柳下毅一郎のレビュー一覧

  • 異形の愛

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    登場人物のほぼ全員がフリークス。人間離れした容姿と尋常ならざる能力を持っているキャラクター達が、人間味が溢れた行動(良くも悪くも)を振る舞い、愛し、苦悩する。
    常人には理解し難い愛が確実にそこにある。面白いので、ツラツラと読み進められるが、裏には社会風刺の劇薬を盛り込んでいることに気づくと、この本の見方が変わる。

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    2022年03月05日
  • ベスト・オブ・映画欠席裁判

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    町山智浩さんと柳下毅一郎さんとの対談で映画作品を語ったもの。過去の出版されたものを再編集したものとのこと。映画への愛と、少年の心、そして両氏の視点、切り口のおもしろさにあふれている。

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    2018年10月23日
  • プロメテア 1

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    魔法や神のあり方を、この世ならざるものの論理(カバラ神秘学?)でロジカルに説明し、それが「芸術」や「創作」、さらには「想像力」の賛歌になっているという。なに、この離れ業。

    意外なのは、「セックス、スター、スネイク」の章。邦訳があるアラン・ムーア作品でのセックスって、人の愚かしさの側面を描くことが多かったように思う(ウォッチメンの火星シーンは例外)。こんなストレートなセックス賛歌を書いているとは。プロメテアと「想像力」と「戦争」について語るシーンもすごい。

    破天荒なストーリー、宗教的(?)な意匠で飾られた美麗なコマや絵、引用されている元ネタの多様さや密度、どれもすさまじい。「BOOK 1」な

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    2018年08月10日
  • 異形の愛

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    異形、というと高級感すらあるが、ゲテモノ、見世物芸人、不適応者、エグい、どうしょうもない、といった重層的意味を持たせているはずだ。
    (オタク、マニア、といったニュアンスはまだなかったころの小説だ。)
    「存在しているだけで稼げる」という素晴らしいアイデアから畸形を作り上げる、という奇矯な家族小説からスタート。
    フツウを見下すという価値の顛倒。囲いの中でのマジョリティとマイノリティ。
    やがて カリスマへの傾倒が始まる。
    躰の歪みだけでなく、家族の兄に対する/フツウのフリークスに対する傾倒という精神の歪み(内面のフリークス)でもある。
    ここにおいて話は家族を超えて集団心理を描き出す。
    その反面、語り

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    2017年08月20日
  • 異形の愛

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    すげーすげーとは聞いてたものの、オイラが知った時にはペヨトル工房は既になく…河出がまずすげーわ。愉楽とかも相当ヤバいと思うけど、よう次から次へとこうどっかから怒られそうなんを出すわ。エラい。
    で、中身。フリークス小説の金字塔みたいな話は聞いてたけど嘘やなかったなぁ。愉楽よりだいぶ古いけど古さを感じへんし過激さでも負けてへん。

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    2017年07月25日
  • プロメテア 1

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    アラン・ムーアの魔術書!!と、よく紹介される本。まったくもってその通り!!
    絵とストーリーでわかりやすく、かつ資料的な意味合いもすごいかと。さすがのアラン・ムーア御大…!!
    まだこれがあと2冊続くのかと思うと至福です!!
    主人公のソフィーを通して、歴代プロメテアから、想像界から物質界への脱出、解釈を教えてもらい、世俗的な魔術師から物質界の視点での解釈を、そして、カドゥケウスの杖から、象徴から学ぶ、宇宙の法則を教えられるところまで。
    タロットカードだの、心理学だのに反応しちゃう、子供心が抜けない大人は是非、ご一読を。

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    2014年12月23日
  • ベスト・オブ・映画欠席裁判

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    ざっくりとした批評に文字面見えるけど、ものすごいカンペを手にやってるんじゃないかってくらいの知識の量で圧倒されます。ただしバカ。

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    2014年01月29日
  • ベスト・オブ・映画欠席裁判

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    単行本版の3冊を読んでいても、やっぱり面白い。ベスト盤なので話の追加は無いけど、宇田丸さんの解説が追加されている。その内容も二人への尊敬と畏怖と軽い軽蔑?満載でグッと来た。今回もまた同じ箇所で笑ってしまった。。。チャーリーズエンジェルの話が一番笑えるかな。あと、蓮見センセイとのシンクロ率の高さも最高。

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    2012年08月29日
  • ベスト・オブ・映画欠席裁判

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    ファビュラスバーカーボーイズによる対談形式の映画感想。

    こういうムック的なものが文庫化するとは良い時代だね。

    解説の宇多丸が喝破しているように、映画の評価っていうのは絶対的なものではなく、読者をミスリードしないように敢えて逆のことを言ったり、とぼけて見せたり、こういうの、やはり漫才ユニットというのだろうな。

    楽しめます。

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    2012年06月16日
  • ベスト・オブ・映画欠席裁判

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    いやあ〜、面白かった!一番印象に残った言葉は「昔の映画は1本観ると確実に少しだけ成長したような気にさせてくれたもんだよ。」
    まさにその通り!
    だから生ぬるいハリウッド超大作や邦画より、韓国のバイオレンス映画を好んで観てしまうんだろうなあ。

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    2012年04月19日
  • ベスト・オブ・映画欠席裁判

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    映画愛に溢れたすごい大人が二人が真剣にボケる漫才評論が楽しい。まだ完成もしていない「タイタニック」を数年前まで「殺人魚フライングキラー」 でハリボテ作ってた男の感情移入できない大虐殺映画と言い切ってしまう。こんな感じの破壊力のある言動が500ページも続く恐ろしい本。あと宇多丸の解説が的確過ぎて面白い。

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    2012年04月07日
  • ベスト・オブ・映画欠席裁判

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    オリジナル版の3冊をかつて読んでいたんだけど、またまたあの毒舌映画批評漫才を読み直したくて購入しちゃいました。

    再読ながらも、当時と同じように楽しめました。再編するにあたって、わりと後半2冊に収録されていたものがメインとなっているようで、一般向けっぽい感じになっています。

    個人的には初期の感じも好きなので、そのあたりが含まれていないのは残念ですが、でも評価には影響しないレベル。

    本当に映画の見る角度に関していろいろと考えさせられるという点では、またまたこのコンビに復活してもらいたいなと思いますね。

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    2012年03月20日
  • ジェイクをさがして

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    すごいふしぎな短編集。
    ぞっとするものにやっとしてしまうもの、さまざま。
    「あの季節がやってきた」が好きかな。

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    2010年09月06日
  • ジェイクをさがして

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    ホラー・ファンタジー色の強いSF短篇集。収録作の多くが主人公の体験する恐怖のみが濃厚に描かれ、その原因や結末は語られぬまま読者に委ねられている。この独特な味わいが個人的にはかなりツボ。どれも面白かったけど、お気に入りは「ある医学百科事典の一項目」「仲介者」「あの季節がやってきた」かな。

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    2010年07月07日
  • クィア

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    バロウズの中ではいちばん好きかも。『ジャンキー』と同じ文章が載ってると思ったら、やはりそうであった。

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    2025年09月14日
  • クィア

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    ウィリアム・バロウズ『クィア』を読んだ。メキシコシティに暮らすヤク中でゲイの中年男性リーと、若く美しい恋人アラートンとの短い恋愛の話。

    メキシコシティの社会情勢からくる荒廃した治安の悪さの描写と、そのなかに突然現れる美しいアラートン。男女の恋愛話なら、荒んだ日常にいきなり魅力的な人物が登場するのはよくあるフィクションの始まり方だと思う。

    作中には、いわゆるゲイバー(文脈的にはハッテン場的な意味合いに近い)で性行為の相手を探す場面がたびたび出てくる。そして、リーがアラートンとの関係を切実なまでに保とうとするのは、当時の同性愛者を取り巻く社会的承認の欠如と出会いの困難さから来るのではないかと思

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    2025年05月12日
  • クィア

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    もしかしたら初バロウズかもしれません。もうパッとしないのしないのって、本当にパッとしないオジサンの身勝手な一方通行のナルシスティックな愛を、ひと時の恋の思い出に変換したみたいな…どうしようもない激甘(歪んだ苦い甘み)ラブロマンスなので、もしかしたら太宰好きとかに良いのかもしれませんし、中島らも好きなら問題なく楽しめると思います。
    訳は滑らかでどこも止まることなくさらさらと進みます。読みやすい。

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    2025年04月10日
  • ベスト・オブ・映画欠席裁判

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    映画欠席裁判1〜3を再編集、文庫化したもので、原文は1997年から2007年に書かれたものだが、2023年の今読んでも面白い。

    映画ガイドとして読者の役に立つということを第一にしているのではなく、映画の話題で笑わせることを第一にしている。どの回も、だいたいパターンは同じで、ボケとツッコミで笑えるという所に力点が置かれている。

    もちろん、映画ガイドとしても有用で、著者たちの豊富な知識や経験による裏話、背景、元ネタの推測などに教えられることも多い。

    たくさんの作品について言及しているので、巻末に映画名索引があれば、なお有用であった。

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    2023年12月20日
  • ベスト・オブ・映画欠席裁判

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    伝説の活字漫才コンビ、復活!
    映画への愛ゆえに怒り、ツッコミ、笑い、時に対立も辞さず語りつくす。
    『千と千尋の神隠し』のアンタッチャブルなテーマを喝破し、『スター・ウォーズ』を『巨人の星』に、『チャーリーズ・エンジェル』を「通いたい店」にたとえて止まらない、対話型暴走映画評論集。
    映画秘宝の人気連載、映画欠席裁判の濃縮版。
    漫才のスタイルの中に、膨大な情報量と的確な批評があって、面白いです。
    「チャーリーズエンジェル」のように、観客を楽しませることしか考えていない映画を、「店」と呼んだり、観客を甘く見てセリフなどで説明過剰したりして作っている日本映画界に怒ったり、目から鱗が落ちます。
    「アルマ

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    2023年09月23日
  • 柳下毅一郎の特殊な本棚

    購入済み

    作中にある一夫多妻の男は、捕まった人ですよねぇ。ずいぶん昔にワイドショーで見たことがあります。沖縄の女性がかわいそすぎる。興味深い本ばかりでぐいぐい読めました。

    #ダーク #怖い

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    2023年05月10日