海老沢泰久のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ美味しい料理が食べたくなる本。
ありとあらゆるフランス料理が出てきて、わくわくした。400gのバターを使う料理気になるけど、ひと口で大満足しそう。
こうした開拓者がいたからこそ日本のフレンチが発展して今や何軒も星付きレストランが生まれるようになったと思うと感慨深い。またカンテサンス行きたいなとか本場のフレンチ食べてみたいなとか考えてた。
ちなみにあとがき見るまでずっとノンフィクションだと思って読んでた。
やたら鮮明だなとかこんな嫌なやつ大丈夫か!?とか思ってたけど小説でよかった、、笑
個人的には今アメリカにいるのでフレンチ用の食材が日本より手に入りやすい気がする。何か作ってみようかなとやる気が出た。 -
購入済み
私の中では、久々のヒット作。次も読みたいと思って、探すも、無く、そうしたら、驚く事に、作者が、亡くなっていた。まだまだ、お若い歳で!物凄く残念。もっともっと読みたかった。
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Posted by ブクログ
この本にもっと早く出会っていたかった!と思いつつ、出会えたことに感謝。初めは1990年代の話し言葉感じなど、少々の読みにくさを感じたけど、70ページを超えたあたりから、ページをめくるのが楽しくなった。
もともとは新聞記者だったが、あることをきっかけに本物のフランス料理を生徒に教えることで日本のフランス料理のレベルを上げること、この大義に人生をかけ、大成功した人物、辻静雄のはじまりから丁寧に描かれている。
読む中で、いいと思うフレーズは数多くあったが、特に、辻さんが困難に直面する度に垣間見える、男気ある信念や懐の広さ、決断にに心うごかされることも多かった。
※登場人物、フランス料理名、食に関する書名がよく出てくるのでメモをしながら読み進めると、スムーズに読み進められると思う。(前半、メモせずさかのぼるのに時間がかかった) -
購入済み
「本田」から世界のHONDAへ
F 1と云う世界一のモータースポーツに魅せられた本田宗一郎氏と彼の部下達が、文字通り「徒手空拳」で挑み、長い苦悶の末に栄光を掴むまでの道程を、著者ならではの視線で描き出した、日本工業界の中でも燦然と輝くサクセスストーリーです。
読んでいて、何度と無く鳥肌が立ち、一緒に喜びを分かち合った様な気持ちにさえ成りました。
経営的にかなりギリギリのラインでやりくりしていた当時の実態等は、佐藤正明氏の『ホンダ神話』の方が詳しいですが、こちらの方がテーマをF 1に絞っているお陰で、読んでいて自然と涙が出てくる様な感動に溢れています。
刊行後、相当の月日が流れ、当時のF1と現在とはすっかり様相も変わってしまいました。
それでも、ホンダの「挑み続ける精神」が未だに続いていることには変わり有りません。
この世界についてあまり詳しくない方でも、「熱い開発者魂」を感じられるには最適の一冊です。 -
Posted by ブクログ
59歳の若さで亡くなつた海老沢泰久氏。今年は生誕70年といふことです。この人の文章はいいんですよ。
何を選んでも良いが、広岡達朗や堀内恒夫などは既に取り上げてゐるので、これまた傑作の誉れ高い『美味礼讃』の登場であります。
『美味礼讃』といへば、ブリア・サヴァランの書物を思ひ浮かべますが、本書は「辻調理師専門学校」の創始者である辻静雄の評伝小説であります。わたくしも彼の著書を昔いくつか読んだことがありますが、まあフランスとフランス料理に詳しいをぢさん、くらゐの認識でありました。
しかし辻静雄がかうなるまでには、かなりの偶然といふか、運命のいたづらに左右されてゐるやうです。大学の仏文科を出たは良いが(仏文科なんてツブシのきかぬ学科をわざわざ.....)、就職試験に悉く落ちて、最終的に大阪読売が拾つてくれたとのこと。大阪読売は当時、東京から進出したばかりで、人材が不足していた事情があり、何とか引つ掛かつたのでした。
ある日、交換留学で来日してゐたアメリカの女子高生を、天王寺割烹学校へ連れてゆく仕事がありました。それが縁でその学校の校長・辻徳一の娘と知り合ひ、後に結婚する事になります。即ち、辻静雄はフランス料理の専門家でも何でもなかつたのであります。結婚後、彼は辻徳一の後継者となるべく、大阪読売の記者を辞めるのでした。
辻静雄は調理師学校に将来ありと睨み、辻徳一の協力を得て「辻調理師学校」を開校します。同時に、生涯の右腕となる山岡亨を事務長として迎へます。この人物がまた中中のもので、彼なくしてはその後の辻静雄の成功はなかつたかも知れません。
当時の料理界といふのは、後輩に料理を教へる習慣がなかつた。どつかれながら先輩の技を盗むものだつたさうです。学校で体系的に教へるなんて考へられなかつたと。それは料理人本人の自信の無さが原因なのでせう。
更に問題は、フランス料理の学校を作つても、教へる人がゐなかつた。当時はフランスまで勉強に行つたシェフでも、ろくな知識がなく好い加減な料理をフランス料理でございと披露してゐたのでした。
それなら、辻静雄本人が渡仏して、本物を勉強するしかない。義父・辻徳一の金銭的援助の元、夫婦でフランス料理行脚を始めます。フランスでは様々な知己を得て、その後のビジネスに大いに役立つことになります。
同業のやつかみからくる種々の妨害や、目をかけてゐた料理人の裏切りなど、逆境もありました。しかし辻静雄はそのたびにそれらを跳ね除けて、料理の総合カレッジを完成させてしまふのです。もはや追随できる勢力はなくなりました。
それでもこの人は、自分が成功者とは思へないのでした.....
一読して、なぜ海老沢泰久が辻静雄といふ人物に興味を持ち、評伝を執筆しやうとしたのかがわかる気がいたします。しかし海老沢泰久さんは押しつけがましい文章を書きません。一見事実をそのまま、のほほんと書いてゐるやうで、実は高度な文章作法が駆使されてゐます。
気取つた、分かりにくい癖に内容の薄い文章を好む人にとつては物足りない文章かと思ひますが、実は達意の文章とはかういふものを呼ぶのだらうとボクは思ふのです。 -
Posted by ブクログ
美味礼賛はこのところ読んだ中で図抜けて面白い小説。というか、小説仕立てのノンフィクションのような作品。日本にフランス料理店(しかも美味しい店)がこれだけたくさんある理由が書いてある本です。なぜフランス料理が多いのか?と疑問に思っている人は面白く読めると思うし、単に料理好きな人が読んでも楽しめると思う。ちなみに辻静雄さんの事が書いてある本。辻さんと聞いてピンと来る人、正解です。辻調理師専門学校を作った人の話ですね。
この本を読む際の要注意点としては、この本は割と分厚いし、第一章は多少冗長な所。ただ、第二章からは読む手が止まらないくらいに面白い。夜中に読むと猛烈におなかが空いてくるくらいに、料理の描写が見事。あと、きら星のごとく出てくるスター料理人達に頭が軽くクラクラしてきます。ともあれ、単にフランス料理が好きな人にも諸手を挙げてお勧めします。 -
Posted by ブクログ
この後の人生で3冊しか、本をもてないとしたら、この本をそのうちの1冊に選ぶ。
なんたって、頁のそこここに、うっとりするようなお料理が出てくる。それだけでも必読もの。
そして素晴らしい人々との出会い。
マダムポワンの言葉、「フェルナンはね、生きているとき、いつもこういっていたの。料理をつくる人間のつとめは、お客さんにつねにささやかなうれしい驚きをさしあげることだって。」
自分の立ち位置に驕らずより高みを目指す言葉。
特にもうひとつ好きな場面は、友達をディナーに招待して、至高の料理に、こんなものに意味はない、と罵られる場面。この後の対応がかっこいい。 どうもしないさ、と。でも静かに高みを目指すんだな。
あげたらキリがなく好きなエピソードばかりです。好きなものに出会って、リスクを背負いながらも精一杯力を尽くす、こんな人生、羨ましいなぁ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一日で読破してしまった。おかげでまだ目が痛い。
「彼以前は西洋料理だった」というフレーズに衝撃を受けた。読み進めてますます驚愕した。今や日本でもミシュランがガイドを発行し、世界一星の数が多い時代。でもそれは戦後自然にそうなったのではなく、こんな血の滲む努力があったのか。
辻静雄氏は美食を食べ歩き、そのノウハウを還元し続けたが、代償として肝臓を病み60の若さで他界してしまった。文字通り命を削った大仕事。
偉業をなすには現状に満足できない探究心とある意味業の深さを併せ持ち、良き理解者と恵まれた環境、そして反骨精神を育む逆境の全てが必要だということがよく分かる。もちろん本人が正しい道を歩んでいるか否かは誰にもその瞬間には分からないわけだし、そうした不安と逡巡に押しつぶされないだけの強靭な胆力も。
ただ、調理法の全てを公開するというのは勇気がいるし難しい議論も含むところだと思う。確かにそれ無くして今の日本の食文化の隆盛はなかったわけだが、ノウハウを秘匿するのが悪だとされると、どうせ真似されるくらいならと誰も苦労して未知の味を探求しなくなるかも…。
もっとも料理にかぎらず技術や芸術などにも言えることだけど。知的財産って難しい。
ついでに、この時代の官僚というのは本当にクズの寄せ集めだったんだな、と改めて認識させられた次第。これだけ傲慢に振る舞っておいて、肝心の国づくりでも失敗して後世に負の遺産を残すとか、無様としか言いようが無い。今70代以降の高級官僚経験者はほぼ例外なく老害と言って間違いあるまい…。 -
Posted by ブクログ
この書籍を読んで、感じたことは
「幸福であるかどうかはそれを感じる人次第」
ということである。
本著の主人公である辻静雄は社会的な面や経済的な面では、明らかに成功者である。
その一方で、
「何のために本当のフランス料理を日本に広めているのか」という疑問に悩んだり、「食べる」ことを生業としてきたが故の病にも罹ってしまう。
他人からは一生懸命努力し、成功を収めたように見えても、その心中は物語の後半、必ずしも絶頂の最中で幸せを噛み締めていたわけではないということが、強く描かれていた。
「人生には山あり谷あり」
こんな言葉にしてしまうと、非常に軽く聞こえるかもしれないが、そんな人生における真理を実在する人物や団体を使って、リアルに描いていた良著だと思う。