マキアヴェッリのレビュー一覧
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ネタバレイタリア、ルネサンス期の政治思想家で、
29歳で外交官に就任し、様々な国王と交渉を重ねる中で、
43歳の時に国家の在り方や、強い君主について説いた本が君主論。
強い君主の条件
1.恐れられること
2.憎まれないこと
3.軽蔑されないこと
4.尊敬されること
5.ケチであること
ケチであることがなぜ必要か。
これは、何でもかんでも気前よく散財するな、と言う意味。
評判や信頼のために気前よく与え続けると、必ず資産や富を使い果たし、いずれ国家存続のために重税など、結果的に民にも負担を強いることとなる。
すると、尊厳を失う。
「君主は、たとえ愛されなくてもいいが、人から恨みを受けることがなく、し -
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ネタバレ著者以前の時代に生きた人物の事例を挙げつつ、君主としていかに振舞うべきか説得的に説いた名著。
【気になった諸点の抜粋】
●いかなる君主においても民衆を味方につけておくのが必要である。…賢明な君主は、いついかなる状況の中でも、自分の市民たちが政権と彼のことを必要とするための方法を、考えておかねばならない。
●持つべき土台の基本とは、良き法律と良き軍備である。軍備は自己の軍が最善。傭兵軍と援軍は役に立たず危険。君主ならば自ら陣頭に立って指揮官の役割を果たさなければならない。
●武装した君主と武装した共和制体だけがきわめて大きな進歩を遂げた。
●なすべきことを重んじ今なされていることを軽んずるは破 -
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『君主論』というちょっと恐れあるタイトルに反して、所々美しい比喩や文学的表現が施されている。ギャップ萌え。
マキャベリズムに残忍で冷徹なイメージしか持っていなかった。ただ、君主が民衆を率いるためにはそうなるざるを得ない、というは必須条件なのだ。
それはマキャベリが「人間というものは…」と頻繁に用いることから垣間見える、彼の人間への鋭い洞察力が証明している。
つまり、マキャベリはその鋭い洞察力によって人間(大衆)の本質を見抜き、君主が彼らをコントロールするには、マキャベリズムに則る必要がある、ということ。
言い換えれば、彼は冷徹なほど現実的なのだ。
君主論以外にもローマ史について語られ、 -
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言わずと知れたニッコロ・マキャヴェッリのあまりにも有名な国家政治論。
その序において、フィレンツェの君主家であったロレンツォ・デ・メディチに献呈したというスタイルを取っている。
16世紀イタリアは群雄割拠しており、さらにフランスやスペインといった強国が介入する争乱の場と化していた。一度は理想君主の一人としたヴァレンチーノ公(チェーザレ・ボルジア)によるイタリア統一を願ったマキャヴェッリであったが、彼は早々に失脚してしまう。こうした中、時の教皇レオ10世はメディチ家出身のジョヴァンニ・デ・メディチであり、メディチ家によるイタリア統一という希望を託すという意味において本書は執筆されたということで -
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コジモ・デ・メディチの帰還から、ロレンツォ・デ・メディチの死までが描かれる下巻。圧巻は最終章である8章で、息もつかせぬ展開に思わずページをめくる手も早くなる。ラストの尻切れとんぼ感にはあぜんとさせられた。現代的な著作であれば、最後にまとめ的な何かが必ず来るものだが、当時は必ずしもそうではなかったのかも知れないが。
いわゆる歴史書としては視点が中立的でなかったり、恣意的な省略や誇張などもあるが、その歴史に立ち会った人ならではの息づかいや迫力が伝わって来る。本書でさらっと触れられているロレンツォの人柄についてさらに詳しく知りたく思った。
歴史好きなら読んで損はない一冊。 -
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ローマ帝国の崩壊から、フィレンツェの成立、教皇派と皇帝派の対立、そしてコジモ・デ・メディチの追放と帰還までを本書では描く。新訳ということで活字も綺麗で大変読みやすいのみならず、訳者による精緻な注釈は大変読み応えがある。
学術的な歴史資料としては過不足があるかも知れないが、素人の歴史好き的には大変興味深く読み進むことが出来た。高校の世界史とかで「ローマ帝国が民族大移動で崩壊した」「カノッサの屈辱と呼ばれる」程度の断片的な知識を補完するには十分な内容だろう。
改めて、ローマ帝国の崩壊と教皇の権力の拡大というのは、イタリア史に暗い影を投げかけているのだと認識させられた。党派対立や貴族と民衆、民衆の中 -
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●2025年5月30日、チャットGPTに質問「優秀なトップ層の男性から慕われて頼られる女性になりたい。ホステス的なのでなく、女王様」と話しかけてたら、「あなたにおすすめの書籍(知の主 導権を持つ「女王」タイプ向け)」という項目で、これらの本をおすすめされた。
「マキャベリズム」
権力を持つ者の心理と支配の技術。知的戦略思考 の基礎に。
「影響力の武器/ロバート・チャルディーニ」
支配・操作を受けないための心理戦の仕組みを学
ベます。
「サピエンス全史」
人類史の大局から、思想と構造を見る。言葉に深みが出ます。
「メディチ・インパクト」
異分野をつなげることで唯一無二になるための戦 略的 -
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5年ほど前に読んだ時と比べてかなり理解して読むことができたと思う。とは言え自分に思考的な進歩があったかと言えばそうではなく「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」を先に読んだのが大きい。あの本は君主論の導入本としてはこれ以上なく最適だと思う。
本編は「運命」と「力量」が君主にとって最も大事な要素である事を説明し、「運命」とはどのような影響を及ぼすか、「力量」とはどのように形成されていくかを歴史の実例(主に古代ギリシャ・ローマや中世イタリア)を元に紐解いていく。君主が助言を聴くのはあくまで君主側のタイミングであり、判断は君主に委ねられると言う部分はその通りだと思った。あととにかく舐められ -
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「君主は必要に応じて悪人にもならねばならぬが、その悪を行うときは全て一気に行い、その後は善人に戻るようにすること」という言葉が印象に残りました。また、君主が自らの利益や安全を守るためには必要に応じて人を裏切り、反逆者を排除しなければならないということも、深く考えさせられました。
マキャヴェッリが16世紀初頭に書いた政治論の古典。君主としての成功のために、強さ、知恵、権力の行使を重要視する。その手段は道徳的に正しいとは限らないが、目的に合わせた選択をすることが必要とされる。個人の意見にとらわれず、国家を導くために必要な判断をすることが求められる。そのためには、一定の「虚心坦懐」と「愛されるこ