林芙美子のレビュー一覧

  • 愉快なる地図 台湾・樺太・パリへ
    林芙美子の紀行文をまとめた
    オリジナル編集の文庫本。
    ハンディで嬉しい。

    283ページの本とはいえ
    芙美子さんって一文がわりと長いので
    なかなか読み終わらなかった。
    旅の記憶も濃ゆいしね。

    鉄子としてはシベリア鉄道もいいけど
    満州鉄道の記録も良かった。
    それからパリを拠点にバルビゾンまで
    足を伸...続きを読む
  • 放浪記
    大正から昭和初期の生活の様子が垣間見ることができ、興味深い。特に赤裸々に貧困した生活を描いているので、当時の物の価値を知るのも意外と面白かった。

    貧しい中でも自分の作品(詩、童話、小説)を世に送り出そうとする意欲に感服する。
    単に自分の能力に自信がある、ということだけではないのだろう。世に登場する...続きを読む
  • 愉快なる地図 台湾・樺太・パリへ
    ●は引用、その他は感想

    ブックレビューに”沢木耕太郎や下川裕治の先取りのようだ”というコメントがあったが、自分もそういった印象を受ける。バイタリティーに富んだ人なのだろう。だから、興味があるとそれを実行してしまう。本書では、軍国主義の台頭に嫌悪感を表わしているのに、たぶん同時に語られる愛国心の発露...続きを読む
  • 放浪記
    ★3.5
    文章が素敵。生活が大変だった日々の記録なんだけれども、暗くなくてどこか明るいと感じるのは、作者の性格なのだろうか。
  • 放浪記
    よ、ようやく読み終わったぜ。
    林芙美子の極貧時代。ほんの100年前まで、女には人権も仕事もほぼなかったのだよな。
    書きたい執念、愛への妄念。強い。
  • 放浪記
    少し前の時代を読むと男性作家が男女関係を書いたものが目立つ気がして、女性作家は何を書くのか気になって手に取った。
    読んでみると題の通り、小説ではなく日記だった。ひたすらに飢えていた。読むうちに、当初知りたかった男女観よりも制作の実際に興味が湧いた。

    「食事のあと、静かに腹這い童話を書く。いくつでも...続きを読む
  • 放浪記
    第一部〜第三部が縦割りなため時系列がわからず、一つのストーリーとしては読みづらい。話自体とびとびなので、なりゆきがつながらず、ストーリーというよりは筆者の一つひとつの心情を読んでいく感じ。
    故郷を持たず、旅を故郷とする筆者の放浪の記録。本当に職も所も転々としている。極貧の中自分で働いて尾道高女を出た...続きを読む
  • 放浪記
    改造社版の放浪記のあと、全面改稿が行われた放浪記が第三部まで出されていて、本書はその全三部を収録。
    だれもが言うとおり、こちらは落ち着きと丁寧さはあるものの、改造社版の原初の破壊力は薄められてしまった。

    もちろん改造社版のほうが優れた作品だが、これはこれで。
  • 貧乏こんちくしょう 林芙美子作品集
    作者の言葉を借りれば『貧乏こんちくしょう』ではなく『貧乏どうにかなろうたい』なんだと思います。極貧のなかにあっても“どうにかなる”という精神の強さ。登場人物達の生い立ちと生き方は時代ならではの壮絶さでありながら、どこか突き抜けてたくましい。今の時代では法律違反や不謹慎と言われる行為も、この時代では仕...続きを読む
  • 放浪記
    自身の日記を元にした私小説。放浪の中に生きる女性の姿。それも、かなり生身。逞しさの中で儚く、あざとさの中で純粋で、逃げたいと思いながらも立ち向かう。人間の様々な面を、洗いざらい目の前にさらしてくれる。こんな本は、ちょっとない。
    森光子の舞台で有名な本書。女性の立志伝という読前の印象は、いい意味で裏切...続きを読む
  • 放浪記
    現代とは違いすぎる、当時の日本がひしひしと伝わる。
    土地を転々とし、様々な職に就き、多くの人々と出会う。

    個人的に好きな場面は、第三部のちもとという店で働いている時の、芙美子と料理番であるヨシツネとのやりとり。
  • 放浪記
    林芙美子の出世作、なんども改稿し続けた1~3部を収録。
    表紙には「逆境におしつぶされることなくひたすらに文学に向かってまっすぐに生きる」と書かれているけど、まったくそういう風には読めません。少しも埒の明かない暮らしに、しょっちゅう自棄っぱちになっては悪態を吐き、できもしないことを夢見たりして、それで...続きを読む
  • 放浪記
    貧困はこうも人を卑屈にするものかと思いました。また、作者自身の男性との関係のいつまでも未練たらしく優柔不断なところや職を転々とするところなども少しばかり腑に落ちませんでした。正直この作品が後々まで読み継がれていくほどの作品かなと思いました。
  • 放浪記
     最近はあまり小説は読まないが、女優「森光子」の逝去の知らせとともに「放浪記」が取り上げられる中で本書を一度は読んでみないといけないと思い手にとってみた。
     しかしこれは「小説」なのだろうか「日記」なのだろうか?
     「林芙美子」の原作は昭和3年(1928年)発表だが、その元となった著者の日記は大正1...続きを読む
  • 放浪記
    日記というかなり主観が介入した内容かつ林が自分で隠したい部分は省いたので、結構日付が飛んでいる……。一体、省いた部分で何が起きたんだ。いきなり転職してたり引っ越してたり、忙しい人だったんだなぁ。この時代の女性としては珍しいのかな。
  • 放浪記
    一にも二にも貧乏。
    貧乏、貧乏、貧乏です。

    極限の貧乏の中で、ぎりぎりに生きる女の放浪記。

    部分的に、「馬鹿に」切ない。
    虚しく当て所ない怒り。
  • 放浪記
    大女優が連続出演記録を更新する名作として知られていますがよく知らなかったし、桐野夏生が林芙美子を描いた?「ナニカアル」を出版してるのでその予習としても、ぜひ読んでおかなければ、と。まさにその日暮らし。とにかく貧しい暮らしの連続。それを延々と書いている。貧しさもここまでくると家族まとまって暮らす家など...続きを読む
  • 放浪記
    浦野所有。

    花のいのちはみじかくて 苦しきことのみ多かりき――
    『放浪記』を読んで、この言葉の真意が少しは分かったかな…?

    青々とした力強さに満ち、極貧生活のなかでも夢を捨てることのなかった一女性の生きざまが、凄まじい力をもって迫ってきます。

    いますぐ地球が爆発しないかと期待したり、裸で町中を...続きを読む
  • 放浪記
    昔、群ようこの本をやたらめったら読んでいた頃に「いつか読もう」と決めていて、でもなんとなく手を出しづらくて結局こんな歳になってしまった。やっぱ、もう少し早く読んでおいてもよかったかな。お金がないということ、寂しいということの切実さを、私は全く知らずにこの歳まで生きてきたんだなあと痛感。
  • 放浪記 分冊版 1

    ありきたり

    漫画にしちゃうとありきたりですね。
    学校の先生ヤバイけど、昔ならこういう感じで卒業したらお嫁に見たいなの普通にあったんだろうな。