クリストファー・プリーストのレビュー一覧

  • 夢幻諸島から
    北と南に大きな大陸があり、その中間に広がる無数の島々から成る夢幻諸島。そのガイドブックという形を取った連作短篇集でありながら、長篇としての作品。半分は夢幻諸島に点在する島々の紹介であるが、それがこの作品の下地となって物語を引き立たせる。6~7人くらいの主要な人物が、時折挟まれる中編の物語に登場し、互...続きを読む
  • 双生児 下
    こういうオチね。
    しかし、スムーズに幻想の世界に入っていくなぁ。
    騙されるか、と身構えていてもムダ。
    たった一行の文章で、ぜんぜん違う世界に変わっちゃうんだから。
    読み返してもダメ。
    そことは繋がっているようで、繋がっていないから。
    プリーストの作品、これまで読んだのはずれ無し。
  • 双生児 上
    クリストファー•プリーストの長編。
    なんか、普通の話だな、とちょっと退屈しながら読んでいくと。
    最後に爆弾。
    え?え? 話が違うんだけど。
    続き、めっちゃ気になる!
  • 隣接界
     カメラマンのティボー・タラントはトルコで野戦病院で業務に従事する看護師の妻を反政府ゲリラの攻撃で失い、海外救援局によって英国に連れもどされる。しかもその英国はわれわれの知る英国ではない、グレート・ブリテン・イスラム共和国なのだ。ロンドンを通るが、救援局は何かを隠している。それは正三角形にすべてが消...続きを読む
  • 隣接界
    プリーストならではの夢幻のたゆたい感。どこに運ばれるかわからないけど、ずーっと浮かんでいたかった。ネタバレしてはいけないやつなので、何も書かないけど、今のところ今年1番じゃなかろうか。早川書房さんは立派だなあ、こんな本を次々と!
    特定できない誰かが恋しく、その不在を痛く感じるのは、隣接界の私の記憶な...続きを読む
  • 双生児 下
    あー、最初から文庫版で読みたかったかも。ミスリードされたまま「続く」で終わって、下巻でやられちまった感で満喫できたかも。w
    世界史の勉強のし直し迄も強いられてしまいました。

    更に大森望の解説を読んで、「ドリームマシン」の内容が思い出せなくて焦っている。そして他にも未読のものがあると気付いてポチりに...続きを読む
  • 双生児 上
     邦題は『双生児』、原題はSeparation『別離』。これだけでもう意味深だ。1人と見せて2人、2人と見せて1人、そんな詐術を仕掛けてきそうだ、プリーストなら。
     もっとも双生児と思わせてソーセージだったなんて仕掛けはない。ソーセージの本場ドイツが主要舞台のひとつではあるが。

     第二次大戦のノン...続きを読む
  • 夢幻諸島から
     待望の夢幻諸島(ドリーム・アーキペラゴ)のガイドブックであり、アーキペラゴのいくつかの魅力的な、あるいは特徴的な島が紹介されている。『限りなき夏』で訪れたことのある旅行者も、これから夢幻諸島を旅行しようと考えている人にも歓迎される一書であろう。
     だが、この手の本にはお定まりの地図というものが本書...続きを読む
  • 双生児 下
    読んでみるといい歴史改変ものと紹介されたが、
    たしかに面白い物語だった。
    双子が歩む二つの歴史というだけではなく、
    その二つでさえ、絶えず変化を繰り返して、
    解説にあるような、ヒントもちりばめられており
    (見落としたヒントはあとがきで回収)
    何が起こっているのかと、思いながら
    一気に読み進んで、鮮や...続きを読む
  • 夢幻諸島から
    SFじゃなくてファンタジー、いや神話かな。特に最終章は原始的で野蛮な男女が創造神のようだった。そんな2人がインスタレーションアーティストというのも。それと時間の縛りがない自由さも素晴らしい。重層的で、つながっているようできちんとは解になっていないもどかしさというかあいまいさ。これ英語で読むとどんな感...続きを読む
  • 夢幻諸島から
    ファンにはおなじみドリーム・アーキペラゴの連作短編集。「限りなき夏」(国書刊行会)に収録された同シリーズの強烈な4編もいっしょにおすすめ。パラレルワールドとも云い難い謎の群島を舞台に、謎設定と謎人物たちが、謎の時間軸で交錯する。「限りなき夏」の4編ではそんな印象なかったけど、こちらの短編集を通読する...続きを読む
  • 夢幻諸島から
    プリーストの「奇術師」を以前に読んだときには,その反則気味の種明かしに「そりゃないぜ」と思ったものだが,本書には参りました.負けました.
    架空の「夢幻諸島」の島々のガイドブック,ということだが,島の紹介もあれば,単にその島にまつわる誰かの出来事を綴った完全な小説もあり,しかも謎解き風のものもあれば,...続きを読む
  • 夢幻諸島から
    最初は掴みどころが少なく読み進めるのに苦労。途中から何度か登場する人達の人物像や各々の相関関係が見えてきたり、諸島にまつわる謎や出来事が繋がり始めたりして、驚かされたり更なる謎が浮かんだりして、俄然猛烈に面白くなった。全ての謎が最後に収束するわけではないが、だからこそ読後にフワフワ&クラクラした心地...続きを読む
  • 夢幻諸島から
    夢幻諸島の島々をめぐるガイドブックという体裁をとった連作短篇集。時に結びつき時に矛盾するエピソード、双生児やガラスといったモチーフ、信頼できない語り手に翻弄されるうちに浮かび上がる歪な騙し絵に幻惑される。いやー、面白かった !!
  • 双生児 下
    双子のもう一人、ジョーのパート。
    良心的兵役拒否者としての登録、赤十字の仕事、遠く離れた妻の関係と赤ん坊、兄弟と和平の交渉。
    日付も読まずに一読しただけでは、最後まで読んでも何が起きていてどういう意味なのか分からなかった。双子であるから尚更ややこしい。偽のヘス、兄弟の動向、子供の名前、微妙にすれ違う...続きを読む
  • 双生児 下
    ドイツと戦争中のイギリスを舞台にしたSF。
    解説を読むまで勘違いして読んでたことに気付かなかった。
    もう1つの歴史はお兄ちゃんの妄想で片付けてしまうところだった。
    メビウスの輪のようにぐるっと入り口につながっているのでした。
  • 双生児 下
    なるほど〜、奥泉光先生の戦記ものとの共通点かぁ。
    大森望氏の解説が優れているので、頑張って作品を読み通した甲斐がありました。
    SFが苦手でも、歴史改変ものがあんまり好きじゃなくても、優れた世界文学を読みたい気持ちがあれば読んで良かったと思えるプリースト。
  • 隣接界
    SF的な事象で人が消えるところから始まる。本作品は8部構成になっており、それぞれ関連してはいるが異なる舞台で物語が展開される。“関連している”ところが肝要で、本書のタイトルのように“隣接”している。第二部以降しばらくは、「これってSFなのかなあ」と訝しいが、後半から隣接度が高くなると、どんどん面白く...続きを読む
  • 夢幻諸島から
     ここ(ドリーム・アーキペラゴ)ではどんなことも起こり得る―

     時間勾配の歪みにより地図の作成が不可能とされている架空の世界。そこに点在する無数の島からなる通称夢幻諸島(ドリーム・アーキペラゴ)が舞台の物語。英国作家の”信頼できない語り手”ことプリーストが書き記した、死と狂気に彩られた島々に纏わる...続きを読む
  • 双生児 上
    SFだと思って読み始めたら、あんまりSF要素なかった。
    でも読みやすいのでぐんぐん先へすすむ。

    WW2詳しくないし、ロンドン空襲のことなどほとんど知らなかったので新しい視点を得た感じ。
    と同時に本編と関係ないんですが、東京大空襲はこのロンドンの空襲と比べるととんでもない規模だっただんだなあと苦しく...続きを読む