坪内祐三のレビュー一覧
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昭和は長い。そうだ、明治と大正を足したより長いもんな。
坪内さんが語る主に精神史から見た昭和の世代論。
世代論と言えば、西暦でも元号でもおよそ10年おきに括って論じるが特定の年代にとっては一年の差が大きく影響している年がある。
旧制中学から新生への移行時期に何年生だったか、日本共産党が180度の方針転向をした六全協の時に何年生だったか。70年学生紛争において東大が入試を中止した年に受験生だったかどうか等々。
各世代にとって重要な事件を通して昭和という時代を描こうというもの。
雑誌連載であったために構成がちょっと緩めで話題が脱線したりするのでたまに混乱することもあった。
坪内さんが拘る1960 -
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新書(版の本)を読むことへの強い思い入れを感じた。紹介されている本、それぞれの時代背景と、その年代に影響を受けた事柄などが表現されている。著者は私より先輩であるが、本文を読むと、記憶が重なる部分があるようだ。私は読書家ではないので多読には至らず、文庫本が主流。出版社の企画にそのまま乗ってしまった、といまになって思う。当時新書のイメージとしてはむずかしい学問を分かりやすく紹介する、逆に専門学への導入と言うイメージがあった。自分が専門としている分野でも過去の経緯からの研究過程が示されていたり、自分の知らない事を補うためには、好適であったと思う。
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ニートな若者たちに告ぐ、というタイトルのコラム中の文章
「各メディアでのニートという言葉の取り上げ方の多さ。そこに私はうさんくさいものを感じるのである。本末転倒な気がするのである。何か未知なものを調べていって、その結果得られた言葉(概念)ではなく、とりあえず先にキャッチーな言葉を作って流通させてしまえば、実体はそのあとでうめられてくるだろう、という安易な感じがするのだ。」
流行り言葉に作為を感じることは自分も多々あるので、この部分はうなずきながら読んだ。
他は2004年から2008年の間に起こったことについて考察している部分が多いです。当時のことを懐かしみながら気軽に読める世相コラムといった感 -
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【ノート】
・引き続き読書ガイドだが、実はこういう「必読書◯◯選」みたいなものが昔から好きだ。中学の頃、OUTというサブカル雑誌に高千穂遙というSF作家が書いていたSFガイドが自分にとってのSF読みの始まりだった。そこで取り上げられていた本を読み進め、また、「初心者を卒業したらハヤカワ海外SFノベルズ」という一文が、高価なハードカーバー本に対する強烈な憧れをインプリントしたものだった。これは今でも拭い去ることができなくて、ハヤカワSFは文庫よりハードカバーこそが「通の証」という思い込みから逃れることができない。
・「新書365冊」に比べると本書は出版時期が2003年ということで3年早い。本書 -
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ネタバレ随筆を通して、正宗白鳥の好きなもの、嫌いなもの、価値観、思考、そんなものを追える。だいたいニヒル、時々ぐっさり、結構流されやすいというのか、ごりごり頑固ではない印象。やっぱり変わり者とは確信する。
自分の作品や生き方に自信や誇りはなく、でもそれを卑下しながらもすーっと書いてるから、驚きながらも読みやすい。
特に、白鳥の目に映る文壇事情、懐関係や出版業の変遷などは知らない世界を覗けるという意味で興味深い。
現代では、出版業の意味に『文学を育てる』というところを意識しにくいが、本来は出版社の利益追求(存続のために勿論必要だが)の他に文学の育成や保護という機能や理念があるんだろうなと認識でき -
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[ 内容 ]
一人の青年の燃える向学心に数々の新書がいかに応えてくれたことか―。
富士正晴『中国の隠者』、児島襄『東京裁判』、金関寿夫『アメリカは語る』、山口昌男『文化人類学への招待』、名取洋之助『写真の読みかた』などなど、この知の宝庫に分け入り、次々と読破した若き日々…。
好きな本・凄い本・お得本から秘蔵の本まで、百冊の思い出を熱く描く。
本好きから心を込めて本好きへ贈る読書自伝。
[ 目次 ]
第1章 自らの意志で新書本を読みはじめた頃
第2章 新書がどんどん好きになっていった予備校時代
第3章 新書で読んだ読書ガイドと読書法と書斎の話
第4章 講談社現代新書のアメリカ文化物は充実してい