【感想・ネタバレ】君主論のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年08月05日

君主は国民や軍隊、あるいは他国・他勢力に対してどうふるまうべきかに関して、権力者に上申するという形式で書かれた著作。ちょうどロシア国内で反乱があった時期に読み始めた関係で、「傭兵は自分の利益しか考えてないからあてにならない(意訳)」という記述が現代においても引用されることが興味深い。読者のほとんどは...続きを読む君主にならないが、政治的に、また上司・先輩として部下・後輩にどう振舞うかという点では少し参考になるかもしれない。

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Posted by ブクログ 2023年04月10日

イタリア、ルネサンス期の政治思想家で、
29歳で外交官に就任し、様々な国王と交渉を重ねる中で、
43歳の時に国家の在り方や、強い君主について説いた本が君主論。

強い君主の条件
1.恐れられること
2.憎まれないこと
3.軽蔑されないこと
4.尊敬されること
5.ケチであること

ケチであることがな...続きを読むぜ必要か。
これは、何でもかんでも気前よく散財するな、と言う意味。
評判や信頼のために気前よく与え続けると、必ず資産や富を使い果たし、いずれ国家存続のために重税など、結果的に民にも負担を強いることとなる。
すると、尊厳を失う。

「君主は、たとえ愛されなくてもいいが、人から恨みを受けることがなく、しかも恐れられる存在でなければならない」(17章)

「加害行為は、一気にやってしまわなくてはならない。恩恵は、よりよく人に味わってもらうように,小出しにやらなくてはいけない」(第8章)
「君主は恩恵を与える役はすすんで引き受け,憎まれ役は他人に請け負わせればいいということだ。」(19章)
→人のもの(金、恋人・家族、地位など)に手を出すと憎まれる。憎まれ役(会社なら、減給やリストラなど)は誰かに請け負わせた方が得策。


「君主は,戦いに勝ち,ひたすら国を維持してほしい。そうすれば,彼のとった手段は,必ずやりっぱと評価され、誰からもほめそやされる.大衆はつねに,外見だけを見て,また出来事の結果で判断してしまうものだ。」(18章)
→表面的に良いことや、結果の伴わない愛情、道徳的なことだけでは長く続かない。
勝つこと、結果を出すことが最重要で、厳しいこと、残忍なことなしに結果を出すことが難しい場合は、悪評を気にしてはいけない。

「人間とは利己的で偽善的なものであり従順であっても利益がなくなれば反逆してしまう一方で、君主を恐れる人々にはそのようなことはない。君主にとって信義は、間違いなく重大。しかし、実際には信義を気にせず、謀略によって大事業をなしとげた君主のほうが信義ある君主よりも優勢である場合が見受けられる。戦いには謀略によるものと武力によるものがあるがこの二つを君主は使い分けなければならない。もしも信義を守った結果、損害が出るならば、信義を守る必要は一切ない。重要なのは君主が立派な気質を備えているという事実ではなく、立派な気質を備えているという評価を持たせること。」

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Posted by ブクログ 2021年01月31日

著者以前の時代に生きた人物の事例を挙げつつ、君主としていかに振舞うべきか説得的に説いた名著。

【気になった諸点の抜粋】
●いかなる君主においても民衆を味方につけておくのが必要である。…賢明な君主は、いついかなる状況の中でも、自分の市民たちが政権と彼のことを必要とするための方法を、考えておかねばなら...続きを読むない。
●持つべき土台の基本とは、良き法律と良き軍備である。軍備は自己の軍が最善。傭兵軍と援軍は役に立たず危険。君主ならば自ら陣頭に立って指揮官の役割を果たさなければならない。
●武装した君主と武装した共和制体だけがきわめて大きな進歩を遂げた。
●なすべきことを重んじ今なされていることを軽んずるは破滅を学んでいる。
●慕われないまでも、憎まれることを避けながら、恐れられる存在を目指すべき。
●同盟は全て疑わしいと考えるべき。
●数々の不都合の特質をよく見分け、最悪でないものを良策として選び取ること。
●側近が有能かつ主君に忠実であるとき、その君主もまた有能であると見なして良い。

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Posted by ブクログ 2020年04月08日

『君主論』というちょっと恐れあるタイトルに反して、所々美しい比喩や文学的表現が施されている。ギャップ萌え。

マキャベリズムに残忍で冷徹なイメージしか持っていなかった。ただ、君主が民衆を率いるためにはそうなるざるを得ない、というは必須条件なのだ。
それはマキャベリが「人間というものは…」と頻繁に用い...続きを読むることから垣間見える、彼の人間への鋭い洞察力が証明している。

つまり、マキャベリはその鋭い洞察力によって人間(大衆)の本質を見抜き、君主が彼らをコントロールするには、マキャベリズムに則る必要がある、ということ。

言い換えれば、彼は冷徹なほど現実的なのだ。

君主論以外にもローマ史について語られ、また注釈も詳しいので、読んでいて学びが多い一冊!

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Posted by ブクログ 2018年10月17日

君主(リーダー)が権力、組織を維持・伸長するためにとるべき行動を研究した本。現在でも、この本の通りに行動していれば、リーダーシップを発揮できるだろう。国家を統治するくらいの人全てに読んで欲しい本。というか、皆さんすでにお読みになっているのでしょう。。

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Posted by ブクログ 2017年11月21日

支配階級と被支配階級があるとすれば、
支配階級側の人間が読む本。

君主たるもものの心がけ。

善行が必ずしも良いというわけではなく、その逆もしかり。
運命によりかかるのでなく、人間の力量によって策を講じることで、運命にも逆らえる。

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Posted by ブクログ 2017年07月03日

言わずと知れたニッコロ・マキャヴェッリのあまりにも有名な国家政治論。

その序において、フィレンツェの君主家であったロレンツォ・デ・メディチに献呈したというスタイルを取っている。
16世紀イタリアは群雄割拠しており、さらにフランスやスペインといった強国が介入する争乱の場と化していた。一度は理想君主の...続きを読む一人としたヴァレンチーノ公(チェーザレ・ボルジア)によるイタリア統一を願ったマキャヴェッリであったが、彼は早々に失脚してしまう。こうした中、時の教皇レオ10世はメディチ家出身のジョヴァンニ・デ・メディチであり、メディチ家によるイタリア統一という希望を託すという意味において本書は執筆されたということである。
解説によればマキャヴェッリはフィレンツェ共和国時代の政府書記官であったが、メディチ家の復権とともに投獄され職を失うという経歴を持っている。メディチ家へのこうした接近は彼の処世術の一環でもあったことだろう。

本書を語る上で外せないのが有名なマキャヴェリズムである。最終的な勝利のためには、ありとあらゆる手段を講じ、どんな汚いやり方でもその目的のためなら容認し推奨する究極の権力第一主義!その思想は人間の心理や思考、行動パターンの鋭い洞察や分析に根差したものであり、今日なおも胸に突き刺さってくるものがある。
そして、本書に通底するマキャヴェッリの視角は「力量」と「運命」である。この視点は姉妹編といってもよい『ディスコルシ』でも特に強調されていたもので、「力量」と「運命」を持つ者が君主の座に着きこれを維持できるとし、さらには「運命」の女神を従わせるのは人間の「力量」であるともいい、君主の座に登るものが備えるべき決意と方法を過去の事例を丹念に紐解きながら訴えるのである。
本書の内容からすると『ディスコルシ』と被る部分も多々見られ、同時期に構想した内容をテーマに沿う形で整理・分類して二書に分けたものであったのだろう。

本書の前半は、君主の政体(つまり国)のパターンをひとつひとつ取り上げた上でその長短を述べ、次に君主政体が持つ軍隊のパターンを取り上げてその長短を述べる。
そして後半では、君主が褒められることと貶されることとか、気前が良いこととケチであることとか、あるいは信義を守るべきやいなや、軽蔑と憎悪を免れるには?、名声を得るには?などなど、君主が採るべき姿勢や態度とその効果について述べる。
訳者解説によれば、前半部分は「君主政体論」で後半部分は文字通りの「君主論」に分けることができるという。
確かに前半はそのテーマの趣旨からいって、様々な古今の政体や軍隊のありようの事例を上げながらその末路について解説しているのに対し、後半は君主たるべき者への進言が基本となっているといえ、後半こそ本書を著したかったマキャヴェッリの真骨頂が述べられているといっても良いであろう。
中でも自分なりにずっしりときたのは、君主は冷酷でなければならない!普段はケチでなければならない!普段から考えていなければならないことは戦争のことであり他はどうでもよい!信義は守らなくて良い、必要とあらば悪の中にも入っていけ!しかし、普段は慈悲深く誠実で宗教心が篤いように見せておけ!信義を破る時は一気呵成に!ということである。
前近代の国と権力者の役割は現代の国家に比べかなり限定的なので、究極的にはこのような思想に辿りつくのだろうという考えがある一方で、人間心理や行動に根差した普遍的な思想であるが故に現代でも立派に通用するのではないかとも思える。
ということで、早速、日ごろの生活に取り入れよう!ひひひ。

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Posted by ブクログ 2016年12月17日

今から500年前の著作だが、現代にも十分に通用する名作。リーダーを目指す人には必読ではないだろうか。

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Posted by ブクログ 2016年09月29日

会社での人間関係を理解するために、参考になる記述が多い。理不尽な状況が生まれる背景もある程度は理解できた。

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Posted by ブクログ 2016年08月19日

知り合いに読むよう勧められたが、超面白かった!これは、大学の時ではよくわからなかったな。。今だから、現実味がある。君主たる者、臣民の結束と忠誠心を保たせるためには冷酷たれとか、狐と獅子を範とすべきとか、憎しみを招くもとが善行でもあり得るとか、すべての面において善い活動をしたいと願う人間は、たくさんの...続きを読む善からぬ者の間で破滅するしかないとか、なるほどな視点満載です。

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Posted by ブクログ 2015年03月30日

思慮深く勇敢たれ。
こういう矛盾を起こしそうな二律背反的なメッセージだけれども「攻めなきゃやられる!」という時代状況を考えると、どちらかというと〈後者〉に強調点がある。

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Posted by ブクログ 2023年11月22日

5年ほど前に読んだ時と比べてかなり理解して読むことができたと思う。とは言え自分に思考的な進歩があったかと言えばそうではなく「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」を先に読んだのが大きい。あの本は君主論の導入本としてはこれ以上なく最適だと思う。

本編は「運命」と「力量」が君主にとって最も大事な...続きを読む要素である事を説明し、「運命」とはどのような影響を及ぼすか、「力量」とはどのように形成されていくかを歴史の実例(主に古代ギリシャ・ローマや中世イタリア)を元に紐解いていく。君主が助言を聴くのはあくまで君主側のタイミングであり、判断は君主に委ねられると言う部分はその通りだと思った。あととにかく舐められたら負けということか。

理想は理想だが、この本の内容を上手く使いこなせた時管理職として上手くいくのかもしれないーと月並みなことも考えたりもした。

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Posted by ブクログ 2023年05月03日

「君主は必要に応じて悪人にもならねばならぬが、その悪を行うときは全て一気に行い、その後は善人に戻るようにすること」という言葉が印象に残りました。また、君主が自らの利益や安全を守るためには必要に応じて人を裏切り、反逆者を排除しなければならないということも、深く考えさせられました。


マキャヴェッリが...続きを読む16世紀初頭に書いた政治論の古典。君主としての成功のために、強さ、知恵、権力の行使を重要視する。その手段は道徳的に正しいとは限らないが、目的に合わせた選択をすることが必要とされる。個人の意見にとらわれず、国家を導くために必要な判断をすることが求められる。そのためには、一定の「虚心坦懐」と「愛されることよりも恐れられること」が必要であると説く。政治家やリーダーにとっての一助になる本だが、倫理的な観点から批判されることもあると思う。

権力者に必要な思想と行動についての指南書であることは間違いないと思うのだが。

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Posted by ブクログ 2023年04月16日

君主とはどうあるべきか。必ずしも聖人君子のように振る舞うのではなく、時に非道に、時にケチになるのもヒエラルキーの上位に立つ時には必要な資質であると理解した。
人々からあえて嫌われることもいとはない、リーダーはどの時代でも寂しい側面があるものなのだと思う。

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Posted by ブクログ 2023年02月12日

序盤の政体論や軍制論はいまいちだったが、15章からの君主の資質に関する話は面白かった。
チェーザレ・ボルジアに強く影響を受けた内容なのでチェーザレ・ボルジアについての本を読んでから本書を読むとより分かりやすい。

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Posted by ブクログ 2022年01月02日

不道徳教育講座に近い感覚を覚える。
目的に照らし合わせた時に最も効果的な手段を考えるべし!というメッセージと受け取った。
ただ、時代背景と君主という立場を認識しないとならない。誰でもどの場面でも活用できる代物ではない。
例えば、「慕われるより恐れられた方が良い」は本当にミドルリーダーに必要かと言われ...続きを読むれば怪しい。トップなら必要な気はするが。
現代の一般論に流されがちな人は対局の意見として取り入れても良いと思う。

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Posted by ブクログ 2021年11月20日

 君主を社長に読みかえて読んでみた。君主論は上に立つ人にとっていい本だと思うけど部下にこれを薦めたいとは思わない。

君主がみずからの地位を保持したければ、善からぬ者にもなり得るわざを身につけ、必要に応じてそれを使ったり使わなかったりすることだ。
→手を汚すことも必要だと解釈した。ただこれはやりたく...続きを読むはない。

気前の良さとけちについて
→権力の座に着くまでは他人の所有物を惜しみなく与える者との評判を取るように行動し、権力の座に着いたら倹約を旨とし自分のものや社内のものを大事にしなければならない。

冷酷と慈悲について
→性悪説に立つべき。慕われるより恐れられよう。人間は恩恵を施している間だけ味方になっているから。全幅の信頼を寄せるな。

どのようにして信義を守るべきか
→慈悲深く、信義を守り、人間的で、誠実で、信心深くといった資質を身につけて離れない。が、必要たあらば狐となって罠を悟り、獅子となって狼を驚かす。

どのようにして軽蔑と憎悪を逃れるべきか
→憎悪は強欲になって社員の給料を減らしたり名誉を傷つけることで生まれる。軽蔑を招くのは優柔不断な態度である。


運命はどれほどの力を持つか。私たちの諸行為の半ばまでを運命の女神が勝手に支配しているのは真実だとしても、残る半ばの支配は、あるいはほぼそれぐらいまでの支配は、彼女が私たちに任せているのも真実である。
→運命に全面的に任せてはいけない。時代に自分の行動を合わせることで幸運な結果を導くことができる。

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Posted by ブクログ 2020年12月19日

世界の政治家や大企業のトップ経営者は、このような本の知識を得てことに当たっているのか、と理解しました。

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Posted by ブクログ 2020年10月09日

約500年前の時代を生きていた人物の著作とは思えないくらい、その内容に説得力があった。彼が唱える君主論は、彼が時代の流れの中で身をもって経験したことが元となっているため、戦争に明け暮れていた当時の情景が思い浮かぶかのような迫力があった。彼が唱える君主論は、どのようにすれば人心を掴むことができるのかを...続きを読む教えてくれると共に、巨大な権力を扱い方がどれだけ難しいことなのかを教えてくれるものであった。

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Posted by ブクログ 2020年03月23日

「国を守るために悪事を行わざるをえないときは、非難されてもひるんではいけない。あらゆることを考え合わせてみると、美徳と見えた物が実際は命取りになったり、悪徳と見えた物が安全と繁栄につながったりするからだ」ーー『君主論』

マキャヴェッリの『君主論』は無数の名言を世に残った一方、その批判も数え切れない...続きを読む。「マキャヴェリアニズム」という言葉すら存在しているように、マキャヴェッリの言論は、統治のために大衆を操作し、道徳的な関心を持たない政治思想の代名詞ともなっている。こうした先入観を持っていた私は、次の言葉を読んだ時に驚いた。「窮屈。死。恐れることはない。私は古人に魅了された」。40歳の頃に、やむを得ず隠遁生活を過ごしていたマキャヴェッリが言う。その言葉は、私が『君主論』、そしてそれを書いたマキャヴェッリが置かれた時代背景をもう一回読み直すきっかけとなった。先人の知的蓄積を人生のエネルギーの源にしていた彼は、決して冷酷非道な人ではないと考えたからである。

メディチ家はどのような時代背景の中で登場したか。マキャヴェッリの時代の「大衆」はどのようなものなのか。彼が話しかけている「君主」とは誰か。『君主論』の背景を調べてみれば、解説の本や文章はたくさんある。マキャヴェッリがそれを書いた動機に対しても様々な分析が行われてきた。それらの説明を省略して、『君主論』と開発について2つの側面から考えていきたい。

1つ目は、開発のメカニズムを誰の立場から解明すべきかである。人類学的な調査で一般大衆の「声なき声」を描き出すのは、一種の研究者の「正義」といえる。しかしそれと同時に、弱者が自分の戦略がばれてしまったことで被害を受ける可能性も高い。それに対して、マキャヴェッリは一見民衆を操作する技法を書いたものの、実は権力側の働きかけや操作の解明ともなっている。結果的に、民衆が権力者の技を看破し、その統治から脱出するに役立つのではないかと考える。知を武器にする研究者の矛先に、実は意図せざる相手が立っている。

第2に、開発援助の「脱道徳化」は可能か、必要かどうかである。世界中の開発援助、なかでも村レベルのボランティア活動などは「善意」のもとで行なわれているように見える。「活動経験の共有」や「教訓」などの言葉は多く聞くが、プロジェクトを成功させるために、どのように「相手を上手く操作するか」に関する議論はあまりない。例えば、ラオス政府を動かすためにどのようにプレッシャーをかけたら効果あるか、のような経験を必要とする援助側が多いかと思うが、どこか耳ざわりが悪いと感じる。道徳感覚は、結果的に開発援助の「失敗」につながると言いたいわけではないが、それを議論できる空間が存在すべきではないかと考える。

振り返ってみて、15世紀頃のフィレンツェに、人類の星の時間がながれていた。後世に政治学の父と呼ばれているマキャヴェッリは、そのながれの中で輝いている知的巨人であることは間違いない。

(東京大学大学院新領域創成科学研究科 博士課程 汪牧耘)

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Posted by ブクログ 2016年10月24日

中世ヨーロッパにおける政治生体や様々なリーダーの栄枯盛衰を俯瞰的に分析し、リーダー(君主)とはかくあるべき
というものを記している。特に、憎悪と軽蔑は避けるよう努めるべきであるが恐れられことは必要である、助言は必要なときに自ら得れば良く、それ以外に進言される助言は不要であるといった内容が心に残った。...続きを読むリーダーの多くの資質について述べられているが、とどのつまり社会情勢や自分や他社の能力や性格をつぶさに分析し、臨機応変に対応する必要があるということだと理解した。今から500年前に記された書物ではあるが、現在の組織にも十二分に適用できる内容となっている。

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Posted by ブクログ 2014年03月26日

ヨーロッパ政治思想史の参考文献として読まねばならず。
重~いページをめくったら、その日のうちに最終ページをとじました。

政治家の言っていることがこんなによく分かるなんて!と政治に通じた気を起こすところだったが、マキアヴェッリの分かりやすいレトリックのお蔭なよう。

人間など所詮自分のことしか...続きを読む考えていない、という前提に則った所論の展開は説得力十分で筋道の通った裏のない言葉はとても気持ちがよい。

女の子が電車の中で読むにはあまりに可愛気のない本ではあるが、イタリアでは学生の必読図書だそうで、世紀を越えて読まれるだけの価値が大いに感じられた。

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Posted by ブクログ 2024年05月02日

君主としていかに臣下や人民を抑え統治するか、歴史上の君主の事例から言及されている。その方法には、人を恐れさせる、反逆されないための残忍な方法も説かれているため、現在を生きる自分からは賛同しにくいと感じられるような方法も多い。とはいえ、必ずしも否定できるようなものでなく、当時の時代背景からそのような方...続きを読む法が取られてきたこととその合理性に対する理解はできる。
また、考え方として、相手に恐れられるような存在であること、且つ、相手に憎まれたりしないことが大事であることと、それを維持するためにどのように振る舞うか、どのような施策を打つことが重要であるか、自分の影響力の与え方を考える上での新たな視点としての学びがある。

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Posted by ブクログ 2023年04月23日

職務に任じられた官吏が財を着服しても知られることはない。水中で泳ぐ魚が水を飲んでも知られることがないように。▼射手に放たれた矢はせいぜい一人を殺すか、殺さないかである。しかし、知者により放たれた智謀は、胎内にいる者をも殺すことができる。 カウティリヤChanakya『実利論』BC4世紀 ※マウリヤ朝...続きを読むチャンドラグプタの宰相

民衆を指導する者は正義(社会維持の徳)、知恵、勇気(精神の高邁さ)、節度をもつべき。キケロCicero『義務について』BC44

倫理・道徳と政治は別。善き主君、善き政体を考えるよりも、現実の欲望渦巻く混沌の世界にどうすれば秩序を与えられるか、を考えるべき。「人間はいかに生きるべきか」だけに囚われて、現実の姿を見逃すべきでない。政治は醜く、権謀術数が渦巻く世界。君主は人として善い人であっても、有能であるとは限らない。時として冷酷な判断もしないといけない。君主が善良、敬虔、慈悲深くあろうと理想を追求すれば、いずれ没落してしまう。君主は愛されるよりも恐れられる方がよい。人間は、恐れている人より、愛情をかけてくれる人を容赦なく傷付ける。君主は獰猛なライオン・狡猾なキツネでなければならない。ニコロ・マキアヴェッリMachiavelli『君主論』1516

市民が活発に政治参加し、公共の問題に自ら取り組み、実践することで市民は人格を発展させられる。公共の善によって、個人の利益追求を制約できる。共和政が理想だ。▼傭兵は自分の利益のために国を裏切るが、自国愛に支えられた市民軍は国を裏切らない。古代ローマでは市民軍があったから強かった。市民には共和国のために戦う意識を持ってもらい、軍事力を高めるべき。それにより対外的に拡張政策を取る。古代ローマが模範。ニコロ・マキアヴェッリMachiavelli『ディスコルシ』1531

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Posted by ブクログ 2021年04月24日

共和制の国を占領するのは難しが、もともと君主制の国を征服して支配することは容易。住民が自由を知らず、支配されることに慣れているから。
加害行為はまとめて短く、恩恵は少しずつ長く。
君主には、良き土台が必要=傭兵と援軍は約立たず。自己の軍が必要。君主は、みずから陣頭に立って指揮官にならなければならない...続きを読む
ギリシャは援軍をトルコに求めたため、異教徒に隷従する始まりとなった。ローマ帝国の滅亡の始まりは、ゴート人を傭兵にし始めた時。
君主は、戦争と軍制と軍事訓練のほかに業務はない。
君主は高い地位にあるため、誹謗中傷の的になりやすい。
君主はけちん坊と呼ばれることを気にしてはいけない。気前の良さを示すことは滅亡につながる。他人の所有物を分配するときは気前の良さが大事。
冷酷という悪評を意に介してはならない。口先だけの言葉を信頼してはならない。恐れられることと憎まれないこと、は両立する。
信義を守らなくても、勝ることがある。統治には法と力とがある。両方の性質を使いこなすことが必要である。
誠実を身につけて実践することは有害だが、そのようなふりをすることは有益である。
君主は訴えられる、または裁かれる場がないので、結果だけが注目される。ひたすら勝つことが必要。
征服したときは、された側の武装を解除する必要がある。徐々に一体化するよう整える必要がある。
尊敬され名声を得るためには、偉大な事業を起こすこと。力量の愛好者であることを示す。
側近の選定が大事。自分よりも君主のことを考える側近。
追従者から逃れる。自分のききたいことだけを訊ね、決断は必ず自分がする。余計なことは言わせない。
運命には半分くらいが委ねられている。半分は運命が自分に任せている。運命は時代を変転させるのに、自分の態度にこだわり続けると、合致しなくて不運になってしまう。運命は女性だから、慎重であるよりも果敢に組み伏せようとしたほうがよい。

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Posted by ブクログ 2016年03月15日

111君主論
・企業買収の際等、ビジネスにおいても貢献するような考え方が書かれてある
・新しい領土を得た場合の方策1征服者が当地へ赴き、居を構える2植民3軍隊の駐屯(復讐の恐れがあり、ダメ)
・人間は、寵愛されるか、抹殺されるかそのどちらかでなければ→クロップ監督の哲学もこれ?
@cpa_1992 ...続きを読む
・反乱を起こされる可能性を常に排除する必要あり
→買収後に、取締役だけ派遣よりも、植民(取得企業側の様々な従業員を被取得企業に派遣)すべきということ?

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Posted by ブクログ 2015年09月15日

教科書ではルソーの流れで登場していたが、こんな内容だったとは、、、群雄割拠するイタリアにおける統治論を過去の事例をもとに、展開している。君主を経営者、国を企業に置き換えると、リーダーシップ論やポジショニング理論といった現在の経営学に通じる。先行論文が少ない当時でこの洞察には驚嘆。賞賛と批判が多いのは...続きを読む、感情を湧き立てる書なのであろう。

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Posted by ブクログ 2015年05月21日

中世ヨーロッパの国家の状況を鋭く観察し、君主とはどうあるべきかについて論じた書籍である。マキャベリの君主論は良く知られていたが、実際の内容はあまり知らなかった。今回一通り読んでみて感じたことは以下の通り。

・君主は、優柔不断であってはならない。
・大衆は結果しか見ない。その途中で何があっても、結果...続きを読むを示せば最終的には許されるものである。
・大衆を味方につける方が、貴族を味方につけるよりも国を維持していきやすい。
・傭兵軍、外国支援軍をあてにしてはならない。
・恩恵はよりよく味わってもらうために小出しに行うべきである。
・大事業はけちな人物によって成し遂げられている。
・説得することは簡単だが、説得したままの状態に維持するのが難しい。
・人は、自分が危害を加えられると恐れている人に親切を受けたときには、特に恩義を感じるものだ。
・民衆は、頭をなでるか徹底的に排除するかのどちらかにするべきである。ささいな侮辱は恨みを残し復讐心を生むからである。やるなら徹底的にやる。
・君主は、人間と野獣の両性を持つべきである。どちらかを欠けても地位は守り得ない。
・信義を守ることが自分にとって不利益になるならば、その信義は守らなくて良い。なぜならば、人間は邪悪なものであり、あなたへの約束を常に守るとは限らないからだ。
・君主としてのよい気質(信義・人情味・誠実・慈悲深さ)を備えていることは重要であり、周囲にはそう思わせなければならない。しかし、国を維持するためには、事態の変化を見て、時には断固として悪に変わる変幻自在さも必要である。公明正大で誠実なだけでは生き延びることはできないし、大事を為すことはできない。

特に最後の方にマキャベリの現実主義的なところが見てとれる。今のような平和な時代に生きていては想像が難しいが、誰が敵になるか分からない、一寸先は戦争という時代では、上に立つ者はそのくらい緊張感ある心構えが必要だったのだろう。現代では間違いなく少数派の、批判されそうな考え方であるが、混迷、乱世の中を賢く生き抜き、自国と身分を維持していくためにはこのような強さが必要だったはずである。

読書後は、中世ヨーロッパを泥臭く生き抜いてきた人々の心中を垣間見れたような気がして嬉しくなった。

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Posted by ブクログ 2014年07月26日

乱世の中、国を安定させることを目的としたリーダーのための指導書である。チェーザレ・ボルジアをモチーフとし、内外から恐れられるものの恨まれもしないことを理想としている。そのために、内外に対して厳格な態度をとり、正義のために力を発揮できること、自身で考え判断できる(少なくとも判断するために情報・提案を得...続きを読むられる優秀な部下を持ち人の意見を聞くことができる英明さを持つ)、などが要件として挙げられている。500年も前に書かれた作品だが、現代のリーダーシップの在り方の1つとして捉えることもできる。当時のイタリアの状況、フィレンツェの置かれた状況、チェーザレ・ボルジアに関する情報を把握した上で読めば良く分かるし、一般的に言われているマキャベリズムとは違った印象を持てるはず。

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Posted by ブクログ 2014年08月04日

国を奪って君主になりたい人,必読。

メディチ家に向けて書かれたものだったのか。
15-16世紀のイタリア史を知っていた方がよく読めそう。分からないところは読み飛ばしてもいいとは思うけど。

軍備の重要性を説き,横暴さと狡猾さの双方を君主に求める一方で,民衆の力を侮るなとも。

チェーザレ・ボルジア...続きを読む推し。

翻訳は,学術的な立場を重視してなされたよう。
訳文が読みにくいのも,訳注が充実しているのもそのためだろうが,個人的には,もっと読みやすく意訳してほしかった。

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