林芙美子のレビュー一覧

  • 放浪記
    去年の12月にラジオで偶然、作家の林芙美子さんの亡くなる4日前に放送された肉声を聴きました。
    昭和26年に放送された若い女性からの様々な人生に関する質問に林さんが答えていく内容です。
    車の運転中でしかも音質もそんなに良くなかったので内容はきちんと聞き取れていなかったのですが、その語り口はとても優しく...続きを読む
  • 掌の読書会 柚木麻子と読む 林芙美子
    とても面白かった。

    放浪記より個人的にはこちらに入っているような短編が好き。

    特に『退屈な霜』は思わず笑ってしまったところもあった。

    もう林芙美子が大好きになっていて、これからもまだよんでないさくひんをどんどん読んでいきたくなったし、今回読んだ作品も再読したいぐらいハマった。
  • 浮雲
    面白かった。彼女が流行作家と呼ばれる理由が分かったような気がした。解説に書かれていた、最晩年の彼女が「かねてかきたいものを、心置きなくかき始めた。」まさにそれで、私にとっては、敗戦前後の混乱期のその当時を知る上で、見たかった風景、情景、社会情勢、人々の日々の暮らし、考え方感じ方全てが描き込まれていた...続きを読む
  • 愉快なる地図 台湾・樺太・パリへ
    まだ林芙美子をよく知らない。
    NHK「100分de名著『放浪記』」の回で林芙美子の文章の魅力に目覚めた。
    上記番組で指南役を務めた、作家の柚木麻子さんが、とっても新しいんです、今こそ読んでほしいと言っていた意味がよく分かりました。

    この本は、その林芙美子の若き日の紀行文を収めたもの。
    1930年か...続きを読む
  • 放浪記
    放浪記といえば、森光子さんのでんぐり返しが思い出されるが、原作を読むのは初めてだった。 大正11年から5年間、日記をもとに昭和5年に刊行された放浪記「第一部・第二部」と、敗戦後に発表された「第三部」を収めてある。

    これはおもしろい。言葉の運びがとても斬新で読みやすい!
    第一部(放浪記以前)
    「私は...続きを読む
  • 放浪記
     時系列が…とか人間関係が…など気にし出すと読めないと思うが、一気に読んでしまった。
     NHKの番組がきっかけで手に取ったという経緯は恥ずかしいが林芙美子さんに出会えてよかった。
     ジェンダー、経済格差、いじめや差別、政治不信などいろいろな課題があるのに放置されている今こそ読む価値があると思う。
     ...続きを読む
  • 掌の読書会 柚木麻子と読む 林芙美子
    「放浪記」「浮雲」を読み、この本を見つけて読んでみました。とても面白かったです。
    様々な時代を駆け抜けてきた林芙美子の姿が思い浮かんでは消えていくようでした。
    詩人でもあった林芙美子の文章がとても心地よく、そして何より読みやすいし面白いです。
    柚木麻子さんの後書きにもあるように、2023年の現在、よ...続きを読む
  • 放浪記
    100分で名著でとりあげられた。分厚い本で今まで読んだことがなかった。作者の自伝で単にいろいろな生活をしていることをえがいているだけであるという紹介が多かったが、実際は小説や童話や詩を書いていて、なかなか採択されないという状態を描いたものであった。詩が書かれていることも放浪記の紹介にはなかったと思わ...続きを読む
  • 浮雲
    林芙美子の作品を読みたくて放浪記、そしてこの浮雲を読み終えました。
    テンポのいい文章にこの読みやすい作風はまさに秀逸。
    私はすっかり彼女のファンになってしまいました。
    他の作品も探しての読みたいと思います!!
    いくつも印象に残る文章がありましたが、私は特に六十一の最後に信じていない神に対して祈る富岡...続きを読む
  • 放浪記
    題名のごとく、ひと所で落ち着いて暮らすこと、働くことがない。
    それは放浪癖があるわけではなく、働いても貧しい賃金でそのまま働き続けることへの失望から
    よりよい場所を求めてのさすらいであり
    沈む気持ちを奮い立たせての場所も気持ちもリセットする意味があったのでは無いかと思われる。

    途中で関東大震災が起...続きを読む
  • 掌の読書会 柚木麻子と読む 林芙美子
    ユーモアとバイタリティ、誰にも負けない野心を持つ林芙美子の「ふてぶてしさ」に、何度も勇気づけられたという作家の柚木麻子さんが編集する、林芙美子の短篇集。

    本書の一遍「暗い花」は、戦後の東京を売春で生きる女性が主人公。田舎から母親が訪ねてくる。何も知らず、娘の生活を心配する母親に幾らかの金を持たせて...続きを読む
  • 絵本猿飛佐助
    ぜんぜん古臭さを感じないまさに「秀逸」な時代小説。
    猿飛佐助もまたかっこよく描写されています。
    だけれども奇妙奇天烈な術等は出てこないので
    本当にいそうな感じです。

    時には恋をし、時にはその恋人のために
    一人の女を振らねばならぬ、と言う
    まさに「男を試される」場面もあります。
    そして時にはある大物...続きを読む
  • 放浪記
    林芙美子の若いころの自伝的小説。
    もがいてももがいても脱け出せない極貧生活の中で、
    「なにくそ!」と前を向いて生きて行く姿が痛快。

    「ぐだぐだ言っている奴の横っ面を引っ叩いてやりたい」
    殺伐とした芙美子の言葉を読んでいると、
    食うに困らぬ人の「生きる悩み」というのは、
    結局は「心配は道楽のうち」な...続きを読む
  • 放浪記
    映画は見たことがあり、読む本もなくなったので
    読んでみるかと読む。この捨てっぱちな主人公の
    文章が映画の中の高峰秀子さんそのままで高峰さんを
    想像しながらずんずん読みすすめた。
    当時の貧乏がどれほどの貧乏か、食うや食わずの大変さ
    などをひしひしと感じながら読む。今の時代は貧困もあるけど
    ...続きを読む
  • 放浪記
    1930年ころの日記。ブログの走りがこの作品。女性ながらもすさまじい人生を送っていると感じるのは、戦争後という時代背景も関係がありそう。
  • 浮雲
    終わり方かっこいい。急に回想が始まったりするけど読みにくくない。心理描写うまくて、真に迫る表現がちょくちょくある。
    尾道行く前にと思って林芙美子の本読んでみたものの、読むべきは放浪記の方だったみたい。お酒強い人はそれで大変だなぁと的外れなこと思った。
  • 放浪記
    貧乏ってやつぁこういう事を言うのさね。どこまでもどこまでも追いかけてきて、いつの間にか自分に成り代わって、次の貧乏をうむのさね。自業自得とのたまう人の、なんたる無理解。金と親と別れた男についてのどこまでも続く愚痴。恋愛模様は演歌そのもの。さまようのは、住まいだけでは無いのです。
    破滅型の生活、自己生...続きを読む
  • トランク 林芙美子大陸小説集
    満州国というものが存在していた頃の、かの地やモスコー(モスクワ)や欧州へ野望や夢を抱いて乗り込んでいった人々を描く短・中編集。今の感覚で読むと、この人たち侵略に罪悪感とか抱かなすぎじゃない? と思ってしまうが、当時の普通の人々の感覚としては、内地で鬱々としているよりも海の外に出てやろう、という気持ち...続きを読む
  • トランク 林芙美子大陸小説集
    戦前・戦後、日本やロシア、中国、パリなどを舞台にした短編集。
    「雨」、なんとか命からがら日本に帰ってきた兵士が故郷に戻ったが居場所がなかった話が印象的。「いったいこんな焼け野原になるまで、どうして人々は我慢をしていたのか」
  • 放浪記
    日記文学という形式の中に,自ら生計を立てていくことの自覚と,時折現れる詩情が入り混じる。本作のリアリティはいきが良い。