角山栄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
イギリスの産業革命について深く勉強したいと思い本書を手に取りました。これまでにアシュトンの「産業革命」などを読んではいましたが、本書は産業革命時代の人間像を可能な限り生々しく記述されていて、とても勉強になりました。文庫版で購入しましたが読み応えは十分です。産業革命によって人々の生活が劇的に変わりましたが、当時の英国でもっとも重要だったのが社会的地位。上流、中流、下流(労働者層)という意識は産業革命時代に生まれたそうですが、本書を読むといかに多くの人々が自分自身の社会的地位をあげることに必死になっていたかわかります。21世紀の現在でも周りの人からどう見られているかを気にしながら生活している人が多
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「茶」という見方で地理や歴史を学ぶことができるので、とても面白かった。文章も難しくなく、グラフや絵が途中で入っているので、飽きずに読むことができた。よかったのは、ヨーロッパから見た「茶」と、日本から見た「茶」というのが、史実とともに丁寧に解説されていたことである。特に、イギリスがどうして今のような紅茶大国になったのかというのが、端的なアプローチではなく、水のことやオランダとの貿易のこと、航海のこと、貴族の文化に至るまで多岐にわたる見方で考えることができたので、とても勉強になった。
最後の章で、日本茶が世界に挑戦しようとしていたことを知った。そして、日本茶は、文化的アプローチではなく、世界の -
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ガイアの夜明けで伊藤園の人が紹介されてたので読んでみた。
文字通り、もともと東洋で好まれていたお茶がどのように世界に広がっていったのかについて記載されている。
なぜイギリス人はコーヒーではなくティーを好むのかといったところに始まり、もともとは日本茶、中国茶を輸入していたところからどのように、セイロンティーやダージリンティーといったところにシェアが変わっていったのかについても記されており、産業革命・資本主義の一連の勃興の中で茶が大きな役割を果たしていたことを知ることができる。
ただ結局なぜミルクと砂糖を入れて飲むのか、緑茶が他の国の人に受けいられらないのかが分からなかっただけが心残り。
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自分が読んだのは改訂版だった!
世界経済を語る上で奴隷貿易とプランテーションの話は必ずセットでついてくるねぇ…。
最近○○の世界史という、1つのものの視点から見た歴史の本にハマっている。
どうせなら好きな紅茶、茶葉に注目した本を読んでみようと思った。
◇感想
一言でいうとめちゃくちゃ興味深い話がいっぱいあった。
砂糖や紅茶の歴史は西欧に偏りがちだったので、近代以前のブランド品としての高い日本茶から、産業革命後の地位の失墜まで、歴史的背景が見えてくる。
16世紀のオランダでティーソーサにあえて茶を注いですする飲み方は茶道を模していたのか!とか、ティーとチャイの語源の違い。
鎖国終了後 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前半(第1部)では世界史的な視点で茶を語り、後半(第2部)では日本の茶産業の歴史を記述する。
大航海時代以降、特に近世ヨーロッパの重商主義時代の貿易を語る上で使える記述が多々あった。
大西洋三角貿易、産業革命、アヘン戦争につながる重要な「茶」をテーマ見直すのも良いかもしれない。
以下引用
P4
彼ら(ヨーロッパ人)が日本で発見したものはいろいろあるが、その最大のものは、じつは茶であった。いや「茶の湯」文化であったといった方がよい。ヨーロッパの歴史で茶が初めて登場するのはこの時からである。
P5
当時の東洋は、いまと違って豊かな国であった。それにひきかえ、北緯40度以北の寒冷なヨーロ -
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ネタバレ本書は、「東洋の『茶の文化』に対するヨーロッパ人の畏敬と憧憬――ここからヨーロッパの近代史は始まる」として、茶と綿布を求めたヨーロッパの近世資本主義を中心に、世界史を動かした茶について論じる。
本書によれば、ヨーロッパに最初に運ばれた茶はオランダによってもたらされた日本茶だったそうだ。ヨーロッパの人々にとり神秘的な魅力をまとっていた茶は、くすりから飲料へ、そして文化から商品へと変遷し、巡り巡って世界市場に放り出された「日本」の眼前へとあらわれる。
その時点で、世界の茶業界では「日本」で馴染みある緑茶よりも紅茶文化が優勢であり、また「日本」が宣伝材料とし得るような茶道などの喫茶における精神 -
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世界史がマイブームなので読んだ。一度読んだことがあるが内容は全く覚えていない。
西洋の人は東洋に憧れていた!なぜならお茶に興味を持ったから!確かに当時の中国は発展していた印象があるから違和感ない。ティーカップは陶磁器を模していた。なるほど。お茶は健康に良い?悪い?そんな論争が当時の医者の間で論争になった。上流階級アピールのためにお茶と砂糖を求めた。日本は開国してお茶を輸出しようとしたけど上手く行かなかった。紅茶のシェアに割り込めなかったから。あとは三角貿易。
読みやすかったけど事実が書かれた文章の最後に筆者の意見が述べられていることがあるから、鵜呑みにせず一呼吸置いて考えることが大事だとおもう -
Posted by ブクログ
大きな流れで「茶」の歴史をとらえると…
16世紀中頃ヨーロッパ人が最初に知るお茶は、「茶の湯」に代表される文化としての茶であった
17世紀はじめから実際に輸入される(オランダ東インド会社が日本の茶を輸入)
オランダへはじめ輸入され、イギリスを含むヨーロッパ諸国の一部へ
イギリスで定着したもののあくまで飲料としてであり、かつ紅茶文化に仕立て上げられた(悲しい…)
そして日本の意向は無視され、資本主義的な商品へと成り替わる(悲しすぎる)
(輸出当初は薬としての効能や、日本の茶の湯 芸能文化、伝統文化に惹かれ…
というのもあったが、結局そういった文化は一部の限られた間でしか定着せず、基本は海外