ラヴィ・ティドハーのレビュー一覧

  • ロボットの夢の都市

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    〈「わたしの話はここで終わります。わたしは地球に帰ってきました。ふり返ってみれば、わたしの人生に語るべきものなどありません。わたしはなにも生み出さなかったし、なにも残していないのですから。それでもわたしは、まだなにかやれるような気がしました。そこで、花を一輪だけ持ってあの砂漠に戻り、穴を掘りはじめたのです」〉

     戦争の後について、ロボットが語り出すシーンが特に好きでした。戦闘用のロボットはそこで何を見たのか。色彩豊かな作り込まれた遠い未来を背景にして綴られる、美しい愛の寓話。遠く、自分のいる場所を求める少年の冒険譚としても楽しむことができました。その世界を私の拙い脳味噌が、しっかりと辿れるこ

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    2025年01月09日
  • ロボットの夢の都市

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    SF仕立てのファンタジー。
    イスラエルの作品だけあって、砂漠が舞台であり中東の紛争が垣間見える。さまざまな登場人物(人間だけでなくロボットもいる)たちが終局に向かって収斂していく様に読み応えがある。自爆兵器や大量破壊兵器が登場人物だったりするのに、なぜかホンワリしたストーリーになっていて微笑ましい。

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    2024年06月24日
  • ロボットの夢の都市

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    久々5つ星。SFとして秀逸且つ、宇宙時代の聖書として読んでもおもしろい。描かれている人間、ロボット、サイボーグ、バーチャル生物などなど、さまざまな由来の存在達が共存する未来社会(第四次世界大戦後だ)のあまりのリアルさに、すんなり納得してしまった(説明したらぶっ飛んでるけど、読んだら納得できるでしょう)。意思を持った(持たされた?)「生命体」たるロボットが、存在する未来に起こり得る予言の書とも言えるかもしれない。イスラエルにルーツを持つ作家さんがこれを書いたというのもなんだか震えるものがある。おすすめ。

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    2024年03月20日
  • 完璧な夏の日 上

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     第二次世界大戦を戦った趙能力者たちのお話。現在と過去が交錯する。「霧」と「忘却」が、ともにいい味を出している。

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    2018年08月16日
  • 完璧な夏の日 下

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    上巻に引き続き、第二次世界大戦におけるユーバーメンシュたちの戦いの様、そして、東西冷戦時代を経て現代にいたるまでの彼らのその後が描かれます。

    上巻の冒頭で、オブリヴィオンがフォッグと会ったのは、彼らの上司オールドマンの元に呼び寄せ、フォッグの戦時中の報告書で語られていなかった事柄について、真相を聞き出すためでした。

    オールドマンの事務室と過去がテンポよく切り替わりながら物語は進みます。
    そして思いがけないエンディング。

    フォッグ、オブリヴィオン、オールドマンのそれぞれが抱える様々な苦悩や願望が絡み合い、ややほろ苦くもありつつ、爽やかな幕切れに大きく息をつきました。

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    2015年03月29日
  • 完璧な夏の日 上

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    現代のロンドンで、フォッグ(霧)とオブリヴィオン(忘却)という二人の男が再会する場面から始まる物語は、1926年〜44年のパリ、ワルシャワ、トランシルヴァニアなど時間と場所が転々と行きつ戻りつしつつ進んでいきます。

    ある出来事により特殊な能力を身に付けた、ユーバーメンシュと呼ばれる超人たちが、第二次世界大戦の中で敵味方となって戦う様が描かれます。
    ちょっとX-MENを連想させられますね。

    フォッグは能力に目覚め困惑している時に、イギリス情報機関にスカウトされ、仲間たちと出会います。
    そして機関の任務中に出会った一人の娘に、心を奪われていきます。

    細かく場面が切り替わるテンポの良さ、謎めい

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    2015年03月28日
  • 完璧な夏の日 上

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    たまたま書店の本棚の上に上下巻が無造作に置かれてあり、なんとなく手に取った本だったが、個人的には大当たり。好みにぴったり当てはまる本だった。

    ”戦争×SF”がテーマである。

    第二次世界大戦の折に活躍、暗躍した異能力者「ユーバーメンシュ」達について。淡々とした描写からはまるで映画を見ているような印象をうけた。

    霧を自在に操れるフォッグと触れたものを消し去ることができるオブリヴィオンの暑苦しくなく、お互いを思いやる穏やかな友情がアツい。

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    2015年03月27日
  • ロボットの夢の都市

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    クラスメイトが読んでいて、タイトルと装幀に惹かれたという息子の言葉で、じゃあ読んでみよう!となりました。
    眺めているだけでストーリーが気になる表紙ですね。視点を変えながら進んでいく物語に、静かに興奮しました。
    宗教関連の言葉が多いので、名付けた人(ロボット)がどんな意図で付けたのかなどに思いを馳せます。
    巻末用語集は、開かずに読みました。なんとなく伝われば読みすすめられるので、個人的にはなくても大丈夫です。没入感の方が大事なタイプは、気にせずどんどんいきましょう!(笑)
    ジャッカルのアナビスとサレハのコンビも好きだけど、イライアスがその後どうしているのかも気になります。二人の絶妙な空気感という

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    2025年01月05日
  • 完璧な夏の日 下

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    下巻も面白かったです。オールドマンの目的がやっとわかりました。長かった。。
    フォッグは失踪してる間クララと一緒にいたのか、クララを探し続けてたのか。オブリヴィオンはずっとフォッグを想ってたのか…オブリヴィオンの気持ちを考えるとつらい。これまでずっと孤独で、これからもずっと孤独だね…ユーバーメンシュは不老不死みたいだから。
    ミセス・ティンクルの異能力も強い、時間を前後させるの。オールドマンの異能力は最期までよくわからなかった。
    〈完璧な夏の日〉の中にあるフォーマフト波動の発生装置、それは止められなかったばかりか、クララとフォッグによって夏の日は閉じられてしまった。浮動する参照点として発生し続けな

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    2021年09月10日
  • 完璧な夏の日 上

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    面白かったです。
    フォーマフト波という波動を浴びたことで異能力を持つようになった〈ユーバーメンシュ〉と呼ばれる人々は、その為に徴収され第二次世界大戦で死闘を繰り広げました。
    大戦が終わって随分経った現在、ユーバーメンシュのひとり〈オブリヴィオン〉は〈フォッグ〉と再会し、〈オールドマン〉という上司の下でフォッグはあの頃を回想する…というお話。
    オールドマンの目的は〈完璧な夏の日〉と呼ばれた女の子について情報を得ることみたいだけれど、フォッグと彼女の間には特別な感情が…恋愛感情か、あるようで。
    中心として描かれるのはフォッグなのだけれど、見ているものを全て描写する文章は、彼ら全てを見ている観察者視

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    2021年09月05日
  • 完璧な夏の日 上

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    過去や現在を行ったり来たりし、超人の人数も多かったため、少し読み辛かった。
    アメリカの超人はスーパーマン然と活躍しているのに、イギリスの超人は諜報活動のようにしているところが、国によって違って面白かった。
    ただ、イギリスのMI6って、国民から愛されるへタレ諜報機関のイメージがあるんだが…。
    もしかしたらあったかもしれないパラレル歴史ものとしては良かったと思う。
    フォッグが超人となって経験した家族や仲間、今までの日常との別れがより一層、夏の日に対する憧憬につながっているのではないか。
    クララの正体は一体、何者なんだ。

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    2017年02月20日
  • 完璧な夏の日 下

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    面白かった。ただ、ヒロインがただの白痴みたいな感じでなんで主人公が惹かれたのかいまいちピンとこなくて共感できなかった。それと、あーやっぱりこれホモネタかよと思って苦笑いした。超能力持ったスーパーヒーロー達をスパイにするって画期的な設定で楽しめた。あと、20世紀の歴史の重要シーンをパッチワークのように描いてて楽しめた。ただ、訳が苦手。最後まで。

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    2017年01月03日
  • 完璧な夏の日 上

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    どんどん面白くなってくる。構成が絶妙。キャラもみんな魅力的だし、設定も少しずつ明かされる謎も見事。でも訳が読みにくいな。原作がどうなのか知らないけども、一切カギカッコを使わないセリフの描写が読みづらい。下巻にも期待。

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    2016年12月27日
  • 完璧な夏の日 下

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    霧を操ったり物を消し去ったりといった特殊能力を持った超人(ユーバーメンシュ)が、第二次世界大戦からベトナム戦争、ソ連のアフガニスタン侵攻、911同時多発テロなどの時代を生きつつ、主人公のフォッグが完璧な夏の日にたどり着くまでの物語。下巻では特に最後で、これまでのエピソードがパズルのピースをパチリパチリとはまっていくようで、とてもリズム感よく読み進められる。ネタバレになってしまうかもしれないが、愛というか恋というか、最後はハッピーエンドであると同時に切ない結末でもある。単純なメタフィクションだと思って読んでいたが、最後で一気にラブストーリーに変わって、驚かされた。このサプライズが楽しい。

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    2016年06月12日
  • 完璧な夏の日 下

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    ネタバレ

    幼稚と言われればその通りなのだが、ジャスティスリーグやアベンジャーズ、劇場版の戦隊モノや仮面ライダー等、超人がドカドカ出て来て活躍する系のお話が大好きだ。
    絢爛豪華で華やかなスター勢ぞろいに、本能的な何かを刺激されるのだろう。

    この小説も、ユーバーメンシュと呼ばれる超人たちが大勢出て来て、第二次世界大戦やその後の冷戦、ベトナム戦争等で活躍する。主人公も相棒もその超人である。大人な小説なので単純な正義などなく、それぞれの国のそれぞれの政治的思惑の元、超人たちが超能力を駆使して戦いを繰り広げる様は、痛々しくも読ませどころである。

    アメリカは派手な衣装を着てショーのような戦いをし、イギリスは地道

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    2016年06月03日
  • 完璧な夏の日 下

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    Twitterでアメコミぽいとの評判だったので、釣られて購入。読んで納得。作者がかなり意図的に書いている感がある。自分はさほどアメコミに詳しくないので、あーと思う程度だったんですが、詳しい人はにやっとする仕掛けがもっとあるんじゃなかろうか。

    話は過去現在、それと場所がかなり頻繁に入れ替わるので、最初は読みづらいかも。ザッピングのような感覚で謎を積み上げ解く印象。その辺もアメコミというか映像に近い感覚なのかな~。SFというよりはミステリーとまでは行かないけれど謎解きメインなのかなと?

    あと比較的伏線がわかりやすいので、それを探して読むのも楽しいかも知れない。個人的にはちょっと最後脱力してしま

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    2015年03月09日
  • ロボットの夢の都市

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    すごく好きな世界観、ちょっとくたびれたロボットが古い町を舞台にの物語を紡ぐ。

    途中までとても面白く良かったんだが・・・

    ラストはあまり好みではなかった。

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    2025年07月28日
  • ロボットの夢の都市

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    ふーん って感じ つまらなくはないのだけれど特に驚きもなく淡々と

    ラストで少年達が星の世界に旅立てたことは救いがあって良かったな と

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    2025年03月20日
  • ロボットの夢の都市

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    本の雑誌2024年上半期のSF・1位に選ばれていた本。
    未来のエジプトとサウジを舞台にしていて、野生のドローン、埋め込まれた機器によって火星産の連続ドラマを観るジャッカル(しかも喋る)、詩人ロボットのバショウ、たまごっちまで出てきます。
    続編ではないけれどシリーズに属しているので、すでに世界が出来上がっています。巻末の関連用語集を見ながら読みながら新しいSFの世界の設定に入っていくのが面白かったです。
    ロボットに心があって愛や宗教観があったり、人間も体を変えながら生きて行けたり、忘れたい記憶を捨てられたり…。現代では考えられないけれど何百年も後にはあり得るのかも知れません。このようなSFって読

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    2024年11月16日
  • ロボットの夢の都市

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    世界観はとてもとても魅力的だったんですが、話の内容が普段それほどSFを読んでない自分からするとちょっととっつきづらかった印象。なんていうか、すでに完成された世界観でのまた別のお話という感じ。と思って解説を読んだら実際にこの世界観での別のお話もあるようで。一つのラヴィ・ティドハー サーガ、みたいな感じ。機会があれば読んでみたいです。

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    2024年06月14日