海老沢泰久のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日本にフランス料理を啓蒙した辻静雄さんの半生を通して、料理への努力の徹底ぶりはもちろんですが、商売の本質が描かれてる気がします。
なんとなく料理学校といえば辻、くらいのイメージしかありませんでしたが、それまでの自分の理解が申し訳なくなるほど、まさに命を賭けて、本当に美味しい料理と、それを産み出す料理人の育成にこだわり続けられた、凄い先駆者でした…。
非常に緻密で具体的な食材とその料理の描写を読むと、自然と脳内でイメージしながら食べてしまいます。作者の取材力と表現力が見事です。
為す方本人の努力は当然ですが、本当に一生懸命で夢中になる人には必ず協力者が現れるからこそ成功するという理も見えてきます -
Posted by ブクログ
面白くて一気に読んだ。読みながら声を上げて笑い、かと思えば何度も涙してしまった。登場人物の中で、マダム・ポワンはもちろんのこと、既に成功している人達や、周りで支えてくれる人達の愛が温かい。それは主人公の辻静雄が持つ幸運からのみではなく、彼が本気で挑戦し、行動する姿を見て、皆が手助けしたくなったのだと思う。本書はあくまでも小説であり、すべてが事実ではないことは承知している。だが、このように素晴らしい人々に助けられ、失敗や成功を繰り返しながら成長してゆく人間の話は、いつも私をワクワクさせてくれる。また、解説の向井氏が述べているように、料理の叙述がシンプルかつ具体的であるところが好ましい。味覚に関す
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Posted by ブクログ
内容紹介
彼以前は西洋料理だった。彼がほんもののフランス料理をもたらした。その男、辻静雄の半生を描く伝記小説。早稲田大学を卒業後、大阪読売新聞社に入社するものの、2年で退職。1960年、大阪・阿倍野に辻調理師専門学校を開校する。フランス料理をみずからの舌をもって味わうために、九週間のフランス旅行で実に百軒のレストランに足を運んだ。日本一の調理師専門学校の経営者になると同時に世界的な料理研究家となった。日本で初めての専門的なフランス料理研究書である『フランス料理理論と実際』をはじめ著書多数。またフランス人以外では初めて「フランス国家最優秀職人章」を授与された。TBS系列番組「料理天国」の番組監 -
Posted by ブクログ
日本にホントのフランス料理を 広めたオトコの物語。
なんでも 最初に行うということは、大変なことである。
食べるという行為が
文化まで高めることが 本当にできるのか。
「結局 人間にできることは、
自分にやってきたことに
満足することなのだ」
辻静雄の優れている点は
1 歴史的に物事を追求しようとしていること
なぜか?
2 具体的で 実践的であること。
わかるまで、こだわる。
3 味覚へのあくなき追求。
手間を惜しまない。
常に追求する。
4 本物を追求すること。
本物にあうこと。
「すばらしい人たち」に
あうことと その人たちから学ぶこと。
おなかがすいたから食