小松由佳のレビュー一覧
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第23回開高健ノンフィクション賞受賞作。「人間の土地へ」の続編というか完結編。
シリア難民はイギリスを目指す。ドーバー海峡を渡るのに、パスポートを持ってさえいれば90分35ポンドの安全な道のりのフェリーなのに、難民たちは1000ドル支払い自分達だけで対岸を目指して5時間のボートに乗る。ボートは高い確率で転覆するので、ドーバー海峡の露と消える人もいれば、ようやく着いても難民として認定されるのに1-2年かかる人もいる。子供だけでは家族を呼び寄せることは不可能なのにそれも知らない。
筆者はその後、夫家族の暮らしていたパルミラの夫の実家跡を訪ねる。日本の外務省からは心配の電話が入り、即時退去をお願 -
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ネタバレ第23回開高健ノンフィクション賞受賞作.。
ニュースではアサド政権による毒ガス兵器やロシアによる空爆、ISの残虐な支配など断片的にしか伝わってこないシリアの現状。著者は、写真家として2008年にシリアを訪れ、その後総勢70人の大家族の一員である十二男ラドワンと結婚、その後のアサド政権の弾圧による、自身の家族やシリアの人々の苦難を通じてシリアの状況を描いている。
「沙漠の薔薇」と謳われたオアシスの街パルミラで幸せに暮らしていた一家は「アラブの春」後のアサド政権による弾圧と内戦により、六男は秘密警察に逮捕され行方不明、一家も難民としてトルコに避難を余儀なくされる。
著者は2022年9月、「親族訪問 -
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とても登頂の難しいK2から帰還したあと、ヒマラヤのシスパーレ登頂を中断してから、作者は写真家として人々の生活を撮るようになった。シリアのオアシス、パルミラには度々足を運び、未来の夫となるラドワンと知りあう。
アブドゥルラティーフ一家は父と母と16人の子供たちとその子供たちによって構成され、家を建て増し、隣にも家を作って、日々ラクダを放牧したり、乳を絞ったり、料理し洗濯し掃除し、さまざまな日常の会話や噂話などをして平和に過ごしている。しかしそこに内戦が起こる。
シリアはオスマン帝国から第一次大戦後にフランス領になった。一応独立したものの、クーデターや軍事政権などの時代を経て、ろくな民主主義を -
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23歳で日本人女性初のk2登頂に成功した小松由佳さん。その翌年(2007)に、偶然にも小松さんの講演を聴く機会がありました。冷蔵庫大の氷塊が頭上に落ちてくるような命懸けの登山経験談に、彼女の好奇心の旺盛さと芯の強さを感じました。
小松さんはその後、東南アジアを旅し、風土に根ざした人の営みに魅せられ写真家に転身。2012年からシリアの内戦・難民を取材し続け、同年にシリア人男性と結婚し2児の母となります。
「アラブの春」の影響で、シリアでも民主化運動が拡大するも、アサド政権は徹底して弾圧。シリアの独裁政権は崩壊せず長く内戦が続き、700万人もの難民を生み、15万人もの民間人が虐殺されまし -
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K2を日本人女性として初登頂した著者による半生の物語。
主にシリアでの取材体験から始まり、その後に勃発するシリア内戦で苦しむ家族とのやりとりや難民の生活の記述が進んでいく。
著者の感性や文章力は素晴らしく、とても頭が良く行動力のある方なのだとわかる。
国際結婚で深まる文化の違い、それをいかにして乗り越えるか、経済的には恵まれていなくとも精神的には豊かに暮らしていたシリア内戦前のアブドュルラティーフ家族、内戦で多くのものを失っても強く生きようとするシリア難民、日本は相対的に経済的には恵まれているが本当に日本人は豊かなのか、多くのことを考えさせられた。
自分の知らない暖かな生活が簡単に破壊 -
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ネタバレ『ラドワンはシリアで何を見たのだろう。その後、幾度となく尋ねたが、彼は決して語ろうとしない。記憶を封印し、消し去ろうとさえしているようだった。・・・確かなのは、そこで彼が、耐えがたい絶望を経験したことだ。
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「結局、政府軍も反体制派も同じだった」』
NHKで著者である小松由佳さんのインタビュー番組を拝見して、彼女に魅了され、『人間の土地』を是非とも読みたいと想う。しかし、テレビの" 戦争・難民 " などのニュースもあり、心が重く、しばらく頁を開くことができなかった。
だが今は、様々な想いを味わい、涙しながらも読み進めて、本当に良かったと想う。
わたし自身を -
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10年ほど前のことですが
「アフリカ」方面をお得意とする
旅行会社に勤める友達と語ることがあった
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いゃあ 最近の「一人旅」は
断然 女性ですね
荷物一つを背負って
世界の辺境へ旅に出て
面白かったぁ
と 話してくれるのは
今や女性、しかも20代の若い人
いゃあ
いま 世界を股にかけているのは
女性です
という言葉を
思い起こしました
小松由香さんが
そうであったかどうかは わかりません
でも
その実行力、思考力、能動性
そして卓越した問題解決能力
には脱帽です
小松由香さんのような方を
ほんとうの国際人と
言うのでしょう
気持ちがいつも
外に開かれている人は
やはり
素晴らしい -
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すばらしい本だった。
おそらく泣き喚きたくなったであろうことも含め、感情的になりすぎず、ただそこに居合わせた観察者としてまっすぐにシリアを綴っている。作者が何かを分析したり価値づけたりすることがなく、自分の存在の小ささを知る者の謙虚さがにじみ出ている気がした。一方で、その小さな人間一人ひとりが悠久から脈々と受け継いできた大きなものの存在についても語られる。
シリアの砂漠を愛する人たちの姿が目に浮かび、会ったこともない人たちを愛おしく思った。またISISが地元の人たちにとってどんな存在であったかなど、よく伝わってきた。そして、動乱が内戦ではなく革命と呼ばれることなどを、今ミャンマーで同じ言葉を耳 -
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ネタバレTRANSIT VOICE~旅するポッドキャストの#7
を聞いて、小松さんの人生の話に魅了されて購入しました。
全体を通して思ったのは、小松由佳さんの生命力の強さ。ポッドキャストを聞いていても思ったけれど、文章を介して、より彼女のパワーが伝わってくる。
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わたしには同じに思えても、生命に溢れ四季もある砂漠の美しさや、ラクダとの戯れ。お茶や食事をゆっくり時間をかけて囲み、家族や友達とゆっくり休息をとること、「ラーハ」の時間を多くもつ人生を幸福だと捉える、人々の暮らしの様子が鮮やかに描かれていた。
前半の彼らの暮らしが鮮やかだった分、シリア内戦勃発後が余計に辛い。「難民」と -
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まず著者がすごい人。K2登頂だけでもすごいのに、その後の生き方がまたすごい。というか、たまたまシリアに縁ができ、今の夫、夫の家族との付き合いが始まったところにシリアの内戦が始まり、シリアの人々の苦難に沿うことになった。
どう解決するのか、いつ解決するのか、全く見通しが立たない。
遊牧民の大家族の幸せな暮らしが一変してしまったのがとても辛い。
シリア人の一族を通して、シリアの人々のことを考えさせてもらったことに感謝する。今後の家族のこともとても気になる。ものすごく逞しく生きていらっしゃるが、逞しくならなければ生きていけないということでもあるだろう。
何かできることがあるはずだが、とりあえず今はシ -
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本書の冒頭にいくつかの写真が載っている。
著者の家族や移民の人々、廃墟と化したパルミアという街、アサド政権下での収容所。これだけ見ると報道写真のようで、たしかに悲惨さには痛切なものを感じるものの、それだけで読み流してしまうかもしれない。
しかし、本編を読んでいくと、そのような流れに身を任せることを許されなくなる。
写真に映るものの背景が深掘りされていく。そこに映る人々や街には、それぞれの当たり前の人間的な日常があり、そしてそれが破壊されていく過程が延々と描かれる。
読み終えたあとに冒頭の写真を見直すと、ただの報道写真のように見えなくなる。シリアといわれてもあまり想像がつきにくいが、ここで描 -
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シリアの総勢70名の大家族「アブドゥルラティーフ」一家の十二男と結婚された小松由佳さん。
主には日本で暮らされているが、シリアの家族の一員でもあるため、家族から聞いたであろうシリア人の視点で見る国の状況や、それらに対する思い、またどうやってシリアの人々は自分の命を守ってきたかなど、今まで知らなかった視点からのシリアについて書かれた1冊。
またシリアの国自体が、その時々でどんな状況であったのかなども、色々な説明も交えながら書かれているので、「ニュースで聞いたことはあるけど。」程度の知識だった私でも、読み易い感じだった。
正直、シリアの人々がこんな過酷で苦しい状況を過ごしていたのかと思うとショッ