上野誠のレビュー一覧
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最近、日本的なものの源流として、和歌や俳句などを少しづつ読んでいる。そういう源流のもっとも源流といえる万葉集もすこしづつ学んでいるところ。
が、この「日本的」なるものが、実は、そんなに簡単な話しではない。万葉集はのちの技巧をこらした和歌にくらべて、素朴な直情的なもので、ここに日本の魂の源があるのだ、というような読みはもはや成立しないのだ。
つまり、万葉集は、古代の中国の詩歌に影響されたもので、その影響をなんとか言語化しようという先人の努力なのだ。
つまり、外来のものをなんとか日本のものにしようとする悪戦苦闘の歴史である、という意味において、とても日本的なもの。
ということが、かなりわか -
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今月の11日の読売新聞で著者の最新刊「万葉学者 墓をしまい母を送る」が紹介されインタビューも掲載されていました。著者の世代とかキャリアとか抱えている問題とか、共感出来るのではないか、と思い「読みたいリスト」に入れました。その前に彼の万葉学者としての仕事に触れると、もっといい読書になるのではないかと、先に手にしたのが本書です。正直、万葉集のことわかってないというビビりもありましたが、全然そんなこと関係なく楽しめました。日本的感性の起点みたいな文学としての価値を論ずる、というより著者が選んだ92首の歌の気分を令和の今に蘇らせてくれる試みです。歌と訳と写真と解説と章立てがとてもフレンドリーで、まるで
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宴という側面から万葉を読み解く、という試み。「今日、私たちは、政治と芸術というものを、別々のものとして理解している。しかし、それは、現代を生きるわれわれのものの考え方でしかない。(中略)ともに酒を飲み、あい歌い、和することこそ、政治の原点ではないのか?」
政治の原点であるからこそ、宴で他の人々がどんな歌を詠んだか席次はどうだったかを記録して子孫に(教養やマニュアルとして)残した。それが芸術を後世に伝えることになった。
政治的側面は切り離せないけれども、歌は歌としておもしろく、作者がよく随所でおっしゃっている「万葉集とは8世紀の声の缶詰」というのがよくわかる。
古今和歌集にある、天地を動かし、鬼 -
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万葉集の研究者である筆者が、表題について論じた本。
西行の歌にもあるように、「何の神様かわからないけどありがたいなぁ」と思える。思想化されていないのが日本人の宗教観らしい。豊かな自然のなかで、心身で感じるものを大切にして生きるのが、古代的な日本人の在り方なのかも。
社を再建しようとしていた場所に木が生えてきて切るに忍びなく、それを祀ることにしたとある神社の話が好き。
ほどなく上野さんがNHK『こころの時代』で、「万葉集を聖典として読む」というテーマでお話されてるのを見ました。聖典とはそこに出てくる人の生き方を見習いたいと思うもの、という言葉に目から鱗。 -
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さいきん、近代以前の日本と外国との関係に対する興味がふくらみ、関連する本を読んでいます。
この本は、西暦700年頃に生まれた阿倍仲麻呂の生涯を、万葉集の研究者が検証した一冊。
中級貴族の家に生まれ、その学識により遣唐使に選ばれた仲麻呂。
717年頃、唐に渡った仲麻呂は、その目的である学問をさらに重ね、科挙に及第したと言われています。
唐の宮廷社会の中で人脈を作り、出世していく仲麻呂。
皇帝の信頼も得た彼が、長い在唐期間を経て選択したのが「日本に帰る」ということ。
しかしその彼に待ち受けていた運命は・・・。
当時の「先進国」である唐に入り、李白、杜甫、王維といった一流の知識人たちと交流し仲間とな -
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万葉集なんて真面目に読んだのは(読まされたのは)高校の授業の頃であったか。
「万葉集に集められた歌は、当時の人の生活様式、文化的背景、ものの考えを知る唯一の歴史資料である」
なるほど。こんな読み方は教わらなかったし、知っていたらもう少し古典の授業が楽しかったかもしれない。
上野さんは、一つ一つの歌の歴史的背景、当時の文化から一首の内に秘められた人々のドラマを紡ぎだす。学問的に正しいかではなく、思うままに想像の翼を広げた解説(エッセイ)は、圧倒的に面白い。時にあやうい男女の関係まで、万葉の世界がいきいきと広がる。
白たへの 君が下紐 我さへに
今日結びてな 逢はむ日のため
恋中の -
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[ 内容 ]
香具山、畝傍山、耳成山からなる大和三山。
奈良県橿原市に位置し、いにしえより心の原郷として日本人に愛されてきたこの山々には、人々のどんな思いが込められているのだろうか。
特定の場所に、神話・伝説・物語・歌は堆積する。
本書は、それらをとおして、この地に重層した歴史の記憶やイメージを鮮やかに読み解いてゆく。
清新な切り口で挑む国文学の冒険―そして、古代は新たな姿を我々の前に現す。
[ 目次 ]
プロローグ
第1章 壷の中の銅銭と水晶
第2章 三山鎮護の思想
第3章 中大兄の三山の歌
第4章 香具山西麓の森と泉の物語
第5章 香具山と時間の発見
エピローグ
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