上野誠のレビュー一覧
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万葉集の歌の解説ではなく、万葉集そのものから読み取れること、万葉集が後の時代、文学に対してどういう縁を「結び」繋いできたか、そんな背景や役割について掘り下げていたと思います。
読めば、日本語の成り立ちや特色についても分かるし、万葉集を作り上げてきた人たちの想いも受け取れると思います。
歌を残したいと...続きを読むPosted by ブクログ -
「君の名は」を話の枕にして、万葉集の歌をきっかけに古代のありようを語っていく、おもしろく分かりやすい書。
当時、歌は非常に力を持ってい(ると考えられてい)て、耕作人を集めるために有名歌人を呼んで宴をしたり、イベントの前に詠む歌の下書きをしておいたり。著者も引用している『古今和歌集』の「やまとうたは、...続きを読むPosted by ブクログ -
万葉集を基にした古代論。
①歌とは人の心を一つにする
②歌集の成立要件は、作りてと受けてと流通が整っている必要がある
③法会の時に使用した木簡に歌が書かれているのは、みんなと歌を共有するためである
④日記文学が成立した背景Posted by ブクログ -
万葉集の解説というより、表題のように、万葉集から古代を読みとくという本ですね。
これが、なかなかに面白いですね。
いろいろ、へ〜と思ったことはあるのだが、大きなところでは、日本が中国文化圏の中にあって、中国から学びつつ、中国との比較の中で、日本文化の特質ということを意識し、洗練させて行った、とい...続きを読むPosted by ブクログ -
いにしえの声の缶詰。
万葉集は、古今和歌集と比べて歌のタッチが地声な感じがする。その理由の1つとして、詠われることが前提だったということが挙げられていてなるほど納得。
伝えよう、遺そうとする者がいて、語り継ぐ者がいる。
日本語というある意味やりたい放題な言葉自体も古代の人の悪戦苦闘の賜物なんだなぁ。...続きを読むPosted by ブクログ -
新書が面白かったので、こちらも読んでみる。
もっと前からあると思ってたら、割と最近のものだったのか。
日本史には疎いもんで。しかし史実を膨らませてあってか面白かったです。
渤海国ってあまり知らなかったので気になりました。Posted by ブクログ -
万葉集て、日本生粋ってイメージだったけど、表記やら思想やら色々と取り込んでできたものだったんだなぁ、と。
忘れてるけど、日本語自体どこから出来たんだ、って話だし。
和歌に対しての見方が改まってよかったです。Posted by ブクログ -
語ればその瞬間から消えていく運命にある。消えていく運命にある言葉や気持ちを語り継ぎ、残していく営みの中で、万葉集は出来上がっている。それを現代の私たちが読むことで、1,300年前の人が富士山を見て感動したり、孫を亡くして悲しんだり、子供を慈しんだりといったことを一緒に感じることができる。
そういう、...続きを読むPosted by ブクログ -
遣唐使の旅を「数奇な冒険」とはうまく表現したものだ。天平の甍のようなミゼラブルな苦労にフォーカスした物語ではない。旅先の出来事、転々とする航路、渤海vs新羅の狭間突破。どれもがエキサイティング。決して不謹慎とは思わない。Posted by ブクログ
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語り口は散文調。と思ったら、著者は学者さんだった。小説としては物足りない気もしたけれど、とにかく、あまり知らないこの時代の雰囲気や外国の様子、外交問題を知ることができてそこが楽しい。なにより遣唐使の苦労が目に見えるようで、とても面白かった。
また、今まで見たドラマなどと違って吉備真備や阿倍仲麻呂が悪...続きを読むPosted by ブクログ -
「万葉集」に詠まれた和歌や「古事記」などの記述から、日本人の自然崇拝や万物に宿るとされた神々に対する宗教観を紐解く。古代から培われた我が国独特の情緒、そして天皇家が神を祀り、政を司る重要な存在として崇められてきたことに思いが及ぶ。Posted by ブクログ
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万葉集の研究者である筆者が、表題について論じた本。
西行の歌にもあるように、「何の神様かわからないけどありがたいなぁ」と思える。思想化されていないのが日本人の宗教観らしい。豊かな自然のなかで、心身で感じるものを大切にして生きるのが、古代的な日本人の在り方なのかも。
社を再建しようとしていた場所に木が...続きを読むPosted by ブクログ -
20150603~0613 日本神話の国つくりの出だしでイザナミが死んじゃうのは、ほっておくとどんどん国土がつくられちゃうからだって。そういえば納得ww「小さき神々」がたくさんいて、時・場所・シチュエーションによってどの神様が優位かが決まる(天皇が「神」にたとえられる時もあれば、他の神々に非礼を詫び...続きを読むPosted by ブクログ
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読み始めは堅苦しい歴史考証物かと思ったが、すぐに物語としての作品に引き込まれた。残っている資料をもとにエピソードを並べているのだろうが、どこからどこまでが事実かは重要ではない。奈良時代に唐まで渡ることの困難さ、そこに身を投じ荒波と他国に翻弄される者たちの思いに触れることがこの作品の作品としての価値。Posted by ブクログ
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さいきん、近代以前の日本と外国との関係に対する興味がふくらみ、関連する本を読んでいます。
この本は、西暦700年頃に生まれた阿倍仲麻呂の生涯を、万葉集の研究者が検証した一冊。
中級貴族の家に生まれ、その学識により遣唐使に選ばれた仲麻呂。
717年頃、唐に渡った仲麻呂は、その目的である学問をさらに重ね...続きを読むPosted by ブクログ