倉部史記のレビュー一覧
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ネタバレ国公私立大学のあるある話、耳の痛い話など、あーそうそうと日頃感じていることが言葉になっていて、もっと深く考える材料になりました。
以下、特に気になった言葉(〇)と私の考え(■)です。
〇利益最大化というわかりやすい経営指標がある民間企業に対し、ミッションが複雑な非営利組織
■多様な成果をデータで見える化すること、評価軸を決めること、その上でビジネス思考を含めた総合力が必要な組織。
〇担当する職員によっては学生や教員のことを第一に考えた価値あるアウトプットが生まれます。そうでない職員が担当すれば本当に最低限の、悪い意味でのお役所的な手続きになります。
■前年踏襲意識は劣化コピーになる。守ろうとす -
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とてもリアルでした。
私は他業界から大学に転職してきましたが、同僚の教職員の目的意識のなさにもどかしさや脱力感を感じることが多くあります。大学職員なんてこんなもんかと思ってしまっている部分も少なからずあります。その雰囲気もリアルに記されている一方で、全国の大学に危機感や使命感を持って前向きに取り組んでいる職員が多くいることも描かれており、なかなか励まされました。
業界としての課題は多いし、世間でイメージする人がいるように甘い部分があることも否定できないと思いますが、かなりやりがいのある仕事だと思います。
だから、仮に私のキャリアが脅かされることになるとしても目的意識を強く持った優秀な人にどんど -
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志願者数を多くすることばかりを大学側は考えるために、あえて「中身を伝えない」という戦略を取っているという事実を紹介し、よりよい学部選びはいかにしてなされるべきかを提案する本。そういう意味では高校生や高校教員向けの本であると言える。
特に「同じ学部名称でも、内容には違いが」という章は、非常に参考になる。例として「環境情報学」が挙げられているが、学問分野自体が未成熟なものについては、注意が必要、ということが分かる。関係ないけど、最近マンションの広告をよく見ているが、全然内容を伝えないけど言葉の響きは格好がいいようなイメージ先行型の広告が多い気がするが、学部の名前も同じようなものらしい。「『国際 -
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大学プロデューサーの著者による、昨今の大学事情解説。高校生の進路選択のための情報提供という位置づけだが、結局は「最近は大学も学部もたくさん増えてるけど、学部名の雰囲気とかで選ぶんじゃなくて自分で良く考えなよ」ということになってる。だから本書は目の前に受験を控えた高校生の進路選択にに大して役立たないだろう。しかしそれよりも本書で語られている、日本の大学の歴史とか、最近の状況、入試における志願者数至上主義、訳分からん学部が乱立する事情などの問題点など、そして著者の考える大学教育への提言が参考になって面白かった。
アメリカの大学のことも実はこれまでよく知らなかった。本書によると、アメリカの大学は建国 -
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私の子供はまだ小学生だが、これから高校、大学と進路を考えて行く上で、大変参考となる内容だった。今の進路指導やキャリア教育について私が漠然と感じていたことを明快に言葉にしてもらえたと爽快感と同時に、自分が大学に進学するときと同じように考えてはいけないほど、社会は激変しているのだということも痛感させられた。私の子供が大学に進学する頃にも、さらに大学や日本を取り巻く環境はまったく変わっていることだろう。その時に、旧態依然とした進路選択でもなく、かと言って流行を追ったり美辞麗句に惑わされることもなく、子供としっかり向き合って、進路を考えていくサポートができたらと思う。
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ネタバレ≪目次≫
はじめに
第1章 間違いだらけの学部選び
第2章 なぜここが「看板学部」なのかー(1)伝統の看板
第3章 なぜここが「看板学部」なのかー(2)期待の看板
第4章 「看板倒れ」はこうして生まれる
第5章 看板に映る時代の変化
第6章 これからの学部選びを考えよう
あとがき
≪内容≫
タイトルで損をしている、というか、このタイトルでは高校生やその保護者、高校教員はなかなか手に取らないと思う。第1章、第6章は、高校生に是非読ませた内容なので[学部学科選びをする際に、文系理系(学校側の事情)、学部学科名(大学側の事情)に引っ張られることなく、きちんと調べる、学問に触れる、社会人 -
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大学をテーマにした本は多いが、非常に有益な本である。著者は、大学職員から予備校に転じた異色の経歴の持ち主で、学生を送る側と入れる側の両方の立場をよく知っている。この間に横たわるある種の(とりわけ生徒にとっての)不合理を熟知しており、またその不合理が生まれる理由についてもよく理解しているので、こうした問題の背景が実にクリアになる。
著者はまた日本だけでなく外国の大学教育にもアンテナを広げている。最近の日本の大学では、アメリカのやり方を取り入れるのがブームになっているが、それが必ずしもうまくいかない理由を、日米の企業システムの違いから説明した個所はとくに面白い(第4章117ページあたりから)。