上野誠のレビュー一覧

  • 「令和」の心がわかる万葉集のことば

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    借りたもの。
    年号が変わり「令和」の出典元として再注目された万葉集に見る美しい日本語集。
    そこから言葉の深み、伝統にひたる楽しみに触れる。

    著者の‘八世紀の声の缶詰’‘八世紀の言葉の文化財’(p.6)の言葉通り。

    宮廷文化を垣間見る。
    使われなくなった言葉にも優雅さがある。
    今も使われている言葉の語源になったもの(杜氏←刀自。年配の女性への敬称。自家用酒を作るのが「とじ」のしごとであったため。)について、「かたみ」など今も使われる言葉でも、もっと広義であったものも(今は遺品の意味合いが強いが、離別、生き別れなども含まれていた)。
    また、ことば比べで微妙なニュアンスの違いを楽しんだり……

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    2021年10月31日
  • 教会と千歳飴 ~日本文化、知恵の創造力~

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    筆者のご家族の思い出などの身近なことから始まり、日本の文化の背景、日本人の精神性について考察した本。日本人の宗教観には、アニムズム的なところが残っている、そのために受容性が大きいのだろうが、裏返しで言えば同調圧力が強く、命令でなくなあなあで物事が進みがちのだろうなどと考えさせてくれる一冊でした。

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    2021年09月22日
  • 万葉集講義 最古の歌集の素顔

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    最近、日本的なものの源流として、和歌や俳句などを少しづつ読んでいる。そういう源流のもっとも源流といえる万葉集もすこしづつ学んでいるところ。

    が、この「日本的」なるものが、実は、そんなに簡単な話しではない。万葉集はのちの技巧をこらした和歌にくらべて、素朴な直情的なもので、ここに日本の魂の源があるのだ、というような読みはもはや成立しないのだ。

    つまり、万葉集は、古代の中国の詩歌に影響されたもので、その影響をなんとか言語化しようという先人の努力なのだ。

    つまり、外来のものをなんとか日本のものにしようとする悪戦苦闘の歴史である、という意味において、とても日本的なもの。

    ということが、かなりわか

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    2021年06月15日
  • 万葉集講義 最古の歌集の素顔

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     これは万葉集の非常に素晴らしい入門書だ。
     編纂という行為には、多くの人の営為があった。そんな当たり前のことを、万葉集については忘れていたことに気付かされた。

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    2020年11月05日
  • 万葉手帳

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    今月の11日の読売新聞で著者の最新刊「万葉学者 墓をしまい母を送る」が紹介されインタビューも掲載されていました。著者の世代とかキャリアとか抱えている問題とか、共感出来るのではないか、と思い「読みたいリスト」に入れました。その前に彼の万葉学者としての仕事に触れると、もっといい読書になるのではないかと、先に手にしたのが本書です。正直、万葉集のことわかってないというビビりもありましたが、全然そんなこと関係なく楽しめました。日本的感性の起点みたいな文学としての価値を論ずる、というより著者が選んだ92首の歌の気分を令和の今に蘇らせてくれる試みです。歌と訳と写真と解説と章立てがとてもフレンドリーで、まるで

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    2020年05月20日
  • 遣唐使 阿倍仲麻呂の夢

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    1年間留学した身としては、まじですごい。言葉も文字も分からんし、周りに日本人がいないのに官僚まで上り詰めるなんて。えげつない。

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    2020年05月06日
  • 万葉集で親しむ大和ごころ

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    出張中の飛行機の中で一気に読んだ。
    マンガが好きな人は
     「マンガでわかる万葉集」上野誠監修(池田書店)
    もどうぞ。

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    2020年01月11日
  • 入門 万葉集

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    万葉集のエッセンスを堅苦しくない文体でまとめた本。
    薄く広く万葉集を楽しめます。
    恋の歌だけではなく、望郷の歌、四季の歌、国自慢の歌。
    万葉集は、天皇から名もない身分の人まで多様な歌が寄り集まっています。
    たくさんの人々が、些細なことでも和歌に詠み、歌うことがもっと自分の生活に根ざしていたことをより実感的に感じることができました。
    これに続く三代歌集の古今和歌集に比べて、歌がストレートに伝わるのが特徴的です。
    そして、その美しい独特のリズムは、音としてとても心地よく、言葉の響きだけでお気に入りの和歌が見つかるかもしれません。
    令和という元号についても触れられているので、令和の終わりまでが旬の本

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    2019年10月08日
  • 万葉集から古代を読みとく

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    万葉集の歌の解説ではなく、万葉集そのものから読み取れること、万葉集が後の時代、文学に対してどういう縁を「結び」繋いできたか、そんな背景や役割について掘り下げていたと思います。
    読めば、日本語の成り立ちや特色についても分かるし、万葉集を作り上げてきた人たちの想いも受け取れると思います。
    歌を残したいと思う意志があって、歌を残す技術を持つ人たちがそのために尽力した。
    二つの確固たる意志があったからこそ今の時代にもこうして残っている万葉集。
    ただ歌を楽しむだけでなく、万葉集が今の自分たちに繋がることに何を残してきたか、その辺りのことも掘り下げて考えてみるのも、万葉集を読む楽しみなのかもしれません。

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    2019年05月11日
  • 万葉びとの宴

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    宴という側面から万葉を読み解く、という試み。「今日、私たちは、政治と芸術というものを、別々のものとして理解している。しかし、それは、現代を生きるわれわれのものの考え方でしかない。(中略)ともに酒を飲み、あい歌い、和することこそ、政治の原点ではないのか?」
    政治の原点であるからこそ、宴で他の人々がどんな歌を詠んだか席次はどうだったかを記録して子孫に(教養やマニュアルとして)残した。それが芸術を後世に伝えることになった。
    政治的側面は切り離せないけれども、歌は歌としておもしろく、作者がよく随所でおっしゃっている「万葉集とは8世紀の声の缶詰」というのがよくわかる。
    古今和歌集にある、天地を動かし、鬼

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    2019年04月28日
  • 万葉集から古代を読みとく

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    「君の名は」を話の枕にして、万葉集の歌をきっかけに古代のありようを語っていく、おもしろく分かりやすい書。
    当時、歌は非常に力を持ってい(ると考えられてい)て、耕作人を集めるために有名歌人を呼んで宴をしたり、イベントの前に詠む歌の下書きをしておいたり。著者も引用している『古今和歌集』の「やまとうたは、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける(中略)力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ」の通りの世界である。そのような価値観の中、どのようにして万葉集が歌い継ぎ記し継がれていったのか。
     日本人型知識人とは「言語と文化の翻訳者」のことという解釈、日本的な知性は「組み合わせ」

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    2018年10月21日
  • 万葉集から古代を読みとく

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    ネタバレ

    万葉集を基にした古代論。
    ①歌とは人の心を一つにする
    ②歌集の成立要件は、作りてと受けてと流通が整っている必要がある
    ③法会の時に使用した木簡に歌が書かれているのは、みんなと歌を共有するためである
    ④日記文学が成立した背景

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    2018年05月20日
  • 万葉集から古代を読みとく

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    万葉集の解説というより、表題のように、万葉集から古代を読みとくという本ですね。

    これが、なかなかに面白いですね。

    いろいろ、へ〜と思ったことはあるのだが、大きなところでは、日本が中国文化圏の中にあって、中国から学びつつ、中国との比較の中で、日本文化の特質ということを意識し、洗練させて行った、ということかな。

    山上憶良は、官位の高くない地方役人で家庭を大切にする素朴な歌を歌う人、くらいにしか、思ってなかった。

    が、実は、山上憶良は、家柄はそれほど高くないのであまり出世しなかったかもだけど、遣唐史で、当時の最先端の知識人だったんですね〜。

    もちろん、家族思いのいい人で、「子供は可愛くて、

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    2018年05月08日
  • 万葉びとの宴

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    軽妙な語り口で面白かった。色んなタイプの宴会とそこで詠まれる歌のパターンの解説なのだが、筆者が楽しんで書いたんだなということが伝わってきて、読み手も楽しくなる。

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    2018年03月21日
  • 万葉集から古代を読みとく

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    いにしえの声の缶詰。
    万葉集は、古今和歌集と比べて歌のタッチが地声な感じがする。その理由の1つとして、詠われることが前提だったということが挙げられていてなるほど納得。
    伝えよう、遺そうとする者がいて、語り継ぐ者がいる。
    日本語というある意味やりたい放題な言葉自体も古代の人の悪戦苦闘の賜物なんだなぁ。
    ソトの事物を吸収してこそ咀嚼する力と知恵がうまれるというのも面白い。

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    2017年09月21日
  • 天平グレート・ジャーニー 遣唐使・平群広成の数奇な冒険

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    新書が面白かったので、こちらも読んでみる。
    もっと前からあると思ってたら、割と最近のものだったのか。
    日本史には疎いもんで。しかし史実を膨らませてあってか面白かったです。
    渤海国ってあまり知らなかったので気になりました。

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    2017年07月23日
  • 万葉集から古代を読みとく

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    万葉集て、日本生粋ってイメージだったけど、表記やら思想やら色々と取り込んでできたものだったんだなぁ、と。
    忘れてるけど、日本語自体どこから出来たんだ、って話だし。
    和歌に対しての見方が改まってよかったです。

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    2017年07月13日
  • 万葉集から古代を読みとく

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    語ればその瞬間から消えていく運命にある。消えていく運命にある言葉や気持ちを語り継ぎ、残していく営みの中で、万葉集は出来上がっている。それを現代の私たちが読むことで、1,300年前の人が富士山を見て感動したり、孫を亡くして悲しんだり、子供を慈しんだりといったことを一緒に感じることができる。
    そういう、ある意味では普遍的な営みをイメージするのにはとても良かったと思います。万葉集への興味が深まる一冊です。

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    2017年06月10日
  • 天平グレート・ジャーニー 遣唐使・平群広成の数奇な冒険

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    遣唐使の旅を「数奇な冒険」とはうまく表現したものだ。天平の甍のようなミゼラブルな苦労にフォーカスした物語ではない。旅先の出来事、転々とする航路、渤海vs新羅の狭間突破。どれもがエキサイティング。決して不謹慎とは思わない。

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    2017年01月15日
  • 天平グレート・ジャーニー 遣唐使・平群広成の数奇な冒険

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    語り口は散文調。と思ったら、著者は学者さんだった。小説としては物足りない気もしたけれど、とにかく、あまり知らないこの時代の雰囲気や外国の様子、外交問題を知ることができてそこが楽しい。なにより遣唐使の苦労が目に見えるようで、とても面白かった。
    また、今まで見たドラマなどと違って吉備真備や阿倍仲麻呂が悪役なのが意外と面白かった。
    半ばまで読んで初めて再読だと気づき、ショック。

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    2016年05月18日