須田慎一郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「サラ金」。なんとイメージの悪い言葉であることか。
多くの悲劇がこのビジネスのもとで演じられた。
「消費者金融」と言い直してもそのビジネスのもついかがわしさが薄らぐことは無いように思える。
そうであるにもかかわらず、現在もこのビジネスモデルは、大資本のもとで堂々と運営されている。
本書は、その実態を「悪魔的ビジネスモデル」と断言しているが、まさにそのとおりと思えた。
本書は2006年の発行であるから、「小泉改革」による格差拡大を背景とした「社会民主主義」的視点からの告発の書なのだろうが、現代社会の一面を端的に指摘していることは間違いがない。
ただ、業態を告発する内容が、ちょっと「 -
Posted by ブクログ
消費者金融ビジネスがなぜ時代の寵児となり、そしてなぜ転落したかが簡潔に理解できる一冊。サラ金がなくなるかたヤミ金、というのは短絡的に間違ってはいないものの、その背景やら経緯、銀行という巨大金融機関をはじめとした金融システムの構造的な問題を抜きしてミクロな問題を語るのは難しいということがわかります。
そもそも日々の生活でお金を借りなければならないというのが個人的には理解に苦しんでしまうのですが、そう考えてしまうのはこれまで割と恵まれた人生を歩んできてしまっているが故なのでしょうね。今、格差社会だ何だ言われてますが、別にこれは今始まった話ではないような気が個人的にはしています。そして、「金貸しと売 -
Posted by ブクログ
今更読むのはネタに遅い感があるけど、
基本的なことがまとめられてて読むのに難しくなくてよかった。
足を運んで取材してるところなど(おんな市とか)、面白かった。
そして、悪魔のビジネスモデル、とは言い得て妙だな。と思いつつ。
貸す方を批判する論点にはなってるけど、
個人的にはどっちもどっちという考えは変わらない。
状況的に不幸な人も同情する人もいるんだけれども。
本文の中でもあったけれど、
消費者金融のCMが深夜枠からどんどん上ってきて、
ついにゴールデンや昼間にも放送されるようになったときは
うわぁ、ついにきたなぁと感じたのが思い出された。
なにがついになのかはよくわかってなかったけど。笑 -
Posted by ブクログ
再読本。
この本が書かれたのが2006年。2005年5月に金融庁が立ち入りをして、アイフルに対して国内1900店舗全店の業務停止命令を出した。こんなこと、あったなぁと懐かしく思う。
時代は過ぎて、武富士の破たん、新生銀行=レイクの躍進とこの業界もまた激しく変わっていることを実感させられる。
ヤミ金はヤミ金、それ以外のこうした一般広告をばんばん出す消費者金融に対しての著者の批判姿勢は今も変わっていないの
で好きだ。
やっぱり本書のベストの箇所は、歌舞伎町のクラブで行われる「おんな市」への潜入記事。借金+50万円で売られていく女性たち。しかし、女衒の映画ような勇ましい啖呵もなく(売られる女性も買う -
Posted by ブクログ
消費者金融業界の実態、及びその債務者を負のスパイラルに落とし込むビジネスモデルについて書いてある。
様々なケーススタディと、自らの現場に踏み込んだ経験談(借金苦で売春に走る女性を競り落す)は非常にリアルで、自分にとって衝撃的だった。
消費者金融業界は”儲けすぎた”から自重するべきなのではなく、債務者のどうしようもない心理と状況に漬け込んで、よく理解させないまま金を貸し脅し取り、文字通り債務者を絞るというビジネスがあまりにも非道だからだと思う。
でも、”金利”という仕組みや算数ができないで借りるのも無知だ。エクセルでシュミレーションでもすればいかに自分がだまされているかわかるだろうに。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
格差社会の暗部で、弱者が借金漬けにされている。
デフレ経済下、大手消費者金融会社は低所得者層を貪り、肥大化してきた。
いま、その甘い蜜を求めて大手銀行と外資企業が争奪戦を演じている。
その一方で、多重債務に陥った利用者は、ヤミ金に全てを奪われた挙句、深い闇に沈められる…。
貸し手と借り手の双方に生じている変化を分析し、金融業界と日本社会の地殻変動を克明に描いた渾身のノンフィクション。
[ 目次 ]
序章 消費者金融と格差社会
第1章 サラ金一人勝ち
第2章 悪魔的ビジネスモデル
第3章 多重債務者三五〇万人時代
第4章 下流喰いの深淵
第5章 庶民金融の虚実
第6章 何が必要な