河野仁のレビュー一覧

  • 〈玉砕〉の軍隊、〈生還〉の軍隊 日米兵士が見た太平洋戦争

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    当時の戦場を生き残った兵士の証言を多く収集していて、読んでいてかなり勉強になった。思っていたのとは違うような、兵士たちの心理を知れる点でとても有益な本だと思う。ただ、著者はその証言に頼りすぎて、生存者バイアスのようなものが発生している可能性があることを見落としている気がする。つまり、うまく戦場で立ち回れたから生き残れた兵士の証言しか残っていない場合があり、すぐに亡くなった兵士はもっと別の心理があったのかもしれないということ。それを自覚していれば、より透明度のある分析をできたかもしれない。

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    2023年01月25日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    これだけ日本の欠点と言うか日本の弱体化の要因を俯瞰的に正確に指摘出来る日本人がいるんだなと素直に驚き。同じような考えを持つ日本人は一定数いるはず。それでも日本が衰退国として甘んじているのは分かっていても変えられない何かが多々あるからだと思う。自分もそうだけど。

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    2021年10月20日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    独ソ戦やバトルオブブリテンにおける趨勢の転換、ベトナムのフランスからの独立やアメリカとの戦争におけるベトナムの戦い方、イラク戦争におけるアメリカ軍の戦い方の変遷といった実例を通じ、戦略、そして知略やリーダーシップについて分析している。野中氏が35年生まれで、一番若い麻田氏が80年生まれと、かなり年代にバラエティのある4人の著者が章別に分担執筆しているが、内容・文体はよく統一されている。
    内容は多岐にわたるが、ヒトラーも気まぐれなだけでなく戦争経済を考えて戦略を練っていたこと、スターリンも兵站や補給の重要性をよく理解していたこと、米軍は正規軍どうしの戦闘ではベトナムでもイラクでも常に強力であった

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    2021年03月04日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    成功経験も失敗経験も、その経緯を言語化しておくことは大切なんだということを、改めて感じさせられた。
    ただ、多くのケースは、目的の不明瞭さが、失敗を導くこともわかっているのにね。
    わかっていてもできないのが、人間の性なのか。

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    2021年01月04日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    知略の本質を知るため、読みました。知略とは、情況と文脈に応じて具体的戦略を実践していくことです。知略の4つの要件は①共通善(共通する目的意識)②共感(相互主観性)③本質直感④自律分散系(実践知の組織化)でふ。知略の本質を洞察し理解すれば、どんな場面でも戦略を賢く実践できます。

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    2020年10月31日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    レニングラード攻防戦、バトル・オブ・ブリテンをはじめ、おそらく戦史オタクでないとなかなか知らないであろう内容をこの本で読むことができた。しかし、これだけ詳細に書いてあるのはさすがでした。

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    2020年08月02日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    野中郁次郎先生の"本質"シリーズの4冊目です。

    "戦略の本質への答えは「知略」である。これは日々変化する状況下のもとで組織員一人一人の実践知によって「いま・ここ」に相応しい行動を取らせる唯一の方法である。"

    知略とは、マネジメント・リーダーシップ領域の概念だと言う説明が冒頭になされている事からもわかる通り、焦点の当て方がスターリン、チャーチル、ホー・チ・ミンのリーダーシップ論に比重を置いているように思えました。『戦略の本質』でも取り上げられていた独ソ戦、バトル・オブ・ブリテンベトナム戦争が題材です。
    以下、章別の気付きのサマリーです。
    ■独ソ戦
    国防

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    2020年05月02日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    知略とリーダーシップの本質に迫る失敗の本質シリーズの最終章。構成は前著群と変わらず、時系列かつ叙事的に戦闘展開を述べた後に、アナリシスを導出するというもの。

    失敗の本質以上に、企業経営その他あらゆる勝負事に援用しやすいフレームワークにまとめてある点で、その有用性はシリーズ最終作に相応しいものと言える。

    冒頭p7より引用。この部分こそが核心となる。
    "軍事戦略をめぐっては従来、攻撃と防御、機動戦と消耗戦、直接アプローチと間接アプローチといったような二項対立的なとらえ方があるが、われわれは、そうしたとらえ方よりも「二項動態」的なとらえ方こそ、戦略の本質を洞察していると理解している。戦略現象を「

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    2020年02月25日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    ネタバレ

    失敗から学ぶことは多々あり、それが戦時のことであれば、生死をかけた戦略や行動であるために、更に学ぶべきことは多いと考える。ただし、完ぺきな人間などいるはずもなく、限られた情報の中で、限定合理的に行動した結果であることを念頭に置く必要がある。

    ・ウェーバーの価値自由原理である、ヒト/モノ/カネを効率的に利用できているかという効率性の問題と、価値の問題は分けて考えるべきというのはなるほど。そして、効率的なものが常に正当であるということにはならないというのも納得である。

    ・戦時において、成功した体験は、なかなか否定できない。実績が一度伴うと、それに寄りかかってしまう。必要な時には自己否定ができる

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    2020年01月01日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    戦時の話しをしているはずなのに、なんかすごくしっくりくる。いまも同じような状況に陥っているからなのかな。

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    2019年10月21日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    2012年7月に書かれた本で、1984年に書かれた「失敗の本質」に対して多面的な検証とさらなる考察が実施された本、「失敗の本質」はずっと読みたかった本なのですが、まだ読めておらず、先に新しい版を読むことになりました。

    相応の歴史知識や、太平洋戦争時代の人物像に関する情報がもともとないと、やはり難解であるとは思うが、それなりに長い間勉強してきてから読んだので、僕にはさらに造詣が深まったと思う。

    『戦場のリーダーシップ』という観点では、僕もこれまでいくつか勉強してきてましたが、「キスカ撤退の木村」や「組織人になれなかった天才参謀 石原莞爾」、「独断専行はなぜ止められなかったのか 辻 政信」など

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    2019年03月25日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    国家的視野による戦略、現場感覚のあるリーダー、空気によらない責任者の明確な判断、いずれも全く実現されていない。無意味な戦争に突入する事がないようにするために何をすればいいのか、悩ましい。

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    2017年01月16日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    日本が大東亜戦争で敗戦したことは知っていても,なぜ負けたのかということまでは,なかなか歴史の授業で学ぶことはないと思います。
    敗戦の原因はどこにあるのか,将来にいかすべき教訓は何かということを研究したのが本書です。

    文章が読みにくいということはありませんが,出来事や人物に馴染みがないので,やや読み進めるのに苦労しました。

    私は自分の仕事や生活にどう活かしていくかということを考えながら読みました。

    本書を読んでの私なりに得た教訓ですが,
    ・成功体験ばかりでもそのことだけに囚われて,視野が狭くなってしまい,そのことが大きな失敗を招く。それゆえ,失敗も貴重な経験。
    ・帰納的思考を大切に。経験か

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    2015年11月03日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    最初の「失敗の本質」を読んだのは何時だろう。手許にある本の奥付には"昭和60年2月15日 20版発行"とある。おそらく大学時代に紛争論か何かのつながりで落手したのだろう。
    あれから幾度読み返しただろうか。少し難解だか、戦史に基づいた論証は、その後の様々な局面で、幾度勇気付けられただろうか。
    今回の新版は、随分読み易くなったなぁ、というのが第一印象だ。このシリーズに触れていない人は、まずこの新版を読んでから、「戦略の本質」、そして「失敗の本質(初版)」を読まれることをお勧めする。
    ともかく、初学者にとっても勇気付けられる一冊だ。

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    2015年05月17日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    ネタバレ

    フランスが犯した失敗の本質を的確にした指摘した上で、物は、祖国フランスの救済策を次のように書いている
    強くなること
    敏捷に行動すること
    世論を指導すること
    国の統一を保つこと
    外国の政治から世論を守ること
    祖国の統一を撹乱しようとする思想から青年を守ること
    治めるものは高潔のある生活をすること
    汝の本来の思想と生活方法を情熱的に信じること

    戦時体制のアメリカ政府は、統合参謀本部を始め、軍のポストに多くの民間人を起用した。それが知のバラエティーを豊かにし、組織にバランス感覚を植え付けたのだ
    学校での成績が重視される10日システムに象徴されるように、日本軍の組織人事は極めて硬直的なものであった

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    2021年06月22日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    太平洋戦争の日本軍の失敗に学ぶ本
    組織論などで現代にもじゅうぶん通じる、ということは普遍的、本質的な話なんだろう
    日本企業の組織あるあるではあった
    作戦が失敗した
    アメリカ→原因を分析、次の作戦に反映
    日本→「気合が足りない」「次は勝てる」
    無謀な意見が出た
    アメリカ→ロジカルに考えて判断
    日本→「あいつは本気だ、やらせてやろう」
    第一陣が敗退したら、、、
    アメリカ→コンティンジェンシープランを持っている
    日本→「失敗するわけない」「失敗を考えるのは異端だ」

    今時こんな古い考えの組織もなかなかないとは思うが、
    ゼロではないだろうと思う。
    少なくともうちの会社も忖度とかあるし、「あいつがあそこ

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    2020年08月19日
  • 知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利

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    圧倒的不利な状態から逆転した4つの戦争の事例を挙げて、リーダーシップの本質を分析した本。

    歴史を分析することの大切さはよく理解出来たが、歴史に弱い自分にとっては、まず戦争の歴史を理解するところでかなりの時間がかかってしまい、最後の方は流し読みになってしまった。
    じっくりと時間をかけて読むべき本であり、日を改めて通読してみようと思う。

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    2020年02月11日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    戦場という生死がかかる究極の状況の中でのリーダーシップ。日本を覆う「空気」というものに支配されないこと、それがリーダーとして必要なことなのだろう。

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    2019年05月31日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    第二次大戦時の帝国陸海軍が犯した数々の失敗を、個別の事例の丁寧な調査と解説で分析してくれている。この手の本の中でもとてもわかりやすいものだと思う。何を読んでも当時のお粗末な意思決定や視野の狭さに呆れるが、やはり他人事ではない。特に戦艦大和の特攻にあたっての意思決定では、米国留学経験のある知性派でさえ、今考えれば合理的でない決定をしている。本書の分析によれば、「敗戦が濃厚な状況で、大和を温存しておくことは、臆病者のレッテルを貼られるだけでなく、終戦後に大和が敵国の実験などに使用されることになり、これらを何より恐れた」とされている。当時のその立場であれば当然の意思決定かもしれないが、そのせいで数千

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    2019年03月17日
  • 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

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    第二次大戦における日本の軍事行動の失敗から教訓を得ようとする本。リーダーシップに的を絞り、主に司令官に焦点を当てて分析を試みている。空気で説明される大和特攻を、取引コストの点で説明を試みたことは興味深かった。

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    2018年11月12日