細谷亮太のレビュー一覧
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暮らしの手帖に連載された、小児がんを専門とする小児科医のエッセイ。文頭は「昭和を懐かしんで今の時代を憂う、年配の著者にありがちな子育ての本かと思ったら、日々、子どもたちの命をつなぐために格闘する小児科医としての思いが伝わり、胸が熱くなる。命がけの治療を受けて入院している幼い子の作文は何度読んでも涙が出る。「2時50分になるとエレベーターのまえでおかあさんをまちます。わたしは3時が一ばんすきでした。楽しみでした。6時が一ばんきらいでした。おかあさんがかえるからです。」現代の暮らしで忘れられてしまった子どもの思いや家族との関係をあらためて考えさせられる。
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ネタバレ細谷先生は、今は現役を退かれているが、長年小児科医療に携わってこられた。
それも、小児ガンや白血病という命に関わる病気の子ども達と向き合ってこられた。
この世に生を受けて、2年や5年でその命を閉じなければならなかった子ども達、どんなに手を尽くしても救えなかった命、そんな子ども達や家族と日々接してこられた中で、人を思いやる、身内でも他人でも、そんな当たり前のことをひしひしと感じたり、この世に産まれてきたと言うこと、その奇跡のようなことをもっと大事にしなければいけない、せっかくいただいた命を途中で切ったりしてはいけない、自分でも他人でも、それは理屈ではない、誰がなんと言おうとそういうものなのだ。も -
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ネタバレ【本の内容】
小児がんの子どもたちと向き合って40年。
聖路加国際病院小児科部長の著者は、朝暗いうちに車を走らせ病院へ。
会議、診察、外来、患者家族とのミーティング、「がんの子供を守る会」他、様々な仕事が目白押し。
でも、そんな超多忙の合間を縫って、俳句、スキー、お遍路の旅を愉しむことも―。
初心を忘れず、かつ気負わず、医師として見事に生きる日々の記録、いのちをめぐる日記。
[ 目次 ]
文化の日
凭られても
聖樹据ゑて
ふるさとの
ひとつの雲
子らが描く
ずり落ちさうに
もとどほり
どつさり浅蜊
生キ死ニのはなし
飯饐える
二百十日
芋煮の火
桂郎忌
[ POP ]
小児がんの専 -
Posted by ブクログ
人生における教訓がいっぱい詰まっている。
幼くして亡くなっていく者たちを見続けた著者だからこそ語れる生きるという意味が、心に響いた。たとえ短い命だろうが、どうやって生き、何を残したかということが重要なのだというのはもっともだ。
豊かな時代に生き、ややもすると拝金主義になりがちであるが、人間としての根源をもう一度考えて暮さなければならないと感じた。「足るを知る」「感謝」・・・、日々の暮らしではついつい置き去りにしてしまうが、強く意識していこう。そして、我々よりもっともっと(物質的には)豊かな時代を生きる娘へきっちり教えていける大人になろうと思う。