竹下大学のレビュー一覧
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本書は、買ったのは今年初めで、長い間読もうと思っていたものであり、ようやくゆっくりと読む気になった。といって、中断し、また読み始める。この本のスゴサに驚くばかりだ。ページをめくりながら、著者の育種家の視点は、歴史的な背景を探り、その地域の特色や歴史を理解し、果物が生まれた世界を探究することであることを再認識した。果物の品種の由来や歴史を調べ、綿密な文献にあたり、産地や現場に行き、育種家が何を思い、どのように向き合ったかを考察する。果物の姿に目を向け、果物の声に耳を澄ませる。そのプロセスこそが、現在の果物の結果を形成し、未来に何が求められるかを考えさせるのである。だからこそ、著者は「食べ物は一
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Posted by ブクログ
「昔に比べて野菜が不味くなった」とお嘆き
の貴兄は読むべし、です。
多くの食材は品種改良により、より美味しく
よりたくさん、より一年中食べられるように
なっています。
コメの品種改良は多くの媒体で取り上げられ
ているので、ここでは触れられていません。
ジャガイモ、ナシ、林檎、大根、様々な食材
を紹介しています。
ポテトチップの原料であるジャガイモは、国
産であることが良く知られていますが、一方
でマクドナルドのポテトは全て米国産です。
なぜか。
ここに品種というものが密接に関係していま
す。
普段何気なく食べている野菜に対して「品種」
というこだわりに興味を持つきっかけになる
こ -
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ジャガイモ、ナシ、リンゴ、ダイズ、カブ、ダイコン、ワサビの七種を「採り上げ」て、うまい品種の歴史をわかりやすくひもとく。トリビアの宝庫で、この七種だけでなく、もっといろんな品種の話を聞いてみたいと思う。
(ジャガイモ)
・マックのポテトがやたら長いのは専用品種「ラセットバーバンク」が巨大だから
・日本のジャガイモ出荷量は年190万トン、このうちカルビーが27万トン。マクドナルドが年間に購入するジャガイモは150万トンで全量輸入。
・コナフブキ、男爵に続く日本年間生産量第3位の「トヨシロ」はポテトチップス用品種、コロッケ用としては男爵が根強いがきたかむいが注目株、ポテトサラダ用にはさやか」が理想 -
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 柑橘~家康が愛して以来日本人を虜にした果物
第2章 カキ~いにしえより日本人と苦楽をともにしてきた果樹
第3章 ブドウ~謎の品種が日本で興した2つの産業
第4章 イチゴ~日本初の品種が誕生したのは新宿駅の近く
第5章 メロン~大隈重信が流行らせた明治貴族の食べ物
第6章 モモ~神聖な果実から人間との共生を選んだ植物
<内容>
かなり詳しい。登場人物たちの果物へのこだわりも半端なく、その様子を知れたのもうれしい。ただ品種名や商品名を聞いても、実際に店ではそんなことを気にせず買っている、食べているので、違いはわからない…。生産者や品種改良に命をかけている人たちの苦労 -
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ネタバレ普段あまり読まないジャンルに手を出そうの会その1
馴染はなかったんだけど、キチンと引き込む筆者の力量が光るね。味や伝来(歴史)、作り方からトレンドまで。中公新書はこーゆーとこが信頼できて非常に良い…。
野菜/果物を栽培するときに、味が美味しいのはもちろんだけど、やはり害虫や病原菌に強いといった”育てやすさ”が1つの指標になる。そこに加え形が崩れないか、どの時期に収穫できるか(初物は売れるのである)なんてことも加わってくると複雑だ。
それに味一つとっても、何に使うかで求められる要素が変わってくるわけで。
普段私達が何気なく食べている品種というのは、数え切れない人の数え切れない努力の末に生まれた -
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なかなか面白かった。
著者はキリンビールで花の品種を開発してきた育種家。
ところで、植物の育種家のことも、ブリーダーというそうだ。
そんなことも、本書で知ったことだ。
ジャガイモ、リンゴ、ナシ、大豆、カブ、大根、そしてワサビの品種開発の話が取り上げられている。
一つ一つ、へぇ、の連続だ。
ジャガイモは栄養繁殖性。
種イモから育てる、クローン繁殖だ。
だから、病気が流行ると一気に広がる恐ろしさがある。
育種にも、安全保障的な考え方が必要だと学ぶ。
ついでに、メイクイーンのえぐみは、ポテトグリコアルカロイドなる物質のせいで、冷蔵庫の光でも増えるそうだ。
暮らしにも役立つ――!
ガンマ―フィ -
Posted by ブクログ
ネタバレベランダ園芸家でもあるいとうせいこう氏と、世界的な花の育種家の竹下大学氏の植物にまつわる対談集。
昆虫に蜜を与える代わりに受粉という生殖作業をさせるという点からして、少なくとも植物は昆虫を操ってきたのだろうと感じていたが。
さらに、実は人間だって植物に操られてきたのかも?と思わせる新たな視点が次々と登場する。
また、世界の中でも日本人の成し遂げてきた植物への研究は、あらためて素晴らしいと思える話も多数。
食料危機を救うための小麦や稲、鑑賞用としての植物の品種改良など。
そして、今では普通になっている観葉植物の「斑入り」は、日本人が最初に目を付けて、その美意識がヨーロッパの人々にも伝染したと -
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ぶどうの章を先に読んだ。
史実の箇所は情報量が多い。そして感想の箇所は読み進めやすい。緩急が面白い。もっと感想が読みたい。
日本で栽培されているぶどうの起源にはじまり、栽培方法の模索、食料政策の影響、鉄道開通による増産、ぶどう狩りビジネスモデルの発足、品種改良にかける努力や、ぶどう畑オーナーたちの情報交換と切磋琢磨、1900年代前半の日本ワイン市場、戦時物資調達の影響、これらさまざまな社会背景が「巨峰」「デラウェア」などの良く知る言葉とともに展開されるため面白い。
日本各地に栽培の歴史があるようで、知っている場所が出てくると驚くとともに行ってみたくなる。
次は柿の章を読みたい。 -
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読書録「植物はヒトを操る」3
著者 いとうせいこう、竹下大学
出版 毎日新聞社
p152より引用
“竹下 もともと芽に栄養はなくって、芽
の外側にくっついている胚乳にあるわけです。
つまり胚乳はエネルギータンクなんです。植
物の赤ちゃんである芽を育てるお乳でもある。
麦芽や発芽玄米が体に良いのは、その時期に
芽を育てるためのいろいろな酵素が活性化す
るから。種のまんま食べるより栄養的に優れ
ているからなんです。”
目次から抜粋引用
“植物の生命戦略
植物が日本人をつくる
この世にオスは必要か
植物は偉人を操る
権力と植物”
クリエイターと育種家の二人による、植物
と人間の関係