あらすじ
かつては、どの(総合)大学にもあった「文学部」の存在が薄れつつある。いっぽう、文学部の内・周辺・隣接には、次々と新学部・新学科が誕生している。「総合人間学」「国際教養情報学」「文化構想学」「コミュニケーション学」「人間学」など、耳慣れない名称の学部・学科がふえている。「文学部」では、学生が集まらないのか? 文学部卒業は就職に不利なのか? 大学はどのように受験生を集めるのか? 学生・父兄は、大学に何を求めているのか? そもそも大学の役割とは? さまざまなアプローチから、「文系」大学の現状と未来を伝える。
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Posted by ブクログ
著者が内部に居たこともあり,かなり正確に現在の大学の問題点を捉えている.
弱小私立大学(特に文系)教職員全員必読の書.
ただ,聞く耳を持たない人には何も響かないのだろうけれど.
そして,そういう人が多いのもまた大学.
増えすぎた大学は淘汰されていくしかないのだろうな,残念なことではあるが.
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教育関係者は必読。著者は、早稲田塾総合研究所研究員。高校~大学教育と環境の過去・現在・未来について、知見を述べている。時代の流れによる構造的な変化踏まえて、大学のこの先を示唆している。
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タイトル『文学部がなくなる日』に対応するのは第2章のみ。他は変わっていく大学に関する話なので、タイトルと内容の不一致を感じた。
ただ肝心の内容に関しては頷かせられるものばかりで非常によかった。「偏差値」「就職実績」ではなく大学の「中身」を見て進学先を決める、当たり前のように見えて高校生には難しいが、重要なことである。
大学のみならず、中学や高校の教育関係者に読んでほしいのはもちろんだが、大学受験を考える中高生やその保護者にも読んでほしい一冊。
Posted by ブクログ
大学をテーマにした本は多いが、非常に有益な本である。著者は、大学職員から予備校に転じた異色の経歴の持ち主で、学生を送る側と入れる側の両方の立場をよく知っている。この間に横たわるある種の(とりわけ生徒にとっての)不合理を熟知しており、またその不合理が生まれる理由についてもよく理解しているので、こうした問題の背景が実にクリアになる。
著者はまた日本だけでなく外国の大学教育にもアンテナを広げている。最近の日本の大学では、アメリカのやり方を取り入れるのがブームになっているが、それが必ずしもうまくいかない理由を、日米の企業システムの違いから説明した個所はとくに面白い(第4章117ページあたりから)。
大学入試にしても、企業の採用システムにしても、一部分だけを批判することはたやすい。しかし、本当に大事なのは社会全体のシステムの違いを意識しながら評価を行うことであり、そこまで論じている本は意外に少ないのが現実だと思う。
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元大学職員の教育プロデューサーがまとめた「大学のいま」。
入試制度の移り変わりや高校生と大学との出会いの場を作る取り組みなど、入試にフォーカスした形で大学の今を伝えている。
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大学の現状が書かれている。
大学関係者もさることながら、高校の先生や保護者の方にも読んでいただきたい。
「学力」とは何か、「財の独立なくして学の独立なし」というフレーズに特に共感を覚えた。
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一読して「息子に読ませたい」と思ったけれど、親が読ませたい本を子は読みたがらないものです。「これだけは読まない方がいい」と言って勧めてみようかと思います。
なかでも、自分がこの会社『に』何ができるか、自分ならこの会社で何ができるかを考える人を、企業は採りたいのだ、という話がよかったです。
自分『に』何かを与えてくれる会社を探したってありはしないと、多くの大学生が気付かぬまま就職活動に入っています。自分の周りの大学生と、この本の話をしたいものです。
Posted by ブクログ
大学全入時代到来と共に、学生集めに奔走する現代の大学。目を引くような珍しい学科名や、資格取得・就職を重視したカリキュラム…。
“求める人材”やそのための入試システムをきちんて確立せずに広報活動の一貫としての形式だけのAO入試は、“勉強しない生徒”を増やす一方であるそうです。AO入試批判か多い中、明確な学生像を掲げるSFCはAO入試の学生の方が優秀なのだそう。それはSFCでは単に試験をクリアすることが優秀と言うわけではないからであり、それを入試や教育に反映させているからだそうです。
大学側はPR活動を行う前にビジョンを固めること、学生側は自分がやりたいことをしっかりと考えること、それがまず第一歩だそうです。
自分は、恵まれた環境で勉強できたと改めて思いました。でも、やはりそれは高校時代に進路を悩んだからであり、研究したいことを追求したからであり、そのために積極的に動いたからだとも思いました。
Posted by ブクログ
多くの大学が看板の掛け替えをしている状況中、文学部という看板は変えるべき?
哲学、美学、歴史、心理、文学、語学、さまざまな視点から人間を考える学問であることや、人文科学を学びたいという学生は減っていない(今後も減らない)と想定するなら、私は変えなくても良い(このままの形でいくことが新しい文学部の在り方)と感じた。
筆者がいう、シニア層についても、文学部という特性上、取り組んでいかないといけないことなんでしょう。
Posted by ブクログ
大学の抱える問題、特に”全入時代”における入学試験の課題と、大学の存在意義の課題がコンパクトにまとまった本。
タイトルはこんな感じになっていますが、この出版社に「○○がなくなる日シリーズ」というのがあるそうで、無理矢理付けた感じがあります。文学部のことは、あくまでも上記課題の一つとして取り上げられています。
一般的にはあまり馴染みの無い、大学の抱える課題について、読みやすく書かれていると思います。