完という意味で「日本語の哲学へ」なのだろう。 -
購入済み
日本の国体
日本の国体とは即ち、天皇陛下と臣民との紐帯であり、それが破壊された際の重みがいかほどであったか、多方面から述べて、その姿形を明らかにしようとしています。日本の国体が何なのかを、とことん考えたい方に対しては、お薦めです。筆者の語ろうとする感覚は、私には無いものであり、すでに日本の国体が失われた証左なのかと推測されました。
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安倍政権のゴリ押しぶりには、うんざりしている私。
この著書、2014年発行で、安倍応援団と自称する二人。
あれだけ勉強して、あれだけ忙しく多くのことを成した総理大臣はないと言うのが評価だが。
この後、加計学園事件など諸々の忖度事案の腐った問題をうやむやにしてる現状で、どうにもこうにも、評価できないと言う立場の私だが、読んでみた。
細かい部分、特に少子化問題の現実などは共感できるし、若い人たちが起こした安倍晋三をもう一度総理にする「プロジェクトA」
この本が書かれた時点では、諸々の悪影響が見えていなかったかもしれないが、なんとも読んでて、こんな頭のいい人たちでも見えていなかった真実が -
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【目次】
1. 日本語と哲学
2. デカルトに挑む
3. 「ある」の難関
4. ハイデッガーと和辻哲郎
5. 「もの」の意味
6. 「こと」の意味
【概要】
物事をどのように理解するかは、言葉の形によって左右される。
「存在とは何か」という哲学の根本命題を日本語で思索する場合にも、西洋哲学の用語を翻訳して理解しただけでは不十分であり、まずは日本語自体のもつ「わかり」の形を明らかにしなくてはならない。
そうした道具立てをしっかりとした上で、日本語の哲学が始まる。
【感想】
結局、「もの」と「こと」との根本義について、筆者の見解を述べただけで終わる、中途半端な内容。
物事が次々に生じては消えて