クリストファー・プリーストのレビュー一覧

  • 隣接界

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    ネタバレ

    グレートブリテン・イスラム共和国のフリーカメラマンが看護師の妻とアナトリアで援助活動をしていたところ、妻がテロに巻き込まれ消失する。イングランドに戻ると、宣戦布告なしの戦争が激化しており、隣接界を生じさせ津機器が兵器として使用されていた。
     隣接界というキーワードで繋がっていることがわかるが、そこに唐突に「第一次世界大戦中の奇術師とHG・ウエルズ」、「第二次世界大戦中の亡命ポーランド女性飛行士と整備兵」の短編が挟まれるが、二番目は秀逸なロマンス小説。
     その後、隣接界で領主制の群島に登場人物たちが集まるが、どうやら微妙にずれた別の時空間から来たようで錯綜し、更に時間線も分裂していく。
     カメラマン、奇術師、女性飛行士の恋人、整備兵は別の時空間の同一人物のようであることが匂わされるが解は示されない。最後にカメラマンが妻とイスラム共和国でないイングランドで再会するが、妻は看護師ではなく女性飛行士のようである。
     緻密な描写が幻想を生み、パラレルに事象が展開していく。

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    2024年12月15日
  • 夢幻諸島から

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    北と南に大きな大陸があり、その中間に広がる無数の島々から成る夢幻諸島。そのガイドブックという形を取った連作短篇集でありながら、長篇としての作品。半分は夢幻諸島に点在する島々の紹介であるが、それがこの作品の下地となって物語を引き立たせる。6~7人くらいの主要な人物が、時折挟まれる中編の物語に登場し、互いにリンクし影響を与え合いこの夢幻諸島に様々な痕跡を残す。超凶悪昆虫スライムとカムストン&カウラー、そして最後のヨーとオイの物語が強く印象に残った。

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    2019年10月18日
  • 双生児 下

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    こういうオチね。
    しかし、スムーズに幻想の世界に入っていくなぁ。
    騙されるか、と身構えていてもムダ。
    たった一行の文章で、ぜんぜん違う世界に変わっちゃうんだから。
    読み返してもダメ。
    そことは繋がっているようで、繋がっていないから。
    プリーストの作品、これまで読んだのはずれ無し。

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    2019年08月29日
  • 双生児 上

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    クリストファー•プリーストの長編。
    なんか、普通の話だな、とちょっと退屈しながら読んでいくと。
    最後に爆弾。
    え?え? 話が違うんだけど。
    続き、めっちゃ気になる!

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    2019年08月29日
  • 隣接界

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    ネタバレ

     カメラマンのティボー・タラントはトルコで野戦病院で業務に従事する看護師の妻を反政府ゲリラの攻撃で失い、海外救援局によって英国に連れもどされる。しかもその英国はわれわれの知る英国ではない、グレート・ブリテン・イスラム共和国なのだ。ロンドンを通るが、救援局は何かを隠している。それは正三角形にすべてが消失している敵の攻撃のあとであり、彼の妻もその兵器にやられたのだ。そしてその兵器は隣接にかかわっているらしい。タラントは現実なのか何なのかわからないカフカ的世界に引き込まれていく。
     そしてそのタラントの物語に別の物語が挿入される。第一次大戦中、敵を欺いて飛行機を見えなくする作戦に駆り出された手品師は道中の列車の中でH・G・ウェルズと知り合う。隣接を発見した晩年のリートフェルト博士に取材に行く記者、同道するカメラマンは若き日のタラントだ。第二次大戦中、いわくありげなポーランド出身の女性パイロットに恋した整備兵の話。いやそれはその女性パイロットの来歴の物語でもある。そして夢幻諸島のブラチュウスで一旗揚げようとする奇術師の巻き込まれる事故、それにかかわる女性の視点からの別の現実。プリーストの多くのモティーフが放り込まれているのだが、こうした物語が隣接なのだ。
     全体を覆う戦争の影、そして航空機への愛。いや、「限りなき夏」のプリーストが帰ってくるのだ。

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    2019年05月06日
  • 隣接界

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    プリーストならではの夢幻のたゆたい感。どこに運ばれるかわからないけど、ずーっと浮かんでいたかった。ネタバレしてはいけないやつなので、何も書かないけど、今のところ今年1番じゃなかろうか。早川書房さんは立派だなあ、こんな本を次々と!
    特定できない誰かが恋しく、その不在を痛く感じるのは、隣接界の私の記憶なのかも。

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    2018年05月23日
  • 双生児 下

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    あー、最初から文庫版で読みたかったかも。ミスリードされたまま「続く」で終わって、下巻でやられちまった感で満喫できたかも。w
    世界史の勉強のし直し迄も強いられてしまいました。

    更に大森望の解説を読んで、「ドリームマシン」の内容が思い出せなくて焦っている。そして他にも未読のものがあると気付いてポチりに走ってしまった。

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    2018年02月21日
  • 双生児 上

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     邦題は『双生児』、原題はSeparation『別離』。これだけでもう意味深だ。1人と見せて2人、2人と見せて1人、そんな詐術を仕掛けてきそうだ、プリーストなら。
     もっとも双生児と思わせてソーセージだったなんて仕掛けはない。ソーセージの本場ドイツが主要舞台のひとつではあるが。

     第二次大戦のノンフィクション・ライターであるグラットンは良心的徴兵忌避者にして英空軍爆撃機操縦士であるソウヤー大尉にチャーチルが言及したメモを発見し、この人物を調べようとする。読者としては良心的徴兵忌避者にして英空軍爆撃機操縦士とは双子を混同しているということだろうとすぐにわかるわけだが。
     グラットンは1941年5月10日生まれ。この日は英独戦争の歴史において戦況のかわる転機であった。この日、副総統だったルドルフ・ヘスがイギリスとの単独講和をめざしてイギリスに飛んだ日でもある。
     グラットンはソウヤー氏の手記を手に入れる。

     第2部は「わたし」の手記である。1936年、わたし、ジャック(ジェイコブ)・L・ソウヤーは双子のきょうだいのジョー(ジョーゼフ)・L・ソウヤーと車でベルリンに向かう。2人漕ぎのボート競技でオリンピックに参加するためである。2人ともJ・L・ソウヤーであり、わたしはJLと呼ばれ、きょうだいはジョーと呼ばれている。ただ競技に集中したいわたしに対して、思慮深いジョーはナチス・ドイツに向かうことに気乗りしない様子である。双子の母親はドイツ人で彼らはドイツ語も堪能であり、ベルリンで彼らは母の友人宅に逗留する。彼らは銅メダルを取り、副総統ヘスからメダルを授与されたあと、ジョーはそそくさと帰ろうと主張し様子がおかしい。
     そして1941年5月10日、爆撃機の操縦士としてハンブルク空爆に向かったわたしは撃墜され、なんとか海上まで機を飛ばして不時着し、救出されるが怪我を負って療養所にいる。ジョーは前年のロンドン大空襲で命を落としている。
     5年を隔てた話がカットバックの手法で平行して進む。
     愛のテーマはプリーストにとってとても重要だ、1936年、逗留先の母の友人宅には美しい娘ビルギットがいる。ジョーはユダヤ人である彼女をこっそりと国外に逃がす密命を帯びていたのだ。わたしはビルギットに惹かれるが、イギリスに脱出したあと、ビルギットはジョーと結婚。わたしは飛行機操縦に傾斜して空軍にはいり、ジョーは良心的徴兵忌避者として赤十字で働く。2人は仲違いして別離する。
     1941年、杖をつかずになんとか歩けるようになったわたしに、政府の接触がある。ロンドン各地で民衆を鼓舞するチャーチルの演説に付き添う副官の仕事をしつつ、重要な任務を任される。飛行機で不時着しいまや捕虜となっているヘスの調査である。

     5年を隔てた「わたし」の話がつながる。ふたたび戦線に戻ったわたしはまたもや撃墜されてドイツの捕虜収容所で終戦を迎える。そして手記は一気にJLの晩年にまで進んでしまう。
     いったいここにプリーストはどんな罠を仕掛けたのか。第3部は1999年のグラットンに戻る。グラットンはソウヤーの戦友だったと思われるサミュエル・D・レヴィ退役大佐に照会の手紙を出していたが、別の取材から帰宅してみると、レヴィ大佐からの返事が届いていた。第4部はレヴィの手記である。
     第2部のJLの手記には特に謎はないようにみえる。これは第二次大戦に否応なく翻弄された人の手記であり、それはそれで面白い。ところがである。レヴィ大佐が「JLの戦時中の奇妙なふるまい」という謎を提示するのだ。そして予想通り、JLの手記とレヴィの述懐は食い違っているわけだ、それも微妙に。そうやってプリーストはわれわれを翻弄し、下巻に謎を託す。

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    2016年02月29日
  • 夢幻諸島から

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     待望の夢幻諸島(ドリーム・アーキペラゴ)のガイドブックであり、アーキペラゴのいくつかの魅力的な、あるいは特徴的な島が紹介されている。『限りなき夏』で訪れたことのある旅行者も、これから夢幻諸島を旅行しようと考えている人にも歓迎される一書であろう。
     だが、この手の本にはお定まりの地図というものが本書にはまったく欠けている。周知の通り、時間歪曲のため、夢幻諸島ではたとえ航空写真を撮っても、正確な地図を描くことができないのだ。この点については、リーヴァー島の項を参照されたい。ディデラー・エイレットの調査の概要が説明されているからである。1日2回、ふたつの時間歪曲の渦が世界を回っているのである。それゆえ夢幻諸島はまったく全体像を描けず、人が住む島だけでもいったいどれだけあるのかさえわからない。もっとも、ある島からある島へ行く手がかりは明らかである。細部はまったく明晰なのに全体像を描出できない。人間存在そのもののようではないか、この島々は。

     そのようなありさまなので各島の情報も調査員が赴いて取材したものの他に、当該の島に生まれ育った人物、あるいはそこに滞在した人物の手記で代用されているものがいくつもあり、特にこの諸島を旅行しようというつもりのない読者にとっても、物珍しい読み物として読むことができる。かくいう評者も特に旅行の予定はないのだが、あたかも凝った長編小説を読むかのように楽しんだ。

     まずは、オーブラック群島の、猛毒を持つとともにヒトに寄生し感染する恐ろしい昆虫スライムの記述に読者は震え上がるだろうが、そんな恐ろしいものがいても日常生活が営まれていく人間の性に妙に納得するだろう。また、ファイアンドランドとグロウンドの戦争に関して、アーキペラゴは中立地帯ではあるが、戦争の影響が随所にみられることにも思いを新たにするであろう。

     編者は芸術に関心が高いらしく、夢幻諸島の高名な芸術家たちへの言及は随所にある。高名な画家ドリッド・バーサーストの奇矯な行状があちこちの島の紹介の中に登場し、その作品がどこで見られるかが紹介されている。この画家の熱心なファンにはありがたいことである。また土木インスタレーション・アーティストのジョーデン・ヨーのインスタレーション、要するにトンネルだが、それがどの島で見られるかも、旅行者の参考となるだろう。高名な作家チェスター・カムストンへと送られた無名時代の作家モイリータ・ケインの書簡が、彼女の出身地フェレディ環礁の紹介となっているのも両者のファンにとって興味深かろう。

     特に舞台芸術に関心のない読者でも、パントマイム・アーティスト、コミスが辺境の島オムフーヴで殺害され、ケリス・シントンなる犯人が死刑となった事件について多少なりともお聞き及びだろう。それが冤罪だとして社会改革主義者カウラーによって厳しく糾弾されたこともご存じかも知れない。本書ではいくつかの島の紹介の中で、関係者の証言が引用されているが、それによってこの事件の詳細がいくつもの視点から照らし出され、真相と思われる全体像を照射していることに、読者は驚かれることだろう。さらにこれらの手記からカムストンとカウラーの秘められた関係やカウラーの死の真相など、様々な結びつきが示されることとなり、図らずも、個々の「島」がつながって、アーキペラゴの全体像をぼんやりと映し出すというアナロジーが生じているところが、評者が上に、あたかも凝った長編小説のようだと述べた要点である。というわけで旅行には興味はないが、ちょっとかわったものを読んでみたいという読者にも大いにお勧めである。

     本書は「エズラに」捧げられているが、エズラ・カウラーでなければ、どのエズラに、なのであろうか。最後はヨー(Yo)ともうひとりのインスタレーション・アーティスト、オイ(Oy)の破壊的で情熱的な共同作業の逸話で閉じられるのも心憎い。

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    2016年02月12日
  • 双生児 下

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    読んでみるといい歴史改変ものと紹介されたが、
    たしかに面白い物語だった。
    双子が歩む二つの歴史というだけではなく、
    その二つでさえ、絶えず変化を繰り返して、
    解説にあるような、ヒントもちりばめられており
    (見落としたヒントはあとがきで回収)
    何が起こっているのかと、思いながら
    一気に読み進んで、鮮やかに、かつ幻想的に
    物語は終わる。
    国戦時中の人々の生活の一端、兄弟家族の複雑な感情、
    と戦争と平和に対する考証も加えて、
    技巧的エンターテインメント小説。
    第2部の時代の行き来や変化と、第5部の変化には
    何らか構成上に関係があるのではないかと、
    思ってしまうが、どうだろう?

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    2015年12月06日
  • 夢幻諸島から

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    SFじゃなくてファンタジー、いや神話かな。特に最終章は原始的で野蛮な男女が創造神のようだった。そんな2人がインスタレーションアーティストというのも。それと時間の縛りがない自由さも素晴らしい。重層的で、つながっているようできちんとは解になっていないもどかしさというかあいまいさ。これ英語で読むとどんな感じなんだろう。プリーストは双生児が面白かったけど、こちらのほうがMYベストです。

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    2014年05月29日
  • 夢幻諸島から

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    ネタバレ

    ファンにはおなじみドリーム・アーキペラゴの連作短編集。「限りなき夏」(国書刊行会)に収録された同シリーズの強烈な4編もいっしょにおすすめ。パラレルワールドとも云い難い謎の群島を舞台に、謎設定と謎人物たちが、謎の時間軸で交錯する。「限りなき夏」の4編ではそんな印象なかったけど、こちらの短編集を通読すると、ドリーム・アーキペラゴのメイン・テーマってひょっとしてプリーストによるアート論な気がしてきた。キャラやストーリーだけじゃなくて、その世界観と謎設定も含めてぜんぶが。ドリーム・アーキペラゴって、もうその語感だけで、何杯でもおかわりできます。

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    2014年01月11日
  • 夢幻諸島から

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    プリーストの「奇術師」を以前に読んだときには,その反則気味の種明かしに「そりゃないぜ」と思ったものだが,本書には参りました.負けました.
    架空の「夢幻諸島」の島々のガイドブック,ということだが,島の紹介もあれば,単にその島にまつわる誰かの出来事を綴った完全な小説もあり,しかも謎解き風のものもあれば,幻想小説もあり.
    また,本書にクラクラするのは,何人かの人物は超有名人という設定で,幾つかの島の物語に繰返し出てきたり.全短編を通して読めば,そういった人達の姿が徐々に浮かび上がってきたり.
    もう一度読み返せば,また別の面が浮き上がってきそうだ.プリースト,他のも読んでみようかな.

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    2013年11月27日
  • 夢幻諸島から

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    最初は掴みどころが少なく読み進めるのに苦労。途中から何度か登場する人達の人物像や各々の相関関係が見えてきたり、諸島にまつわる謎や出来事が繋がり始めたりして、驚かされたり更なる謎が浮かんだりして、俄然猛烈に面白くなった。全ての謎が最後に収束するわけではないが、だからこそ読後にフワフワ&クラクラした心地良い余韻が残り、かつ何度も読み返したくなった。

    例えば今度読む時は、繰り返し登場する人物がどの島の話の時に登場するのか対応表を作り、各人物毎に登場箇所だけを一気読みしてみると、最初読んだ時とは違ったその人物に関する何かが見えて面白いかもと妄想している。
    または、不明な個所も多いけど、島ごとの気候や位置、産業、脱走兵や難民の扱い、通貨等を一覧表にまとめて、「何か発見できるかなあ」とニヤニヤしながら眺めたり、それをもとに地図をでっち上げる遊びなんかも出来そう。
    まあ、表を作ったからといって謎が消えることは無いけど、自分なりに整理したくなる魅力がこの小説にはある。色んな読み方楽しみ方が出来る小説だと思う。

    後、繰り返し登場する人物はみんな相当クセがある。その中でもトンネル堀りアーティストのヨーや画家のバーサーストは、人騒がせな芸術家だけどどこか憎めない魅力があり、名前が出てくる度に「今度は何をやらかしたのだろう」とニヤニヤしながら先を読んだ。

    夢幻諸島物の『The Adjacent』も是非是非翻訳して欲しい!

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    2013年10月10日
  • 夢幻諸島から

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    夢幻諸島の島々をめぐるガイドブックという体裁をとった連作短篇集。時に結びつき時に矛盾するエピソード、双生児やガラスといったモチーフ、信頼できない語り手に翻弄されるうちに浮かび上がる歪な騙し絵に幻惑される。いやー、面白かった !!

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    2013年08月30日
  • 不死の島へ

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    結局どれが現実なんだ…!?と思わせたまま物語が終わるのが面白い。
    後半にかけて驚きの真実(?)が明らかなになっていくところもどきどきさせられた。
    映画のシャッターアイランドを彷彿させた。
    なかなかクセのある文章で取っ掛りが難しかったが会話が多かったので内容は入ってきた。

    影山徹氏の装画とクリストファー・プリーストの小説という素晴らしい組み合わせ。
    映画化するなら奇術師と同様にクリストファー・ノーランがいいなぁ。(名前も同じだしね)

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    2026年04月01日
  • 双生児 下

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    ネタバレ

    双子のもう一人、ジョーのパート。
    良心的兵役拒否者としての登録、赤十字の仕事、遠く離れた妻の関係と赤ん坊、兄弟と和平の交渉。
    日付も読まずに一読しただけでは、最後まで読んでも何が起きていてどういう意味なのか分からなかった。双子であるから尚更ややこしい。偽のヘス、兄弟の動向、子供の名前、微妙にすれ違う史実。解説を読んで、該当ページをパラパラと見て文脈を思い出して、ああそういうものなのかと。再読したい。
    私がヨーロッパ第二次世界大戦の史実にうといだけかと思いながら読んでいたけど、流石に終結くらいはわかるし、そう言われればそうだよな…

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    2019年01月27日
  • 双生児 下

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    ドイツと戦争中のイギリスを舞台にしたSF。
    解説を読むまで勘違いして読んでたことに気付かなかった。
    もう1つの歴史はお兄ちゃんの妄想で片付けてしまうところだった。
    メビウスの輪のようにぐるっと入り口につながっているのでした。

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    2018年12月19日
  • 双生児 下

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    ネタバレ

    なるほど〜、奥泉光先生の戦記ものとの共通点かぁ。
    大森望氏の解説が優れているので、頑張って作品を読み通した甲斐がありました。
    SFが苦手でも、歴史改変ものがあんまり好きじゃなくても、優れた世界文学を読みたい気持ちがあれば読んで良かったと思えるプリースト。

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    2018年11月01日
  • 隣接界

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    ネタバレ

    SF的な事象で人が消えるところから始まる。本作品は8部構成になっており、それぞれ関連してはいるが異なる舞台で物語が展開される。“関連している”ところが肝要で、本書のタイトルのように“隣接”している。第二部以降しばらくは、「これってSFなのかなあ」と訝しいが、後半から隣接度が高くなると、どんどん面白くなる。平行世界なのかタイムスリップなのか、謎は謎であるが、ジグソーパズルのピースが上手くはまらない感じが読んでいて楽しい。何度か読み直すと、新しい発見がありそうな作品だ。

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    2017年11月27日