柳下毅一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
映画が好きだったので、原作にも挑戦。バロウズの実生活をそのまま辿った私小説。若いツバメとのドラッグロードムービー。しかし、炙り出されるのは一人の麻薬中毒者の滑稽な自画像のように思いました。
バロウズの文章やっぱり読みづらくて(一回『裸のランチ』は挫折)、本人解説の序文が一番衝撃的で分かりやすかったかも。映画は役者の肉体を伴って表現され、アラートンとの関係性がより描かれていたので、結局愛なんて幻想である。という虚しさがより感じられたんですけど、小説の方はもっと自己中心的な描写で、一人の虚しくも滑稽な人間を描いている印象が強かったです。ドラッグ常習者の心の変遷が垣間見えた気がしました。
まあ、でもやっぱりバロウズは序文にも書かれてる本人のエピソードが凄すぎて、小説が霞むんだよなあ。
後、今回の翻訳にあたって題名が原題に直されたそうなんですが、バロウズの意図した意味と現代の意味が全然変わってしまっていて、時代の流れを痛烈に感じました。 -
Posted by ブクログ
作品全体には強い感情の爆発はなく、淡々とした、乾いた語りが続く。けどその乾燥は無感情ではなく、重たい倦怠感をまとった乾き。リーは嫉妬し、執着し、欲望に振り回されるが、それを激情としてではなく、疲労の中で繰り返す。人生は止まらない。倦怠の中でも旅は続く。
アラートン(モデルはアデルバート・ルイス・マーカー)との関係は、肉体関係があっても感情は対等ではない。アラートン( 実在の若いアメリカ人男性)は、バロウズよりかなり年下で、性的アイデンティティも流動的だったと言われている。
リーの方が明確に欲望を抱き、アラートンは「今日はやってもいいよ」と許可する側。そこには温度差と主導権の差がある。触れられる距離なのに、埋まらない距離。この冷たさが、滑稽さよりも寂しさを強調する。
リーの人生はほとんど欲望によって駆動している。若さへの欲望、承認への欲望、超越への欲望(ヤヘ探求)。ヤヘ(アヤワスカ)を求める旅も、アラートンへの執着も、根は同じ。「何かがほしい」だがその欲望は救済には至らない。
欲望を追うことは破滅と似てる、若さはそれを純粋な形で抱えるが、年齢を重ねると同じ形では続かない。だから欲望が衰えること自体寂しいことじゃない、その時の感覚を持ったまま(大人)の静けさに向かっていく
リーはきっとまた誰かに恋をする。同じような構図で、同じように欲望し、同じように満たされないかもしれない。だがそれは空虚ではなく、人間の持続の形。欲望は消えない。形を変えていく
3.8ぐらい -
Posted by ブクログ
某ポッドキャストで某声優さんの語るこちらの映画が面白そうで、だけど観に行く機会を逃していたら、先日本屋さんでたまたま小説を見つけたので購入してみた。
翻訳本が苦手だということを改めて自覚した。
いや、たぶん前提知識がないことも問題なんだろうな。488ページ…読み終えるのが本当に大変だった。
まず、文章の主語がよくわからなくて、
誰が何を言っているのか全然理解できない箇所が多くあった。
なんとか想像で補いつつ、なんとか読み進めていたったけど、
いやぁ、あんまりよくわかんなかったなあ…。
とは言えラストはおおっ!てなったので、
読み終えてから最初の方をもう一度読み返してみた。
若く野心家のスタンが、見世物小屋からコールドリーディングの技術を取得し、大掛かりな心霊詐欺を経て、破滅するまでの物語。
全体的に退廃的で仄暗い印象の物語だけど、面白いところももちろんあった。
もう少し翻訳に慣れていて、前提知識を持っていたら楽しめたんだろうなと思う。