小松由佳のレビュー一覧

  • シリアの家族

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    説得力、迫真性が緊々と伝わるノンフィクション作品。シリアの人々の悲しみが、頁を捲る度に胸に迫りくる。光彩を放つ筆力で、戦場や人間を描く強靭な小松由佳さんに感服。素晴らしい作品に出逢えて嬉しい。
    第23回開高健ノンフィクション賞受賞作。

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    2026年03月08日
  • シリアの家族

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    日本ではあまり馴染みのない国の出来事なので、正直最後まで興味を保てるか少し不安だった。でも、宗教や文化、歴史、政治といった背景がとてもわかりやすく描かれていて、気づけば物語の中に引き込まれ、一気に読み終えていた。命懸けともいえる取材の重みが伝わってくる一冊。著者は写真家になる前に、K2に日本人女性として初登頂した経歴を持つという。その行動力と、危険な状況でも冷静に判断する強さが取材にも生きているのだと感じた。他の著作もぜひ読んでみたい。

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    2026年02月27日
  • シリアの家族

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    ネタバレ

    著者はドキュメンタリー写真家。2006年、世界第2位の高峰K2に日本人女性として初登頂した登山家でもある。

    2008年、彼女は、写真取材で、シリアのパルミラで100頭のラクダを放牧し、半遊牧的生活を送るアブドゥルラティーフ一家と知り合う。

    一家は、4世代、70人近い大世帯。毎年のように一家を訪れる中、2013年には、一家の16人兄弟姉妹の末っ子・ラドワンと恋に落ち、結婚、二人の子どもをもうける。

    シリアでは、2011年から民主化運動が拡大、アサド政権による市民への弾圧に端を発し、内戦状態に突入する。

    ラドワンは徴兵され政府軍兵士になったが、市民に弾圧を加える罪悪感から2012年に政府軍

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    2026年02月24日
  • シリアの家族

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    第23回開高健ノンフィクション賞受賞作。「人間の土地へ」の続編というか完結編。

    シリア難民はイギリスを目指す。ドーバー海峡を渡るのに、パスポートを持ってさえいれば90分35ポンドの安全な道のりのフェリーなのに、難民たちは1000ドル支払い自分達だけで対岸を目指して5時間のボートに乗る。ボートは高い確率で転覆するので、ドーバー海峡の露と消える人もいれば、ようやく着いても難民として認定されるのに1-2年かかる人もいる。子供だけでは家族を呼び寄せることは不可能なのにそれも知らない。

    筆者はその後、夫家族の暮らしていたパルミラの夫の実家跡を訪ねる。日本の外務省からは心配の電話が入り、即時退去をお願

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    2026年02月17日
  • 人間の土地へ

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    数年前にシリアの女性ジャーナリストが制作した映画を見て以来、シリアが気になって本を読んだりしていたので、また新たな発見があり、一気に読み終えました。
    秋田でお父さんが迎えに来てくれたところはジーンときましたし、シリアでは民主主義とはという教育がされておらず、どうすべきかをわからないという意見にはなるほどなあ、と思いました。
    アサド政権が終焉を迎えて、難民が帰還しまた平和な日々を取り戻していくことを願ってやみません。
    ただ、夫が家事育児を分担してくれないのは、私には耐えられない。

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    2026年02月17日
  • シリアの家族

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    ネタバレ

    第23回開高健ノンフィクション賞受賞作.。
    ニュースではアサド政権による毒ガス兵器やロシアによる空爆、ISの残虐な支配など断片的にしか伝わってこないシリアの現状。著者は、写真家として2008年にシリアを訪れ、その後総勢70人の大家族の一員である十二男ラドワンと結婚、その後のアサド政権の弾圧による、自身の家族やシリアの人々の苦難を通じてシリアの状況を描いている。
    「沙漠の薔薇」と謳われたオアシスの街パルミラで幸せに暮らしていた一家は「アラブの春」後のアサド政権による弾圧と内戦により、六男は秘密警察に逮捕され行方不明、一家も難民としてトルコに避難を余儀なくされる。
    著者は2022年9月、「親族訪問

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    2026年02月10日
  • 人間の土地へ

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    とても登頂の難しいK2から帰還したあと、ヒマラヤのシスパーレ登頂を中断してから、作者は写真家として人々の生活を撮るようになった。シリアのオアシス、パルミラには度々足を運び、未来の夫となるラドワンと知りあう。

    アブドゥルラティーフ一家は父と母と16人の子供たちとその子供たちによって構成され、家を建て増し、隣にも家を作って、日々ラクダを放牧したり、乳を絞ったり、料理し洗濯し掃除し、さまざまな日常の会話や噂話などをして平和に過ごしている。しかしそこに内戦が起こる。

    シリアはオスマン帝国から第一次大戦後にフランス領になった。一応独立したものの、クーデターや軍事政権などの時代を経て、ろくな民主主義を

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    2026年02月09日
  • シリアの家族

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     23歳で日本人女性初のk2登頂に成功した小松由佳さん。その翌年(2007)に、偶然にも小松さんの講演を聴く機会がありました。冷蔵庫大の氷塊が頭上に落ちてくるような命懸けの登山経験談に、彼女の好奇心の旺盛さと芯の強さを感じました。

     小松さんはその後、東南アジアを旅し、風土に根ざした人の営みに魅せられ写真家に転身。2012年からシリアの内戦・難民を取材し続け、同年にシリア人男性と結婚し2児の母となります。

     「アラブの春」の影響で、シリアでも民主化運動が拡大するも、アサド政権は徹底して弾圧。シリアの独裁政権は崩壊せず長く内戦が続き、700万人もの難民を生み、15万人もの民間人が虐殺されまし

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    2026年02月02日
  • シリアの家族

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    ネタバレ

     著者に向けた義父の温かい見守り、夫婦間に起きたことなどの身近なことと、シリアで十余年の間起きてきた大きな出来事たちとが、一冊にぎっしり詰まっている。著者の勇気といざという時に発揮される知恵に驚き、また義父の子供たち(夫の兄弟姉妹)が混乱するシリアで守った生き方に感動した。
     海外で拘束されたジャーナリストが帰国した時に巻き起った批判に対して、ダルビッシュが示したものの見方を思い出した。
     素晴らしい本でした。

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    2026年01月31日
  • シリアの家族

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    内戦によって破壊された人生、故郷。
    既視感があるのは震災の報道があるからか?
    でも、人災と天災って圧倒的な違いが。
    共通点があるとしたら、前を向くしかないって事ですかね。

    考えちゃう本でした。

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    2026年01月15日
  • シリアの家族

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    ネタバレ

    2024年12月、半世紀以上にわたり続いたアサド政権が突如として崩壊した。
    本書は、その歴史的転換点の前後を、シリア人の夫を持つ写真家である著者が、自身の立場と経験を通して描き出した記録である。政権崩壊前のアレッポ訪問、ヨーロッパへ向かう難民たちの姿、そして崩壊直後のシリア。日々断片的には報道されるニュースでは捉えられない、人々の生き様が静かだが強い筆致で浮かび上がる。

    取材から帰還した直後、著者を待っていたのは、夫から突然切り出される「第二夫人」の話だった。文化的背景として理解しようと努めながらも、理性では整理しきれない動揺と怒りが率直に綴られている。

    圧巻なのは、政権崩壊直後に著者が訪

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    2025年12月24日
  • 人間の土地へ

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    よかったです。私にあっていました。
    日本とイスラムどちらも譲らないところが良かったです。
    日本は郷に入れば郷に従え。イスラムは宗教を守りたい。ここはお互いに譲らないし、絶対に変えることはできない。ここを歩みよることが大切。

    どんなことにでも当てはまると思う。新しい視点を得ることができる本です

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    2024年07月27日
  • 人間の土地へ

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    K2を日本人女性として初登頂した著者による半生の物語。

    主にシリアでの取材体験から始まり、その後に勃発するシリア内戦で苦しむ家族とのやりとりや難民の生活の記述が進んでいく。

    著者の感性や文章力は素晴らしく、とても頭が良く行動力のある方なのだとわかる。

    国際結婚で深まる文化の違い、それをいかにして乗り越えるか、経済的には恵まれていなくとも精神的には豊かに暮らしていたシリア内戦前のアブドュルラティーフ家族、内戦で多くのものを失っても強く生きようとするシリア難民、日本は相対的に経済的には恵まれているが本当に日本人は豊かなのか、多くのことを考えさせられた。

    自分の知らない暖かな生活が簡単に破壊

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    2024年06月23日
  • 人間の土地へ

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    ネタバレ

    『ラドワンはシリアで何を見たのだろう。その後、幾度となく尋ねたが、彼は決して語ろうとしない。記憶を封印し、消し去ろうとさえしているようだった。・・・確かなのは、そこで彼が、耐えがたい絶望を経験したことだ。
     ・・・・・
    「結局、政府軍も反体制派も同じだった」』

     NHKで著者である小松由佳さんのインタビュー番組を拝見して、彼女に魅了され、『人間の土地』を是非とも読みたいと想う。しかし、テレビの" 戦争・難民 " などのニュースもあり、心が重く、しばらく頁を開くことができなかった。
    だが今は、様々な想いを味わい、涙しながらも読み進めて、本当に良かったと想う。

    わたし自身を

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    2022年12月12日
  • 人間の土地へ

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    世界第2位の高峰K2(標高8,611メートル)に日本人女性として初登頂、その後写真家となり、シリア人と結婚した小松さん。
    夫やその家族との出会い、シリアでの暮らしやアラブ文化、価値観・習慣の違いなど描かれてている。もっとシリアやアラブの事を知りたくなった。
    「当たり前の日常にこそ人の暮らしの本質があると気付かされた。」の言葉が特に印象に残った。

    ★余談ですが、この本が好きな人は「娘は戦場で生まれた」シリア内戦の最中、カメラを回し続けたシリア人女性のドキュメンタリー映画もご覧に下さい!

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    2022年06月17日
  • 人間の土地へ

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    10年ほど前のことですが
    「アフリカ」方面をお得意とする
    旅行会社に勤める友達と語ることがあった

    いゃあ 最近の「一人旅」は
    断然 女性ですね
    荷物一つを背負って
    世界の辺境へ旅に出て
    面白かったぁ
    と 話してくれるのは
    今や女性、しかも20代の若い人
    いゃあ
    いま 世界を股にかけているのは
    女性です

    という言葉を
    思い起こしました

    小松由香さんが
    そうであったかどうかは わかりません
    でも
    その実行力、思考力、能動性
    そして卓越した問題解決能力
    には脱帽です

    小松由香さんのような方を
    ほんとうの国際人と
    言うのでしょう

    気持ちがいつも
    外に開かれている人は
    やはり
    素晴らしい

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    2021年10月21日
  • 人間の土地へ

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    すばらしい本だった。
    おそらく泣き喚きたくなったであろうことも含め、感情的になりすぎず、ただそこに居合わせた観察者としてまっすぐにシリアを綴っている。作者が何かを分析したり価値づけたりすることがなく、自分の存在の小ささを知る者の謙虚さがにじみ出ている気がした。一方で、その小さな人間一人ひとりが悠久から脈々と受け継いできた大きなものの存在についても語られる。
    シリアの砂漠を愛する人たちの姿が目に浮かび、会ったこともない人たちを愛おしく思った。またISISが地元の人たちにとってどんな存在であったかなど、よく伝わってきた。そして、動乱が内戦ではなく革命と呼ばれることなどを、今ミャンマーで同じ言葉を耳

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    2021年08月31日
  • 人間の土地へ

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    ネタバレ

    TRANSIT VOICE~旅するポッドキャストの#7
    を聞いて、小松さんの人生の話に魅了されて購入しました。

    全体を通して思ったのは、小松由佳さんの生命力の強さ。ポッドキャストを聞いていても思ったけれど、文章を介して、より彼女のパワーが伝わってくる。


    _____


    わたしには同じに思えても、生命に溢れ四季もある砂漠の美しさや、ラクダとの戯れ。お茶や食事をゆっくり時間をかけて囲み、家族や友達とゆっくり休息をとること、「ラーハ」の時間を多くもつ人生を幸福だと捉える、人々の暮らしの様子が鮮やかに描かれていた。


    前半の彼らの暮らしが鮮やかだった分、シリア内戦勃発後が余計に辛い。「難民」と

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    2021年06月03日
  • 人間の土地へ

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    まず著者がすごい人。K2登頂だけでもすごいのに、その後の生き方がまたすごい。というか、たまたまシリアに縁ができ、今の夫、夫の家族との付き合いが始まったところにシリアの内戦が始まり、シリアの人々の苦難に沿うことになった。
    どう解決するのか、いつ解決するのか、全く見通しが立たない。
    遊牧民の大家族の幸せな暮らしが一変してしまったのがとても辛い。
    シリア人の一族を通して、シリアの人々のことを考えさせてもらったことに感謝する。今後の家族のこともとても気になる。ものすごく逞しく生きていらっしゃるが、逞しくならなければ生きていけないということでもあるだろう。
    何かできることがあるはずだが、とりあえず今はシ

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    2021年03月08日
  • 人間の土地へ

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    シリア人と結婚した日本人女性の著者が、フォトグラファーとして、またイスラム教に改宗した妻として、シリアの生活や文化、内戦の状況、人々の様子等の体験を記録したノンフィクション作品です。

    共生の為には、価値観の異なる相手のことを理解し、認め、尊重することが大切なんだと思いました。
    それは、シリアと日本のようなあからさまに違う国同士の話だけではなくて、例えば夫婦の小さな価値観の違いについても同じで、お互いの価値観を尊重することで、より良い家庭になれるような気がしました。

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    2021年01月06日