巽好幸のレビュー一覧
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マグマや火山の形成、噴火の要因、富士山や巨大カルデラ噴火について、わかりやすくまとめられている。
マグマは、海洋プレートが沈み込んだ100km以上の深さでプレートから絞り出された水とマントルが反応して生まれる。玄武岩質マグマは、比重が重いマントルの中を上昇した後、ほぼ同じ比重の地殻の底で止まる。そこで冷えて結晶化したものが沈み、液体部分に軽い二酸化ケイ素が増えた安山岩質マグマが残ると、地殻より比重が軽くなって上昇し、地殻内にマグマだまりをつくるが、地表に到達するまでに大部分は結晶化する。これによって大陸地殻が成長することになる。一方、伊豆・小笠原弧の地殻は重くて薄いため、玄武岩質マグマが上昇しやすく、大量のマグマが海底に達して大きな海底火山を形成する。
マグマ溜まりが地震によって揺さぶられると、発泡現象によりマグマに溶け込んでいる水が気体となって圧力が高まり、岩盤に割れ目ができると体積が増えてさらに発泡が起きることを繰り返して噴火を起こす。巨大地震が起きると歪みが解放されて、地盤に働く力が圧縮から引っ張りへと変化するため、マグマ溜まりの圧力が下がることも噴火の要因として考えられる。噴火マグニチュードは、噴出物の総重量(kg)の常用対数から7を引いて求める。
数十万年前、伊豆半島周辺では、箱根火山、愛鷹火山、先小御岳火山、天城火山などの火山活動が盛んだった。箱根火山は6万6000年前にM6.1の大噴火を起こし、火砕流は横浜まで到達し、都内に20cmの東京軽石層を形成した。富士山は未熟な地殻の上に作られたため、玄武岩質でできており、密度が重く、粘性が低いためにストロンボリ式噴火を繰り返し、円錐形の山体ができあがった。
富士山が噴火すれば、降灰が50cmに及ぶ富士吉田や御殿場では家屋に被害をもたらし、10?になる大月以南、三島以北、神奈川県の大部分では鉄道や道路が通行不能になる。2cmの降灰が予測される中伊豆、東京、千葉の大部分では、電機や水道の供給が止まり、農作物は収穫不能になり、呼吸器系疾患をもたらす。
巨大カルデラ噴火は、プリニー式噴火によって大量のマグマが噴出した後に、カルデラが陥没していくつもの割れ目が生じてクライマックス噴火を起こすもの。8万7000年前の阿蘇4噴火(M8.4)では、自らの熱によって火山灰同士がくっついた溶結凝灰岩によって宮崎県の高千穂峡や大分県の滞迫峡ができ、北海道でも15cmの火山灰が積もった。2万9000年前に起きた姶良カルデラ噴火(M8.3)は、火砕流が九州南部を覆い尽くし、鹿児島地方でシラスと呼ばれる200m近くの火山灰層をつくり、偏西風によって運ばれた火山灰は、10?以上の丹沢軽石の火山灰層(AT)や鳥取県大山周辺の20cmのキナコと呼ばれる火山灰層を形成した。7300年前の鬼界アカホヤ噴火(M8.1)では、九州南部に30cm以上の火山灰が降り積もり、南九州の縄文人は絶滅した可能性が高い。鬼界アカホヤ噴火のエネルギーは、大型台風の10倍、富士山宝永噴火やM9地震の800倍にもなる。
著者は、災害対策の必要度の指標として、その死亡者数と発生確率を掛け合わせた「危険値」を用いている。
南海トラフ地震 推定4%×32万人=12800人/年
巨大カルデラ噴火 推定0.003%×1億2000万人=3600人/年
首都直下地震(M7以上) 推定4%×2万3000人=920人/年
富士山山体崩壊 1/5000年×40万人=200人/年
豪雨・土砂災害 実数100人/年
阪神淡路大震災 前日の確率0.02〜8%×6400人=1〜500人/年
富士山噴火 推定1/1000年×1万4000人=14人/年 -
Posted by ブクログ
研究者本。宇宙のゴミが集まって、水星〜火星の地球型惑星ができた。その中で地球だけが、海洋地殻と大陸地殻の2種類の地殻を持つ。なぜか?筆者らの説は、地球でのみプレートテクトニクスが作動し、元々は一種類の海洋地殻しか無かったところに、地殻の沈み込み、水と地殻の反応により、海洋地殻が、軽い大陸地殻と沈み込む重い物質に分化した。そして、プレートテクトニクスが作動した理由は、水があったから。何百kmの深部、何十億年前の出来事などを、現代の地上で得られる様々な証拠から読み解くストーリーは引きつけられる。研究者本なので、多少の理科知識(大学教養課程程度)はあったほうが理解しやすい。
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日本人は古くから、山に神を仰ぎ、巨岩に神の気配を感じ、湧き出る水に祈りを捧げてきた。やがて仏教が伝わると、その祈りの風景に仏が加わり、神と仏は時に重なりながら、この国独特の信仰を育んでいった。その背景を地殻変動から読み解こうとする。火山が生んだ山、断層がつくった谷、地下から湧く水。神が鎮まる場所、寺が建つ場所には、大地の営みが深く関わっていた。神は自然への畏れから生まれ、仏は人の苦しみに救いをもたらした。その二つが大地の上で出会い、溶け合ってゆく。神と仏を知ることは、日本人がこの激しく動く列島と、どのように生きてきたかを知ることでもある。
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ネタバレ中々気になっていたけれど
知らなかった地球のことが知れて面白い!!!
まぁ文系だったので、難しいことはよくわからなかったけれど、概要はゆる〜〜く掴めたかなと思う。
個人的に、古カンブリア紀辺〜ジュラ紀辺りまで
かなりワクワクするポイントなので、
(なぜなら現在ではもう存在しない生物がたくさんいてその歴史に想いを馳せられるのがなんだかロマンがあるのである=ロマン大好き)
その辺りの地球の状態がとても興味深かった!
あとはやはり、日本に住んでいて火山&地震は
知っておきたい部分だったので、
こういう仕組みで色々と活動しているのだ!!と
改めて地球の動きを俯瞰できるし、
己の地震対策を再考するきっかけにもなると感じる。
そして、今回は単行本を読んだのだが、
表紙デザインがスッキリとしていて格好いい!
飾りたいレベルで美しいなぁ〜
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軽い読み物かな~と読みはじめて、
違うじゃん!私の早とちり!
ちゃんとしたマグマ学者の人が書いてるよ。
資料も産業技術総合研究所地質図ナビ、国土地理院、海上保安庁のデータをもとに作成
とかだし、無理かもしれないなぁ~。
と、思いつつ読み進んだら、面白いのよ。
なぜ?読めるの?
それは、巽好幸先生が、食いしん坊だから!
出汁とブイヨンの違いは軟水と硬水の性質の特性のいかしかた、ではなぜ日本は軟水なの
と、地理のお話。
下仁田ネギがオンリーワンなのは、地質と
からっ風の通過で、関東ローム層が堆積しないこと。だったとは!
そんなこんなで、へぇー。そうなんだ!
と面白く読めました。
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Posted by ブクログ
前半は東北大地震(3.11)以来、列島の火山が活動期に入ったなどという俗説をマグマ学の第一人者がやんわり否定する。そんなに単純な話じゃないよ、というため息が聞こえてきそう。また、地震予知分野よりはマシなようだが火山学でもまだまだわからないことが多くて噴火を予測するのはかなり困難であるようだ。
後半は、列島の火山活動を概観して、非常に稀だが一旦起きると極めてシビアな災害、例えば阿蘇4噴火の再来や南海地震などに備えるべし、との提言。役人は頻度が小さいと見込まれるとなかなか動けないとのお嘆き。
面白く読んだが、もう少し火山学に振って深めのお話を読みたい。 -
Posted by ブクログ
日本に住んでいる限り地震に合うのは当たりまえで、地球の歴史からするといつ大地震が起きてもおかしくない状況なんだからお前ら覚悟しろよとマグマ学者様からの警告。
筆者が言う大地震が来るという想定で首都機能を分散させるというのは私も大賛成。現実は難しいと思いますがぜひ福井県に・・・・
大地震が起きてからじゃ遅いってのも皆分かっているはずなのに現状が安定していると行動を移さない、そう、自分だけは大丈夫という『正常化バイアス』のおかげで将来の危機に対応できない、んー、気持ちは分かりますが何とかしないと怖いですよねえ。
という自分は地震がいつ来ても対応できるようにヘルメットとピコピコハンマーを準備しています。 -
Posted by ブクログ
火山の専門家、マグマを専門とする学者が、「私たち日本人はなぜ、地球で一番危険な場所に住み続けているのか?」と大変動列島に住み続ける危険性について、警鐘をならす。
私たち日本人が暮らす、日本列島の自然や多くの自然の恵み。それらは、日本列島が4つのプレート境界に位置し続けていることによる不安定な均衡の上になりたっており、また、その不安定な均衡であるからこそ得られているものでもある。
著者の専門のマグマ、マントルの対流と、それに引きずられて移動するプレートの流れ。それらの接点に位置する日本列島には、地震と噴火は必ず起こる。
その事実を、専門家としてはおそらく平易に、しかし、一般的に見れば十分専門的に解説を行っている。
そして、多くのページが割かれている最終章では、日本列島に暮らすということの危険を認識し、必要な対処をおこなう必要について、警鐘をならす。
300年に一度おきる程度の噴火や地震という表現を使われることが多いが、今年一年起きなければ良かったと安心するのではなく、残りの期間(分母)が299年になった、つまり危険性は高まっていると判断すべきだという重要な指摘があった。
たとえば富士山について、江戸時代から大噴火を起こしていないということは、毎年毎年、一日一日、噴火の危険が高まっているのだと判断すべきと。
それは、たとえば、九州全域を吹き飛ばすような大噴火も例外ではなく、その危険性を高めているのだと。 -
Posted by ブクログ
東北地方太平洋沖地震が起こる直前まで、新燃岳の噴火が連日報道されていました。地震と噴火は、必ず起こる、のです。今信じられている大陸移動説を日本に当てはめて考えれば、永い年月安定した地面などは存在しないということはもちろんのこと、噴火だって、ある程度予測はできても防ぐことは出来ない。
ではどうするか。人口を集中させないことだと。過疎が進み、インフラ投資の効率化から、地方都市はより集中の方向に向かっているようですが、それは大絶滅への布石、になってしまうかもしれません。多様になって分散していくというのが、生き物の生き残りの術だよね。ひといろに染めて同じ所に固めるな、ってこと。
興味深いのは、最終章に日本神話が触れられていること。多様な自然から、絶対的な神ではなく、八百万の神が生み出されたのだと。こうした風土を前提に僕らは進んで行かないと。横槍に負けるな。