草野厚のレビュー一覧
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今更ながら必読であった。
JICA、JBICの再編前なので少し内容は古いものの。
国際協力を考える基礎(外交、意義、政府や組織、予算や財政)のほか、ODAの枠組みやDACリストと援助基準、世銀など国際機関とのせめぎ合いにも言及。ODAのみならずJBICの融資(25%未満のOOF)といった枠組みを概観。国際援助の大義についても色々と述べられている。もっと早く出会いたかった。
また、なんなら、インドネシアのウォノギリダムやビリビリダム話も登場したのには驚いた。
インフラ分野の協力の重要性についても、これらのダム案件にも触れながら語られており、バランスのよさに好感(p88)。
その際、ゼネコンや商 -
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今、無職なんで、大学の聴講生やってます。
「経済政策」なんて講義を聴講してまして
その講義の担当教授からご紹介(授業で皆様にね)して
頂いた本です。
「和歌山県出身の総理大臣が一人だけいます、ご存じですか?」
なんて、紹介でしたが、もう少し、テンション高い本です。
(ちなみに、皆様は、正解わかりますか?・笑)
まだ、吉田茂3次内閣ぐらいまでしか読めてませんが、
作者が、政治学専門の方なので、政治方面詳しく、経済政策面は
割とあっさり、紹介しています。
「経済学」って、完全理由バリバリ後付の社会科学なんで、何とでも
言えて、誰かしら、何か変わったこと言ってやろう、という気運に満ちて
います。つま -
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[ 内容 ]
人間は失敗する生きものである。
とはいえ、各人が、組織の目標やプライオリティを見失わずに責務にあたっていれば、組織はそれほど大きな失敗を犯さずにすむはずだ。
しかし近年、日本の官僚組織は、重大な局面において失敗を繰り返してきた。
官僚機構が恒常的に犯す過ちはどのようなパターンになっているのか。
なぜそうした過ちが繰り返されるのか。
阪神淡路大震災や東海村核臨界事故時のものからODAまでの、政策決定・実施の過程を、危機時、非常時、常時に分類し、詳細に追求していく。
[ 目次 ]
第1章 危機時の決定と実施(えひめ丸事件 阪神淡路大震災 東海村核関連事故)
第2章 非常時の決定と実 -
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「莫大な財政赤字を抱える日本がなぜ他国に援助するのか?」という問に応える本。
本書は、「途上国への援助は必要」という意見が土台となって書かれている。
具体的に筆者は、経済協力については「資源小国、経済大国の日本が生存するためには、これ以上ODA予算を削減すべきではない」という立場で、自衛隊の国際協力については「国連の平和維持活動への参加を原則とする」という立場で話を進めている。
最初にこの本の前提と導きたい結果が明確に書かれているので、とても読みやすかった。
「ODA民間モニター」に参加して、実際に自分の目でODAの生の現場を観てみたくなった。
既存のメディアは「社会に対しての批判者」という役 -
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▼インターネットが普及した世の中にあっても、テレビにおける報道とは私たちに欠かせないニュース・ソースであり続けている。
▼しかし、日に日に増す「早い」「生の」情報が飛び交う中で、私たちが手にし消化できる量は限られている(「早い」とは、その場にいないにも関わらずあたかもその場にいるように情報が共有される状態、「生の」とは、加工されていない情報が送受信されている状態を指す)。
▼確かに、「正しい」報道心掛けることはジャーナリズムの倫理であろう。だが、限られた時間の中で主張したいことをインパクトとともに伝えるため、それを念頭に編集がなされているという事実は、少なくとも自覚しておくべきだろう(場合によ -
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単なる官僚批判を目的とせず,阪神大震災やJOC事故等を例として,一般企業でも起こりうる組織の病弊をアクター分析により明らかにするもの。
緊急事態における決定を,危機決定,非常時の決定に分け,予測危険性と手持ち時間のいずれも満たしていない場合を危機決定,どちらかを満たしている場合を非常時の決定として,その特徴と困難性を述べる。
非常時の決定においては,危機決定に比べて,対処を迫られるという割に最終決定までの時間がある。そのため,決定に参加する組織や個人の数が多くなる傾向があり,その分,統一的な行動が深刻なまでに困難になる。その点,我が職場もそうした傾向にあり,非常に興味深い。