山岸俊男のレビュー一覧

  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

    Posted by ブクログ

    最後のジェイン ジェイコブスの『市場の倫理 統治の倫理』が紹介されてましたが、商人道と武士道に対比されるこれら二つのモラル体系は、混ざると、救いがたい腐敗をもたらすとされている点がもっとも驚かされた。

    最終的には、何をやってもかまわないという究極的な堕落を産み出すことになってしまう。

    内部監査としては、市場の倫理と、COSOの土台が同じなのかどうか。

    0
    2014年03月17日
  • 安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方

    Posted by ブクログ

    誰のオススメ本だか定かではないのだが、素晴らしい気付きをいただきました。(読んでいる最中に、TBSラジオで尊敬する宮台真司氏もこの著者、山岸俊男を尊敬しているとかたっていました)
    第一章
    ・ 「安心」とは相手が自分を搾取する意図がないという期待の中で、自己利益の評価に根ざした部分。
    「信頼」とは相手が自分を搾取する意図がないという期待の中で、相手の人格や自分に対して抱いている感情についての評価にもとづく部分(*社会的不確実性が
    存在している場合に意味をもつ)という言葉の定義と、
    これまでの日本が安心してこれたのは、社会的不確実性が存在しているにもかかわらず、集団や関係の安定性がその内部での勝

    0
    2013年07月05日
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

    Posted by ブクログ

    現代の日本が抱える問題点を社会学の観点で捉えた本。
    扱う素材にしてはとても読みやすく、
    内容も説得力があり、とても良い本でした。

    0
    2013年02月23日
  • 社会的ジレンマ 「環境破壊」から「いじめ」まで

    Posted by ブクログ

    利己的行動が集団全体に不利益をもたらす問題について、人間関係から国家レベルまで考察されている。

    進化によって獲得した行動ゆえ、誰しも少なくとも無意識には理解していることだろうが、実験結果などによって構築された理論からは大いに学ぶところがあった。自分のやっていることが絶対的に正しいと考える人には関わりたくないと思う理由が、よく理解できた。最終章の「質量限界グラフ」が見事だが、モデルにすぎないのか、実験データなどの裏付けがあるのかがわからない。累積グラフでS字カーブを描くためには、分布が山なりになることが必要なのだが。

    この本になぜ今まで気づかなかったのかと思うほど。

    ・協力的な人と非協力的

    0
    2018年10月31日
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

    Posted by ブクログ

    安全社会とは、監視統制を基本として、内と外を明確に区別し、基本内側に閉じた社会。悪いことをすると仲間から外されるので、誰も悪いことや抜け駆けをしないので安心して共同仕事ができる。
    信頼社会は、自らの席んでリスクを覚悟で他社と関係を積極的に築く人が集まった社会。リスクもあるがメリットも大きいと考え、まず信頼することから始める社会。フェアや信頼、評判等の比重が高い。
    農耕時代から、高度成長期までの殆どは安全社会だったが、価値観が多様化しまた監視統制の目が利かなくなった現代では、信頼社会への移行が急務だが、いじめのあるクラスとないクラスで傍観者の割合や、安全社会と同じ根の「武士道」などを用いて、正義

    0
    2012年03月25日
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    挑発的なタイトルに思わず購入を躊躇いましたが、流石は山岸先生。文章は解り易く、そして現状分析に留まらずに先生独自の解決方法まで記載していて、文句なしに秀逸の作品です。
    これからの時代には社会心理学がその地位を確かなものにし、そこから見える世界によってどう行動するか。そこが問われているような気がします…(少なくとも読後感は)。
    『日本人は集団主義』『欧米人は個人主義』のステレオタイプが誰にでもあると思われますが、著者はそれを科学的手法を用いて否定。欧米人より日本人の方が個人主義的である。しかし、『みんなに合わせて行動する方がトクをする』もっと言えば『集団に合わせなければならない』外部環境にあると

    0
    2011年09月07日
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

    Posted by ブクログ

    著者の前著「信頼の構造―こころと社会の進化ゲーム」で感銘を受けたものの、さらに多くの要素の盛り込まれた本書は、素晴らしかった!
    とくに本書の結びとなっている、「武士道=統治者の道徳」と「商人道=大衆の道徳」の混用が日本のモラルを破壊するという理論には、目から鱗でした。
    不況や震災の影響か、精神論ばかりが目につく昨今。この本のメッセージは多くの人に伝えられるべきものなんじゃないかなぁと、思うのです。

    0
    2011年08月29日
  • 信頼の構造

    Posted by ブクログ

    日本の「安心」はなぜ、消えたのか よりも論文的で慣れていないせいか読むのに時間がかかってしまった。が、内容が濃く目から鱗が何枚も落ちた。10年以上前に書かれた物が今なお興味深く...その頃から日本はまだ変わっていないのかもしれない。

    安心から信頼への道のりはまだまだ遠いように感じる。それはエネルギー問題にも関わるのかもしれないなぁと思った。

    0
    2011年08月15日
  • 信頼の構造

    Posted by ブクログ

    学術的に「信頼」という用語を使うときの必須文献だろう。発刊から12年が過ぎても、その価値は色あせていない。

    精緻に、その定義を分類し、とりわけ、「安心」と「信頼」が混同されて用いられていることへの論証は見事。

    また、学術的な「実験の意味」(P144~)に触れたところも、ちょうど読み進めていくうちに、モデル化、単純化して人を試すことの限界を感じた直後に、説明されており、その切れ味は抜群である。いわく「実験が目指している一般化は、結果そのものの一般化ではなく理論の一般化である」。

    全般に謙虚であると同時に、だからこそ裏打ちされた確信も感じられ、学問的な良心すら感じた著書であった。

    0
    2011年05月01日
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

    Posted by ブクログ

    どうするかね。とにかくシンガポールあたりで仕事できるようにしておくしかないな。

    p.108「信頼する心」がないと都会生活は送れない
    山深い農村に住む人が都会に出て仕事をするようになったら、その人は都会の生活にどのような感想を抱くと思いますか?きっと、田舎からいきなり都会に出てきた人にとっては、都会の生活は不安で心配事だらけに違いありません。なぜなら、それまで「安心」を与えてくれた、村の暮らしの仕組みは都会には存在しないからです。いろんな人がたえず出入りしている都会のような社会には、お互いを監視しあい、何か悪事や非協力的なことをしたときに
    、かならず制裁を加えるようなシステムはありません。

    0
    2010年08月01日
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

    Posted by ブクログ

    嘘をつかず
    誠実に生きること
    それが自分のためになる

    「情けは人のためならず」

    ~人に親切にすれば、
     その相手のためになるだけでなく、
     やがてはよい報いとなって
     自分にもどってくる~


    嘘をつかないことが
    かっこいい生き方

    努力した人が
    誠実に生きた人が
    報われる社会

    信頼は
    人と人の間にうまれ
    社会へと広がる

    本当に
    そんな社会であることを願う

    0
    2010年04月25日
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

    Posted by ブクログ

    ■この本を読んで何を得ようと思ったのか?
     イトイさんのオススメだったので
    ■何を得る事が出来たのか?
     市場の論理の商人型・信頼社会、統治の論理の武士型・安心社会、
     いままでごっちゃになってた事がすっきりします。
    ■この本に関してのコメント
     これはおすすめ。

    0
    2009年12月27日
  • 信頼の構造

    Posted by ブクログ

    山岸俊男さんの「信頼の構造」を読んでいる。

    この本は、”集団主義的社会は安心を生み出すが信頼を破壊する”というメッセージが中心である。

    集団主義的社会とは、いわゆるコミュニティで、例えば、会社の組織でもそうである。
    集団は信頼を生み出すと普通考えがちだが、私たちが信頼と感じているのは、実は安心の勘違いで
    あり、集団主義の中では信頼は育たない。

    0
    2010年12月15日
  • 信頼の構造

    Posted by ブクログ

    第一のパラドックス:
    信頼が最も必要とされるのは、「常識的」には信頼がもっとも生まれにくい
    社会的不確実性の大きな状況においてであり、また「常識的」には信頼が
    最も育成されやすい安定した関係では信頼そのものが必要とされない。

    第二のパラドックス:
    社会関係や人間関係がより安定して永続的であり、それらの関係が相互信頼によって
    成り立っている程度がより強いように思われる日本社会での方が、アメリカ社会でよりも、
    他社一般を信頼する傾向が低い。

    第三のパラドックス;
    他者一般を信頼する傾向が強い人間は、通常考えられているように「騙されやすいお人好し」
    ではなく、むしろ逆に、他人が信頼できるかどうか

    0
    2009年10月04日
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

    Posted by ブクログ

    すらすらと読みやすい本でした。

    以下、内容です
    ・日本人は「人を見たら泥棒と思え」と考えがち
    ・一方アメリカ人は「渡る世間に鬼はない」と楽天的に考える
    ・実は日本人は集団行動よりも一匹狼のほうがずっと好き
    ・モラル教育は利己主義者の楽園を作る
    ・いじめ問題を解く鍵は「臨界質量(エントロピー)」にあり
    ・武士道の倫理と商人の倫理を混同するな

    0
    2021年09月25日
  • 安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    他人を信頼することが本人にとって有利な結果を生み出す社会的環境と、他人を信頼しないことが有利な結果を生み出す環境が存在する。そしてその環境は我々自身が作り出している。

    アメリカに代表される西欧社会における「信頼」崩壊に対する危機意識の高まりと一般的信頼の低下により。1990年代に入ってから、「信頼」に対する関心が急激に高まってきた。

    お役所仕事は非効率の典型とされるが、その原因は無数の煩雑な規則にあり、それらは役人に対する国民の不信から生まれている。逆に、人体資本につながる関係資本が充実している社会では、煩雑な規則が生み出す非効率さは存在しない。

    日本型システムに対する不信の拡大は、経済

    0
    2025年08月23日
  • 日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

    Posted by ブクログ

    「他の人は集団主義だと感じているが、自分は個人主義だと思う」(自分も他の人の前では集団主義のように振る舞っているため、みんな誤解する結果となる)、「日本人は無難な選択を選びがちと思われているが、自分の選択が他に影響を与えないことが分かっている時はそうではない」など、なんとなく今まで感じていたことが実験や考察で記載されているので納得感があります。
    この本が発刊されたときからはさらに他の人への依存や分断は広がっているので、まあ分かっててもうまくいかないよねと思ってしまう。

    0
    2025年07月25日
  • 社会的ジレンマ 「環境破壊」から「いじめ」まで

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    (p.17)社会的ジレンマの定義
    • こうすれば良いと「わかっている」協力行動をとると、その行動をとった本人個人にとっては好ましくない結果が生まれてしまうような状態
    • 一人一人の人間にとっては、協力行動をとるよりも非協力行動をとる方が、個人的には有利な結果を得ることができる

    (p.37)小さな伝統的な共同体では、社会的ジレンマはある程度解消されていた
    • 小規模な集落では、住民がお互いに役割を分担し、協力関係を築いている
    • 一人だけ非協力的行動をとった場合、いざという時に協力を得られず生きていけない
    • 「とりあえず協力しておいた方が得」という環境で生活している

    →現代社会の常識で考え

    0
    2024年08月23日
  • 安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方

    Posted by ブクログ

    感想
    ソトとウチの経済学。ウチの中で活躍できるのは当たり前。ダイヤの原石はソトに転がる。最も安全なルートで取りにいかなくては身が持たない。

    0
    2023年06月11日
  • 安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方

    Posted by ブクログ

    実験的データを示しつつ丁寧な解説の本でした。日本的「安心」の狭さから、より広く深い「信頼」を目指したいものです。情報開示や透明性について触れられていたところも良かったです。

    0
    2023年05月03日