近藤康太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
読みようによっては重い一冊
新聞社の記者である著者が、赴任に伴い耕作放棄地で米作りをきっかけに害獣駆除の為に猟師になり、命への考察に至る
都会に住む人間はスーパーに行けば、命があったとは思わずに買える肉
美味しいと思いながら食べる肉片にもかつてはあった命
人の生活に害を与えるから害獣と呼ばれる命にも自らの生を守る権利があり、田畑を荒らすからと命を取られる
ジビエとして人に食べられるのならまだ本望かもせれないが、自治体から出る金銭目当ての賞金稼ぎの猟師はいかがなものか
人は他の命を取り入れる事で自分の命を繋いでいることを認識すべきではあるが、認識しづらい資本主義の中に自分が立たされていることを再度考えなくてはならないと感じた -
Posted by ブクログ
タイトルがカジュアルで、挿絵もある(しかも伊藤ハムスター)ので、新聞の不定期連載をまとめた軽いエッセイかと思ったが、そうではなく、狩猟から日本文化や歴史から経済システム、贈与・交換といった文化人類学的な話まで発展する読み応えのある本だった。
人の懐に入って話を聞き出す記者の特性が、農業や狩猟にも生きているように感じた。思想信条で切り捨てず、どんな人ともとことん話をして(というよりはとことん話を聞いて)人間性を見出していくことが好きだから、田舎の絡み合った人間関係にあとから入った余所者なのにやっていけるのだと思う。田舎で育ってもそれが苦手で都会に出ていく人はいっぱいいるが、こういう人はどこに行ってもやっていける。そのたくましさはすごいと思った。
農業と狩猟によって貨幣経済から半分降りるというところは魅力的だが、それに伴う苦労に大抵の人は躊躇するだろう。なかなか面白がれるものではない。しかし、ライターであれば、それもまたネタになる。
また、自然とガチでつきあうことで感受性を磨くこともできる。「世界は、見ようとする者にしか、見えない。」(P53)
P58あたりに書いてある農業が格差や差別を生み出したというはなしは、稲垣栄洋の本にも書いてあったし他の人も書いているに違いないが、やったからこその実感なのだろう。
狩猟は殺戮に快楽があるのではなく、その後の共同作業、共食、仲間との語らいなどによる精神的満足に快楽があるというところも説得力があった。