山岸俊男のレビュー一覧

  • 安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方

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    社会的不確実性の大きな状況(他人の意図についての情報が必要な場面でそれが不足している状況、相手の行動いかんでこちらが不利益を被るような状況)で、どのようにして他人と取引、コミュニケーション、協力etcを可能にするのかを論じた本。本筋の日本社会論よりも、一般的他者に対する信頼感の強弱が生むコミュニケーションスタイルの差異について論じた箇所が面白かった。

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    2013年10月15日
  • 社会的ジレンマ 「環境破壊」から「いじめ」まで

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    (1)一度きりのジレンマ状況においても応報戦略を用いる「賢い」利己主義者が、同じ様な「賢い」利己主義者の集団で最も利益を得る、と言う実験結果は大変興味深い.問題は母体集団において、短期的視野でしか動かない「愚かな」利己主義者の比率をいかに減らして、長期的視野でお互いに協力できる「賢い」利己主義者を増やせるかにかかっている.
    ある程度のアメとムチ(規制)は必要なようだ。しかしアメとムチが行き過ぎると全体主義に陥るというリスクがある.
    また、「みんながするなら(じぶんもそうする)原理」=「自分だけがバカを見るのでは無い」で協力行動を撮る人間が多数であれば、それにつられて「アメとムチ」が無かったとし

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    2012年12月13日
  • 社会的ジレンマ 「環境破壊」から「いじめ」まで

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    とりあえず最後まで読んだ、という現状。広いところに目を向けてそこから考えなくてはいけないのに、どうしても考え方を人の心を出発点として考えちゃう癖が抜けなくて、読みすすめるのに苦労しました。パチンと思考のスイッチが切り替わっちゃえばすっと頭に入ってくるはずなのに!というわけで、同筆者の別の本を読んでまた戻ってきて再読したいです。

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    2012年04月10日
  • 信頼の構造

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    同じ著者の「日本の安全はなぜ消えたのか?」に記載されている内容を実証実験で検証したやや学術的な本。
    (本書のほうが発売は古いので、実際は、本書の結果を踏まえて、新しい情報を加えつつ、「日本の安全はなぜ消えたのか?」を書いたと言うほうが正解)

    安心社会と信頼社会、日本とアメリカで同じ実験をしてそれぞれの特徴を検証している。
    個人的には、高信頼を得ることで、結果として得るものが多くなるという結果は、これからの社会を生きる上で嬉しいバックボーンとなる情報だと思った。

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    2012年03月26日
  • 社会的ジレンマ 「環境破壊」から「いじめ」まで

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    「わかっちゃいるけどやめられない」
    社会的ジレンマについて基本的な考察を丁寧に教えてくれます。
    「環境問題のことを考えれば、通勤には自家用車でなくて公共交通機関を使った方が良い」・・・・わかっちゃいるけど
    「寒い日はバス停で待つのもつらいので、ドアtoドアの自家用車を使ってしまう」・・・・やめられない
    こんな社会的ジレンマをちょっぴり科学的に考えてみるのに良い本だと思います。

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    2012年02月19日
  • 社会的ジレンマ 「環境破壊」から「いじめ」まで

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    ネタバレ

    様々な本を読んで思った事があります。それは、これからの学問は社会心理学と哲学(哲学史を含む)の時代だ、という事です。著者の本を読む度に、この『社会的ジレンマ』の課題解決に苦心する環境を打破できる処方箋があればな~と思います。フリーライダーの問題が解決できれば更に進歩した社会になる、しかしその根本的な解決法や処方箋は著者も持っていません。
    テレビCMで、『江戸時代の日本人の生活にはリサイクルが根付いていました。未来を頼んだよ!』というフレーズのものがあります。それはつまり、換言すれば『江戸時代の日本人は物を大切にしていた。それが日本人の民族性だ。しかし現代人は物を大切にしないで、ちょっと使えな

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    2011年09月07日
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

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    農村のような集団主義社会とは「信頼」を必要としない社会であり、逆に都会のような、いわば個人主義的な社会とは本質的に「信頼」を必要とする社会である。武士道と商人道の道、あなたはどちらの道を選んで生きますか?

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    2011年08月13日
  • 社会的ジレンマ 「環境破壊」から「いじめ」まで

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    違法駐車、いじめ、環境破壊等々、「自分一人ぐらいは」という心理が集団全体にとっての不利益を引き起こす社会的ジレンマ問題。
    数々の実験から、人間は常に「利己的」で「かしこい」行動をとるわけではなく、多くの場合、「みんながするなら」という原理で動くことが分かってきた。
    この「みんなが」原理こそ、人間が社会環境に適応するために進化させた「本当のかしこさ」ではないかと著者は考える。
    これからの社会や教育を考える上で重要なヒントを与えてくれるユニークな論考。

    [ 目次 ]
    第1章 イソップのねずみと環境破壊
    第2章 社会的ジレンマの発生メカニズム
    第3章 不信のジレンマと安心の保証
    第4

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    2011年04月20日
  • 信頼の構造

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    今春から所属することが決まったゼミの、昨年度の課題図書。
    ゼミ選考のために読んでみたら面白かった。
    「安心」ではなく「信頼」することの意義を知ることができる一冊。
    グローバル化した現代において、今まで美徳とされてきた内集団びいきの日本型ビジネス形態は、機会コストの点でも時代遅れと言える。
    人を信頼しやすい人間=お人よし、ひいては騙されやすい人間…ではなく、人の信頼性に敏感に反応できる能力を持っている人間なのだということを、豊富な実験を通して明らかにし、いわゆる”高信頼者”であることの利点を説く。
    まちづくり、環境デザイン系のゼミだが、それに関連して本書のような社会心理学系の書籍も読んでいこうと

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    2011年04月10日
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

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    ● この中国の例が私たちに教えているのは、「人間の心は教育によって、いかようにも作り変えることができる」という考えがまったくの誤りであったという事実です。

    ● 20世紀の社会科学における、最大の誤りの一つは「タブラ・ラサの神話」を信じたことにありました。タブラ・ラサとはラテン語で「白板」のこと。

    ● マザー・テレサのような、ごく一部の例外は別として、何の見返りもないのに他人のために働くといった人間性は、残念ながら私たちの心の中にはないのです。

    ● つまり、「日本人らしい」と思われていた謙虚さとは、日本人が本来的に持っている心の性質などではなく、日本の社会にうまく適応するための「戦略」とし

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    2009年12月24日
  • 安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方

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    考えさせられる。知らない人を見たら疑ってかかるような人より知らない人でもまず信じてみるような人のほうが得する世の中になりつつある。
    軽く読むには向かない。

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    2018年10月07日
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

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    ムラ社会では他人を信頼しなくて良いのだ、というのは目から鱗かもしれない。この本を読むと、最近疑問に思っていたいじめや一連の不祥事についての回答が与えられる。結論が、未来は暗いというのが悲しい。結局、自分も日和見派なので、誰かが何とかしてくれると思ってるですよね。読んで良かったと思います。自分の評判を大事にしたいと思います。

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    2011年07月17日
  • 信頼の構造

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    同著者の本『日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点』を、より学術的に詳しく記述した内容となっています。

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    2021年09月25日
  • 社会的ジレンマ 「環境破壊」から「いじめ」まで

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    社会心理学の観点から、囚人のジレンマを様々な社会問題に適用し説明している本。
    北海道大学の山岸先生は、この社会的ジレンマの研究で著名である。
    心理学を現実世界へ応用しようとする試みは、あらゆる心理学者が見習わなければならないだろう。
    欲を言えば、現象の予測や対策法をもう少し具体的に論じていれば、さらに良かったと感じる。

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    2009年10月04日
  • 信頼の構造

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    「安心」は、身内や仲間内など、裏切られる不確実性の低い安定した環境で得られる心の平穏です。取引相手が自分に不利益を与える可能性がほぼないという状況に生じると述べ、「信頼」は、相手の内面や意図への期待から生まれ、不確実性が高い状況でこそ必要とされます。信頼は不安のない安定の上には成立しにくいものと説く。
    本著でも触れられているが、コミュ力とコミュ障は親和性があり、集団主義社会における閉鎖的な「安心」環境は、コミュニケーションの型を限定的にしてしまう可能性があると示唆し、この環境下でコミュ障の人は、「信頼」が開かれた多様な相手と築く機会を逃しやすいので、より孤立感を感じやすいと述べる。
    さて、現代

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    2025年11月13日
  • 安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方

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    基本的に人は信頼できると考える一般的高信頼者はお人好しなのではなく、人を見抜く力がある人である。楽観主義者で多くの人と協調関係にトライすることで、さらに人を見る力を持てる。未来は自分で切り拓けると信じられる人に多い。でも周囲の敵意好意にはそこまで敏感ではない。ちなみに高学歴者や勉学に努めるほどに、人を見抜く力や協調する力は育つというデータも示されていた。

    人が自分に好意的かを見抜く力が高い人は、仲良しと一緒にいると落ち着く、人の目を気にしていて、ビクビクしている人で、むしろ一般的に低信頼者かつ悲観主義者という相関が成り立つことが多い。

    日本人は集団のために行動すると信じられてきたが、それは

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    2024年07月01日
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

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    時勢、時流、社会は「勢い」で決まる場合も多くなった。「臨界質量」40%を超えるとその勢いが増す(良くも悪くも多数の流れが発生する)、とある。また、ここにあるのは「武士道」的モラルは現代の資本主義社会(契約社会=信頼・安心)には合っていない、と言う。元々日本で多いのは「〜すべきだ」が多く「〜する方が得だ」が未だ少ないことが原因だと言う。また、日本の「安心」が少なくなったのは政治家の自己主義(個人主義者)が多くなり信頼関係が薄くなったことは実際肌で感じる。

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    2023年10月13日
  • きずなと思いやりが日本をダメにする

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    対話形式で進められていることもあって、思ったほど読みにくくなかった。 多様性をたびたび耳にする今こそ、必要な内容だと思った。

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    2022年12月05日
  • 安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方

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    わざわざこの国で「絆」が叫ばれることの心理的背景がよくわかる。
    基本的に日本人は他人を信頼していないのだ。だから助け合うという当たり前のことを言うのに「絆」なんて大げさな言い方をしなければならない。もっと言うと、助け合わなかったら罰金くらいのことをしないと助け合わない社会なのだ。
    ほっといたら、社会的な圧力や仕組み、制度がなかったら、基本的には他人事は他人事。そんなムラ社会な精神が古代から綿々と受け継がれているのが、この国なのだ。

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    2022年05月17日
  • 信頼の構造

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    がんばって読み終わった。
    集団主義社会は安心を生み出すが信頼を破壊する。
    信頼には関係強化だけでなく関係拡張の側面もある。
    不信の無駄。役所仕事は非効率。規則が多いから。国民が役人を信頼しないから。不信が非効率の強制を伴う規則を生む。
    信頼が必要とされるのは社会的不確実性の大きな状況。パラドックス①常識的には信頼が生まれにくい社会的不確実性が大きな状況で信頼が必要とされ、生まれやすい状況で必要とされない
    ②集団主義的な安定した社会である日本がアメリカよりも他者一般への信頼の水準が低い
    ③他者一般を信頼する傾向が強い人は騙されやすいお人好しではなく、信頼度を測る情報に敏感で予測の正確度が高い。

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    2021年12月22日