海老沢泰久のレビュー一覧
-
購入済み
私の中では、久々のヒット作。次も読みたいと思って、探すも、無く、そうしたら、驚く事に、作者が、亡くなっていた。まだまだ、お若い歳で!物凄く残念。もっともっと読みたかった。
-
Posted by ブクログ
この本にもっと早く出会っていたかった!と思いつつ、出会えたことに感謝。初めは1990年代の話し言葉感じなど、少々の読みにくさを感じたけど、70ページを超えたあたりから、ページをめくるのが楽しくなった。
もともとは新聞記者だったが、あることをきっかけに本物のフランス料理を生徒に教えることで日本のフランス料理のレベルを上げること、この大義に人生をかけ、大成功した人物、辻静雄のはじまりから丁寧に描かれている。
読む中で、いいと思うフレーズは数多くあったが、特に、辻さんが困難に直面する度に垣間見える、男気ある信念や懐の広さ、決断にに心うごかされることも多かった。
※登場人物、フランス料理名、食に -
購入済み
「本田」から世界のHONDAへ
F 1と云う世界一のモータースポーツに魅せられた本田宗一郎氏と彼の部下達が、文字通り「徒手空拳」で挑み、長い苦悶の末に栄光を掴むまでの道程を、著者ならではの視線で描き出した、日本工業界の中でも燦然と輝くサクセスストーリーです。
読んでいて、何度と無く鳥肌が立ち、一緒に喜びを分かち合った様な気持ちにさえ成りました。
経営的にかなりギリギリのラインでやりくりしていた当時の実態等は、佐藤正明氏の『ホンダ神話』の方が詳しいですが、こちらの方がテーマをF 1に絞っているお陰で、読んでいて自然と涙が出てくる様な感動に溢れています。
刊行後、相当の月日が流れ、当時のF1と現在とはすっかり様相も -
Posted by ブクログ
59歳の若さで亡くなつた海老沢泰久氏。今年は生誕70年といふことです。この人の文章はいいんですよ。
何を選んでも良いが、広岡達朗や堀内恒夫などは既に取り上げてゐるので、これまた傑作の誉れ高い『美味礼讃』の登場であります。
『美味礼讃』といへば、ブリア・サヴァランの書物を思ひ浮かべますが、本書は「辻調理師専門学校」の創始者である辻静雄の評伝小説であります。わたくしも彼の著書を昔いくつか読んだことがありますが、まあフランスとフランス料理に詳しいをぢさん、くらゐの認識でありました。
しかし辻静雄がかうなるまでには、かなりの偶然といふか、運命のいたづらに左右されてゐるやうです。大学の仏文科を出たは -
Posted by ブクログ
美味礼賛はこのところ読んだ中で図抜けて面白い小説。というか、小説仕立てのノンフィクションのような作品。日本にフランス料理店(しかも美味しい店)がこれだけたくさんある理由が書いてある本です。なぜフランス料理が多いのか?と疑問に思っている人は面白く読めると思うし、単に料理好きな人が読んでも楽しめると思う。ちなみに辻静雄さんの事が書いてある本。辻さんと聞いてピンと来る人、正解です。辻調理師専門学校を作った人の話ですね。
この本を読む際の要注意点としては、この本は割と分厚いし、第一章は多少冗長な所。ただ、第二章からは読む手が止まらないくらいに面白い。夜中に読むと猛烈におなかが空いてくるくらいに、料理の -
Posted by ブクログ
この後の人生で3冊しか、本をもてないとしたら、この本をそのうちの1冊に選ぶ。
なんたって、頁のそこここに、うっとりするようなお料理が出てくる。それだけでも必読もの。
そして素晴らしい人々との出会い。
マダムポワンの言葉、「フェルナンはね、生きているとき、いつもこういっていたの。料理をつくる人間のつとめは、お客さんにつねにささやかなうれしい驚きをさしあげることだって。」
自分の立ち位置に驕らずより高みを目指す言葉。
特にもうひとつ好きな場面は、友達をディナーに招待して、至高の料理に、こんなものに意味はない、と罵られる場面。この後の対応がかっこいい。 どうもしないさ、と。でも静かに高みを目指すんだ -
Posted by ブクログ
ネタバレ一日で読破してしまった。おかげでまだ目が痛い。
「彼以前は西洋料理だった」というフレーズに衝撃を受けた。読み進めてますます驚愕した。今や日本でもミシュランがガイドを発行し、世界一星の数が多い時代。でもそれは戦後自然にそうなったのではなく、こんな血の滲む努力があったのか。
辻静雄氏は美食を食べ歩き、そのノウハウを還元し続けたが、代償として肝臓を病み60の若さで他界してしまった。文字通り命を削った大仕事。
偉業をなすには現状に満足できない探究心とある意味業の深さを併せ持ち、良き理解者と恵まれた環境、そして反骨精神を育む逆境の全てが必要だということがよく分かる。もちろん本人が正しい道を歩んでいる -
Posted by ブクログ
この書籍を読んで、感じたことは
「幸福であるかどうかはそれを感じる人次第」
ということである。
本著の主人公である辻静雄は社会的な面や経済的な面では、明らかに成功者である。
その一方で、
「何のために本当のフランス料理を日本に広めているのか」という疑問に悩んだり、「食べる」ことを生業としてきたが故の病にも罹ってしまう。
他人からは一生懸命努力し、成功を収めたように見えても、その心中は物語の後半、必ずしも絶頂の最中で幸せを噛み締めていたわけではないということが、強く描かれていた。
「人生には山あり谷あり」
こんな言葉にしてしまうと、非常に軽く聞こえるかもしれないが、そんな人生における真理を実在す -
Posted by ブクログ
面白いという噂は聞いていたのですが、なかなか手が出なかった作品です。何となく、料理に関する哲学的な薀蓄がダラダラと述べられているようなイメージを持ってしまって。
でも、読み始めると止まらない面白さでした。
伝記小説です。
つまり物語性よりもノンフィクション的な記録性を重視した小説です。タイプとすれば吉村昭に近い。この手の話はどちらかと言えば私は苦手なのですが、何せ素材になっている主人公の辻さんが面白い。
料理学校の娘と結婚したことからこの世界に入り、辻調理師専門学校を開設したものの、本物のフランス料理を知りたくて、フランスで苦行とも言える食べ歩きを行う。その中で、美食家や料理人などの多くの知