小松由佳のレビュー一覧
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K2を日本人女性として初登頂した著者による半生の物語。
主にシリアでの取材体験から始まり、その後に勃発するシリア内戦で苦しむ家族とのやりとりや難民の生活の記述が進んでいく。
著者の感性や文章力は素晴らしく、とても頭が良く行動力のある方なのだとわかる。
国際結婚で深まる文化の違い、それをいかにして乗り越えるか、経済的には恵まれていなくとも精神的には豊かに暮らしていたシリア内戦前のアブドュルラティーフ家族、内戦で多くのものを失っても強く生きようとするシリア難民、日本は相対的に経済的には恵まれているが本当に日本人は豊かなのか、多くのことを考えさせられた。
自分の知らない暖かな生活が簡単に破壊 -
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ネタバレ『ラドワンはシリアで何を見たのだろう。その後、幾度となく尋ねたが、彼は決して語ろうとしない。記憶を封印し、消し去ろうとさえしているようだった。・・・確かなのは、そこで彼が、耐えがたい絶望を経験したことだ。
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「結局、政府軍も反体制派も同じだった」』
NHKで著者である小松由佳さんのインタビュー番組を拝見して、彼女に魅了され、『人間の土地』を是非とも読みたいと想う。しかし、テレビの" 戦争・難民 " などのニュースもあり、心が重く、しばらく頁を開くことができなかった。
だが今は、様々な想いを味わい、涙しながらも読み進めて、本当に良かったと想う。
わたし自身を -
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10年ほど前のことですが
「アフリカ」方面をお得意とする
旅行会社に勤める友達と語ることがあった
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いゃあ 最近の「一人旅」は
断然 女性ですね
荷物一つを背負って
世界の辺境へ旅に出て
面白かったぁ
と 話してくれるのは
今や女性、しかも20代の若い人
いゃあ
いま 世界を股にかけているのは
女性です
という言葉を
思い起こしました
小松由香さんが
そうであったかどうかは わかりません
でも
その実行力、思考力、能動性
そして卓越した問題解決能力
には脱帽です
小松由香さんのような方を
ほんとうの国際人と
言うのでしょう
気持ちがいつも
外に開かれている人は
やはり
素晴らしい -
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すばらしい本だった。
おそらく泣き喚きたくなったであろうことも含め、感情的になりすぎず、ただそこに居合わせた観察者としてまっすぐにシリアを綴っている。作者が何かを分析したり価値づけたりすることがなく、自分の存在の小ささを知る者の謙虚さがにじみ出ている気がした。一方で、その小さな人間一人ひとりが悠久から脈々と受け継いできた大きなものの存在についても語られる。
シリアの砂漠を愛する人たちの姿が目に浮かび、会ったこともない人たちを愛おしく思った。またISISが地元の人たちにとってどんな存在であったかなど、よく伝わってきた。そして、動乱が内戦ではなく革命と呼ばれることなどを、今ミャンマーで同じ言葉を耳 -
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ネタバレTRANSIT VOICE~旅するポッドキャストの#7
を聞いて、小松さんの人生の話に魅了されて購入しました。
全体を通して思ったのは、小松由佳さんの生命力の強さ。ポッドキャストを聞いていても思ったけれど、文章を介して、より彼女のパワーが伝わってくる。
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わたしには同じに思えても、生命に溢れ四季もある砂漠の美しさや、ラクダとの戯れ。お茶や食事をゆっくり時間をかけて囲み、家族や友達とゆっくり休息をとること、「ラーハ」の時間を多くもつ人生を幸福だと捉える、人々の暮らしの様子が鮮やかに描かれていた。
前半の彼らの暮らしが鮮やかだった分、シリア内戦勃発後が余計に辛い。「難民」と -
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まず著者がすごい人。K2登頂だけでもすごいのに、その後の生き方がまたすごい。というか、たまたまシリアに縁ができ、今の夫、夫の家族との付き合いが始まったところにシリアの内戦が始まり、シリアの人々の苦難に沿うことになった。
どう解決するのか、いつ解決するのか、全く見通しが立たない。
遊牧民の大家族の幸せな暮らしが一変してしまったのがとても辛い。
シリア人の一族を通して、シリアの人々のことを考えさせてもらったことに感謝する。今後の家族のこともとても気になる。ものすごく逞しく生きていらっしゃるが、逞しくならなければ生きていけないということでもあるだろう。
何かできることがあるはずだが、とりあえず今はシ -
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ネタバレ冒頭のヒマラヤ登山の手記がとてもインパクトが強かった。以後も登山活動を中心としたドキュメントになるのだと思ったらそうじゃなかった。
内戦によって住む場所を破壊され、命の危険にさらされながらさまようシリアの人たち。求めるものはモノでもお金でもない家族とのただただ平和な生活。
独裁体制を固持し、民衆を顧みないアサド政権。そこに宗教観の違いや隣接する国の利権、利得に翻弄され続ける国に未来はあるのか。
2025年、アサド政権が崩壊し、状況は一気に変わりつつある。
ただ、このドキュメントはその5年前に書かれているので、重く先の見えない状況下で人々の求めているものは何か。人生で、生きる上で本当 -
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小松由佳(1982年~)氏は、秋田市生まれ、高校時代に競技登山に打ち込み、国体やインターハイに出場。東海大学山岳部では海外遠征も行い、卒業後の2006年に同大学山岳部による世界第2の高峰K2登山隊に参加し、登頂に成功する(女性としては、日本で初、世界で8人目)。植村直己冒険賞受賞。秋田県県民栄誉章受章。その後、アジア各地の人々の日常を撮影するフォトグラファーに転身し、取材地のシリアで知り合った男性と結婚。
本書は、2008年に、シリアのパルミラの近くの沙漠でアラブ人の青年(ラドワン)と出会ってから、シリア内戦に翻弄されながらも、2012年にラドワンと結婚し、日本で2児の母となって生活する現在( -
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シリアの内戦は2011年に始まり現在も続き、泥沼化している。
反政府勢力の戦死・犠牲者数は50万人、難民は400万人以上、国内避難民は760万人とも言われている。アサド大統領の政府勢力はロシアの支援を受けている。反政府勢力は、現在では欧米諸国に支持されていたが、一時はISやクルド人勢力が内戦に参加し、何がどのように戦っているのかも不明確な状態が続いていた時期もあったようである。また、最近ではサウジアラビアを含むアラブ連盟が12年ぶりにシリアの復帰を容認する等、外部の者にはにわかに何がどうなっているのかが分かりにくい状態が続いていると言える。いずれにせよ、シリア国民にとっては大災厄ということであ -
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砂漠といえば、同じ景色が果てしなく続き、どちらかというと「死」のイメージが強かったけど、砂漠と共にある人々の営みや、砂漠が場所によって砂の特性などが違うことを知り感動した。
その豊かな日常が、悪化する圧政、ISの台頭に寄ってどんどん壊されていく様子は、生々しく恐ろしい。
すみ慣れた土地、築いてきた生活を奪われ、コミュニティを壊され、人々はその地を追われ、いつ終わるかわからない移民生活を強いられることとなった。
肉体的な負担はもちろん、精神的なダメージは想像するだけでも耐えがたい。
故郷を思う気持ち強ければ強いほど、その傷も深く、喪失感は計り知れないだろう。そういった点で、原発事故で家族ばらばら -
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K2登頂から、シリアの砂漠地帯で生活を営むベドウィンの生活の様子、それから起きたシリア内戦の様子やまたその渦中の人々、そしてベドウィンの旦那さんとの結婚までの筆者のストーリーと彼女が経験したことがつづられていた。
この本を読んで筆者の小松由佳さんは本当にタフな人だなあと思った。自ら危険と隣り合わせの環境(K2登山やシリア内戦下での取材)に入っていけることがすごいと思った。なかなか普通の人が経験できないこと本を通して知ることができてよかったと思う。特にシリア内戦の悲惨さ、またそれに翻弄される人々の悲しみや絶望の気持ちをより自分と近くに感じることができたと思う。
やはりこのような戦争の状況をなる -
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ネタバレ「君はそう書かれていたらそのまま信じるのか?」
「今日は泊っていきなさい」=別れの挨拶
パルミラ遺跡の盗掘
先陣が残したものを見つけて生活の糧にする
シリア、
この国では先に警察を味方につけたほうが正義になる。 真実ではなく利益。
軍隊でも。秘密警察でも。
賄賂で自由と安全を買う。
越境ビジネス 2万円≒シリアの平均月給
ゆとりの時間ラーハが人生の価値
自給自足の放牧業 食費は収入の1/10
税金は払わない、電気水道は自分で引く
医療費教育無料、ガス石油資源豊富、
ハラール
神に許された屠畜か? ≠日本の肉 =すべての魚
IS
無差別空爆を行う政府軍とは異なり解放を