クリストファー・プリーストのレビュー一覧
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ネタバレグレートブリテン・イスラム共和国のフリーカメラマンが看護師の妻とアナトリアで援助活動をしていたところ、妻がテロに巻き込まれ消失する。イングランドに戻ると、宣戦布告なしの戦争が激化しており、隣接界を生じさせ津機器が兵器として使用されていた。
隣接界というキーワードで繋がっていることがわかるが、そこに唐突に「第一次世界大戦中の奇術師とHG・ウエルズ」、「第二次世界大戦中の亡命ポーランド女性飛行士と整備兵」の短編が挟まれるが、二番目は秀逸なロマンス小説。
その後、隣接界で領主制の群島に登場人物たちが集まるが、どうやら微妙にずれた別の時空間から来たようで錯綜し、更に時間線も分裂していく。
カメラ -
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ネタバレカメラマンのティボー・タラントはトルコで野戦病院で業務に従事する看護師の妻を反政府ゲリラの攻撃で失い、海外救援局によって英国に連れもどされる。しかもその英国はわれわれの知る英国ではない、グレート・ブリテン・イスラム共和国なのだ。ロンドンを通るが、救援局は何かを隠している。それは正三角形にすべてが消失している敵の攻撃のあとであり、彼の妻もその兵器にやられたのだ。そしてその兵器は隣接にかかわっているらしい。タラントは現実なのか何なのかわからないカフカ的世界に引き込まれていく。
そしてそのタラントの物語に別の物語が挿入される。第一次大戦中、敵を欺いて飛行機を見えなくする作戦に駆り出された手品師は -
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邦題は『双生児』、原題はSeparation『別離』。これだけでもう意味深だ。1人と見せて2人、2人と見せて1人、そんな詐術を仕掛けてきそうだ、プリーストなら。
もっとも双生児と思わせてソーセージだったなんて仕掛けはない。ソーセージの本場ドイツが主要舞台のひとつではあるが。
第二次大戦のノンフィクション・ライターであるグラットンは良心的徴兵忌避者にして英空軍爆撃機操縦士であるソウヤー大尉にチャーチルが言及したメモを発見し、この人物を調べようとする。読者としては良心的徴兵忌避者にして英空軍爆撃機操縦士とは双子を混同しているということだろうとすぐにわかるわけだが。
グラットンは1941年 -
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待望の夢幻諸島(ドリーム・アーキペラゴ)のガイドブックであり、アーキペラゴのいくつかの魅力的な、あるいは特徴的な島が紹介されている。『限りなき夏』で訪れたことのある旅行者も、これから夢幻諸島を旅行しようと考えている人にも歓迎される一書であろう。
だが、この手の本にはお定まりの地図というものが本書にはまったく欠けている。周知の通り、時間歪曲のため、夢幻諸島ではたとえ航空写真を撮っても、正確な地図を描くことができないのだ。この点については、リーヴァー島の項を参照されたい。ディデラー・エイレットの調査の概要が説明されているからである。1日2回、ふたつの時間歪曲の渦が世界を回っているのである。それ -
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読んでみるといい歴史改変ものと紹介されたが、
たしかに面白い物語だった。
双子が歩む二つの歴史というだけではなく、
その二つでさえ、絶えず変化を繰り返して、
解説にあるような、ヒントもちりばめられており
(見落としたヒントはあとがきで回収)
何が起こっているのかと、思いながら
一気に読み進んで、鮮やかに、かつ幻想的に
物語は終わる。
国戦時中の人々の生活の一端、兄弟家族の複雑な感情、
と戦争と平和に対する考証も加えて、
技巧的エンターテインメント小説。
第2部の時代の行き来や変化と、第5部の変化には
何らか構成上に関係があるのではないかと、
思ってしまうが、どうだろう? -
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ネタバレファンにはおなじみドリーム・アーキペラゴの連作短編集。「限りなき夏」(国書刊行会)に収録された同シリーズの強烈な4編もいっしょにおすすめ。パラレルワールドとも云い難い謎の群島を舞台に、謎設定と謎人物たちが、謎の時間軸で交錯する。「限りなき夏」の4編ではそんな印象なかったけど、こちらの短編集を通読すると、ドリーム・アーキペラゴのメイン・テーマってひょっとしてプリーストによるアート論な気がしてきた。キャラやストーリーだけじゃなくて、その世界観と謎設定も含めてぜんぶが。ドリーム・アーキペラゴって、もうその語感だけで、何杯でもおかわりできます。
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プリーストの「奇術師」を以前に読んだときには,その反則気味の種明かしに「そりゃないぜ」と思ったものだが,本書には参りました.負けました.
架空の「夢幻諸島」の島々のガイドブック,ということだが,島の紹介もあれば,単にその島にまつわる誰かの出来事を綴った完全な小説もあり,しかも謎解き風のものもあれば,幻想小説もあり.
また,本書にクラクラするのは,何人かの人物は超有名人という設定で,幾つかの島の物語に繰返し出てきたり.全短編を通して読めば,そういった人達の姿が徐々に浮かび上がってきたり.
もう一度読み返せば,また別の面が浮き上がってきそうだ.プリースト,他のも読んでみようかな. -
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最初は掴みどころが少なく読み進めるのに苦労。途中から何度か登場する人達の人物像や各々の相関関係が見えてきたり、諸島にまつわる謎や出来事が繋がり始めたりして、驚かされたり更なる謎が浮かんだりして、俄然猛烈に面白くなった。全ての謎が最後に収束するわけではないが、だからこそ読後にフワフワ&クラクラした心地良い余韻が残り、かつ何度も読み返したくなった。
例えば今度読む時は、繰り返し登場する人物がどの島の話の時に登場するのか対応表を作り、各人物毎に登場箇所だけを一気読みしてみると、最初読んだ時とは違ったその人物に関する何かが見えて面白いかもと妄想している。
または、不明な個所も多いけど、島ごとの気候や -
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ネタバレ双子のもう一人、ジョーのパート。
良心的兵役拒否者としての登録、赤十字の仕事、遠く離れた妻の関係と赤ん坊、兄弟と和平の交渉。
日付も読まずに一読しただけでは、最後まで読んでも何が起きていてどういう意味なのか分からなかった。双子であるから尚更ややこしい。偽のヘス、兄弟の動向、子供の名前、微妙にすれ違う史実。解説を読んで、該当ページをパラパラと見て文脈を思い出して、ああそういうものなのかと。再読したい。
私がヨーロッパ第二次世界大戦の史実にうといだけかと思いながら読んでいたけど、流石に終結くらいはわかるし、そう言われればそうだよな… -
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ここ(ドリーム・アーキペラゴ)ではどんなことも起こり得る―
時間勾配の歪みにより地図の作成が不可能とされている架空の世界。そこに点在する無数の島からなる通称夢幻諸島(ドリーム・アーキペラゴ)が舞台の物語。英国作家の”信頼できない語り手”ことプリーストが書き記した、死と狂気に彩られた島々に纏わる35の記録譚。
『グールン』~大提督劇場~
商業演劇の演出家を目指し、とある劇場に勤め始めた青年。出演者の一人、謎の王”ロード”を名乗る奇術師との出逢いを発端に様々な出来事が巻き起こる。やがて、執拗に主人公を付け回す不審な小男や奈落での亡霊騒ぎがひとつに繋がっていく。
『チェーナー』~雨