坪内祐三のレビュー一覧

  • 昭和の子供だ君たちも

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    昭和は長い。そうだ、明治と大正を足したより長いもんな。
    坪内さんが語る主に精神史から見た昭和の世代論。
    世代論と言えば、西暦でも元号でもおよそ10年おきに括って論じるが特定の年代にとっては一年の差が大きく影響している年がある。
    旧制中学から新生への移行時期に何年生だったか、日本共産党が180度の方針転向をした六全協の時に何年生だったか。70年学生紛争において東大が入試を中止した年に受験生だったかどうか等々。
    各世代にとって重要な事件を通して昭和という時代を描こうというもの。
    雑誌連載であったために構成がちょっと緩めで話題が脱線したりするのでたまに混乱することもあった。

    坪内さんが拘る1960

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    2014年03月18日
  • 新書百冊

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    新書(版の本)を読むことへの強い思い入れを感じた。紹介されている本、それぞれの時代背景と、その年代に影響を受けた事柄などが表現されている。著者は私より先輩であるが、本文を読むと、記憶が重なる部分があるようだ。私は読書家ではないので多読には至らず、文庫本が主流。出版社の企画にそのまま乗ってしまった、といまになって思う。当時新書のイメージとしてはむずかしい学問を分かりやすく紹介する、逆に専門学への導入と言うイメージがあった。自分が専門としている分野でも過去の経緯からの研究過程が示されていたり、自分の知らない事を補うためには、好適であったと思う。

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    2012年10月16日
  • 禁酒宣言 ――上林暁・酒場小説集

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    全てお酒に関する短編私小説です。家族が困ろうと、お金が無くても、お店の女性に何度冷たくされても毎晩宿酔する様は情けないを通り越して、変に感心しました。この時代の作家には味が有ります。

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    2012年01月15日
  • 人声天語

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    ニートな若者たちに告ぐ、というタイトルのコラム中の文章
    「各メディアでのニートという言葉の取り上げ方の多さ。そこに私はうさんくさいものを感じるのである。本末転倒な気がするのである。何か未知なものを調べていって、その結果得られた言葉(概念)ではなく、とりあえず先にキャッチーな言葉を作って流通させてしまえば、実体はそのあとでうめられてくるだろう、という安易な感じがするのだ。」
    流行り言葉に作為を感じることは自分も多々あるので、この部分はうなずきながら読んだ。
    他は2004年から2008年の間に起こったことについて考察している部分が多いです。当時のことを懐かしみながら気軽に読める世相コラムといった感

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    2022年12月02日
  • 玉電松原物語

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    ネタバレ

    表紙でおおと思った。そうそう、松原駅。話からするとわりと後の方の絵。自分の知っていた町の話。牧場の後のあたりからは記憶にある。猫の集会を除きに行く話とか、風景が区画整理前で泣きたくなった。
    坪内祐三さんなくなられていたのを知らなかった。

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    2022年09月28日
  • 玉電松原物語

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    昨年(2020年)亡くなった著者が直前まで雑誌に連載していたエッセイ。小中学校時代を過ごした世田谷区松原辺りを、ゆるく回想している。昭和の世田谷は、のどかだった。

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    2021年08月05日
  • 最後の人声天語

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    本当に突然亡くなられたことが
    ギリギリまで掲載されていた
    原稿でわかる。
    きっとご本人もまだ夢の中。

    論調は決して好きなほうではないけれど
    取り上げられている題材が興味をひく。
    そんな評論家さんでした。

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    2021年06月13日
  • 玉電松原物語

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    自分自身が今住んでいる世田谷の戦後すぐあたりから
    今までの風景や文化が書かれている本。
    私は、世田谷出身でも東京出身でもなく
    この物語の記載されている著者の年代と
    同じころの自分は、もっと田舎にいたので
    逆に、風景が似通った部分があるような
    気がしました。
    やはり数十年というのは、あっという間のような
    気もするし、それなりの年数であり、物事が
    大きくかわっているのだということを
    改めて感じました。

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    2021年01月11日
  • 新・旧銀座八丁 東と西

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    私にとっての銀座と重なる部分はそれほどないが、例えば「伊東屋=百貨店」など、初めて知ったことがたくさんあった。

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    2018年11月24日
  • 新書百冊

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    【ノート】
    ・引き続き読書ガイドだが、実はこういう「必読書◯◯選」みたいなものが昔から好きだ。中学の頃、OUTというサブカル雑誌に高千穂遙というSF作家が書いていたSFガイドが自分にとってのSF読みの始まりだった。そこで取り上げられていた本を読み進め、また、「初心者を卒業したらハヤカワ海外SFノベルズ」という一文が、高価なハードカーバー本に対する強烈な憧れをインプリントしたものだった。これは今でも拭い去ることができなくて、ハヤカワSFは文庫よりハードカバーこそが「通の証」という思い込みから逃れることができない。

    ・「新書365冊」に比べると本書は出版時期が2003年ということで3年早い。本書

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    2018年10月28日
  • 白鳥随筆

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    するする読める白鳥の随筆集。面白かった!
    明治後半~昭和初期にかけての、白鳥の視線から見た文壇(+出版社)の動向回顧が興味深い。文学だけでなく新派や歌舞伎、美術など芸術全般に対して貪欲に吸収しつづけた白鳥、でもどこか一歩引いたところから物事を眺めているようなニヒルなスタンス。どの随筆も媚びた感じのしないところが(かといって、貶すわけではなくそれを己の正統な感情として説明するでき筆力が)凄いなぁと思いました。

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    2018年05月29日
  • 白鳥随筆

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    ネタバレ

     随筆を通して、正宗白鳥の好きなもの、嫌いなもの、価値観、思考、そんなものを追える。だいたいニヒル、時々ぐっさり、結構流されやすいというのか、ごりごり頑固ではない印象。やっぱり変わり者とは確信する。
     自分の作品や生き方に自信や誇りはなく、でもそれを卑下しながらもすーっと書いてるから、驚きながらも読みやすい。
     特に、白鳥の目に映る文壇事情、懐関係や出版業の変遷などは知らない世界を覗けるという意味で興味深い。
     現代では、出版業の意味に『文学を育てる』というところを意識しにくいが、本来は出版社の利益追求(存続のために勿論必要だが)の他に文学の育成や保護という機能や理念があるんだろうなと認識でき

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    2018年04月29日
  • 羊頭狗肉 のんだくれ時評65選

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    シリーズ6作目。相変わらずの薀蓄合戦が面白い。
    ただし、明らかな記憶違いがあるので、編集の段階でもう少し手直しをしてほしい。

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    2014年10月13日
  • 昭和の子供だ君たちも

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    私は昭和37年生まれ。この本によればどのカテゴリーにも属していないが、結構知っているエピソードが多かった。

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    2014年02月02日
  • 新書百冊

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    ブックガイドとしての役割を期待して手に取った本…だけどこれ、紹介されてるのが基本的に古い。今も手に入るの?的なものもたくさんあるし、少なくとも自分が期待してた内容とは程遠かった。既に十分な読書量があるとか、文学系の仕事しててとかだとこれくらいが良いかもしらんけど、少なくとも自分のニーズには合わなかったす。ってかそもそも、どんなジャンルに関しても、温故知新の有用性に対してイマイチ懐疑的だったりする訳ですが。

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    2012年11月05日
  • 人声天語

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    氏を知ったのは『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り―漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代 』で、この一作で私にとって気になる作家になったのだが、やはりこのコラム集でも、切り口・眼のつけどころが鋭く、そして読みが深い。

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    2012年05月19日
  • 新書百冊

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    [ 内容 ]
    一人の青年の燃える向学心に数々の新書がいかに応えてくれたことか―。
    富士正晴『中国の隠者』、児島襄『東京裁判』、金関寿夫『アメリカは語る』、山口昌男『文化人類学への招待』、名取洋之助『写真の読みかた』などなど、この知の宝庫に分け入り、次々と読破した若き日々…。
    好きな本・凄い本・お得本から秘蔵の本まで、百冊の思い出を熱く描く。
    本好きから心を込めて本好きへ贈る読書自伝。

    [ 目次 ]
    第1章 自らの意志で新書本を読みはじめた頃
    第2章 新書がどんどん好きになっていった予備校時代
    第3章 新書で読んだ読書ガイドと読書法と書斎の話
    第4章 講談社現代新書のアメリカ文化物は充実してい

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    2011年05月21日
  • 人声天語

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    6年分の連載コラムを一冊にまとめたもの。私は、著者より五つ下の学年なので、子どもの頃、重なる経験もあるけれど(例えば街中で見た傷痍軍人)、そうでないところもあるのが興味深かったです。

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    2011年08月03日
  • 新書百冊

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    坪内史学の底流が分かりますね。「カルチュラル・スタディーズ」の認識が間違ってるんじゃないの? って思うけれど、それ以外は面白く読めました。坪内学の好きな人は必読ですね。ただ、ここに挙げられている本は、ぶっちゃけ古い。

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    2009年10月04日