ミスター高橋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「本当に強い、”いかにも強そう”と思わせる演技力を含めてファンに納得させる力、その力を兼ね備えたエンターテインメント、それが今後のプロレス復活に必要不可欠な条件ではないだろうか」
新日本プロレスが斜陽に入った2001年に本書は出版された。”すべてのプロレス”と名打っているが、内容は当時の新日本プロレスに対するアンチテーゼである。
本書を遡ること2年前の1999年、当時のWWFは株式上場に伴い、プロレスに筋書きがあることを全米にカミングアウトした。
「プロレスは作りものだということを、WWFは堂々と公言したことになる。」
「それが出来たのは、彼らが本当のプロフェッショナルだったからだ。スポーツか芝居かわからん、中途半端なバタバタではなく、完成されたショーを全米の何百万もの人に提供しているのだ。」
それに引き換え、新日本プロレスは
「群雄割拠というよりは、ドングリの背比べ、秀でたものが見当たらず、また秀でる可能性のある若者を引き出そうともしていない。そして、みんなのギャラが少しずつ上がっていき、おまけに体も動かぬベテランも高給を取り。これでは改革も進まない特殊法人や役所と変わらないではないか。」
「会社がレスラーの引退に寛容なのは実ははっきりした理由がある。たぶん、この本が出ればその理由は意味をなさなくなるのだが、要するにプロレスの秘密を世間に暴かれるのが怖いためだ。」
著者が長年近くで仕えてきたアントニオ猪木に対しては
「猪木さんはさも自分がやってきたことを受け継がせるようなポーズえ、弟子には全く違う戦いをやらせている。」
と批判する。その理由は、過去の異種格闘技戦で、ブックがなかったのは、アリ戦とペールワン戦のみだったからである。
しかし、アントニオ猪木に対しては批判というより、むしろ長年つかえてきて驚嘆する記述が多い。
ペールワン戦では
「ふだんリング上で過激な芝居を演じている千両役者の猪木さんが、まさに死の恐怖すら漂う真剣勝負に臨んで勝ったのだ。」
雪の札幌事件も直前に猪木の意志が入ってのこと。おかげで藤原喜明はブレイクを果たした。そして、第1回IWGP決勝の失神事件も、
「これは猪木さんが意外な結末をリアルに演出し、それによってIWGPとホーガンの価値を高めようとする仕掛けだということが分かった。」
引退後の橋本小川戦についても、
「橋本が怖くてそうしたのではなく、ぬるま湯につかった新日本に活を入れ、緊張感を取り戻したい意図だったのだろうとみている。」
例えて言うと、アスワンダム建設前のナイル川の洪水のようなものだ。毎年大被害を出すが、その後肥沃な土地に生まれ変わらせて作物を実らせる、といったことを繰り返してきたのだ。
しかし、それは新日本プロレスの創立者であったこと、1970年代から80年代にかけてだからできたことで、永続できるものではないだろう。新日本プロレスがまた隆盛を誇るにはどうすればいいのか?だからこそ、著者は本書を書くことに踏み切ったのだろう。
本書が出版された時には、新日本プロレス、プロレスメディア、ファンもそっぽを向き、批判も沢山受けていた。しかし、本書でのマッチメーカー時の裏話、新日レスラーを評したことなど、その内容には興味に事欠かず、その記述はプロレス愛に満ちている。
本書が世に出た10年後、新日本プロレスどころかプロレス界全体が本当に危ない状態にまで追い込まれてしまった。新日本プロレスはじめ業界やプロレスメディアは、公式声明として未だにプロレスの筋書きの存在を認めていない。しかし、残った外道、ライガー、中邑真輔、棚橋弘至たちが、新たな親会社ユークス、ブシロードとともに新日本プロレスの構造改革を断行し、業績のV字回復をきたした。その構造改革の根本は、本書のアンチテーゼであったことは間違いない。 -
購入済み
やっぱりプロレスは面白い
やっぱり面白いなぁ…プロレス。
観るより、やっている側は楽しかっただろうな。こんなビジネス他には無いですね。
でもやっぱり「仕掛けを見えない所で」工夫して「お客を欺く」からあれだけ盛り上がったんではないでしょうか?
そういう行為に罪悪感を持っていた人達も内部にはいたんですね。
最強を知りたくて観ていた僕らの世代は、当然格闘技に流れていくし、ショーとして観る人は、新しいお客さんですね。
僕は上手いより、強いを観たかった気もしますが、観戦の仕方は人それぞれ。 -
購入済み
ショービジネスが学べる本
数年前、この本を初めて読んだとき
プロレスラーは強いだけではなく
頭もいいんだなあと、感心した記憶があります。
興行会社とは何か。
ショービジネスとはどうあるべきなのか。
観客を喜ばせるためにはどうすればいいのかなど
非常に学ぶことが多かったです。良書です。 -
Posted by ブクログ
潰し合いや脳天落下乱発、凱旋帰国してからの前田選手に感じていた違和感を著者と共有出来た。プロレスにしても現在の相撲にしても目先の勝星を得る事にこだわると途端につまらなくなり、そして強さも痛みも伝わらないでしょう。相撲では外国人の大量参入でかただ勝つ事にこだわる傾向が強く、すぐ変化、引きの取り組み連発で力が入るがっぷり相撲はほとんどお目にかかれない。プロレスもUの頃から本当のプロと言うものを考えさせられました。あの当時のナンバーなどで天龍選手が語っていた「ドロップキックは華なんだよ。否定して欲しく無い」とか馬場観などは興味深いものでした。この本での木村先生、坂口選手、長州選手、藤波選手、ルスカ選手に関する裏話は大変面白かったです。
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Posted by ブクログ
本作で一番の見所は「招待券」をバラ巻く一場面である。
営業部長やマッチメイカーがいくら頑張っても拳が売れない。
実際の興行でもある事だが、これを元プロレス界の人間が書いた事に
インパクトがあると思う。
「しょうがない、バラ巻くか・・招待券・・」
「テレビは生中継だし、格好だけでもつけなきゃ仕方ないだろう。
ガラガラのスタンドが映し出されては、地方のプロモーターも不安に思うだろうしな。」
「・・・・背に腹は変えられませんね。」
これが現実なんだろうと思う。現在のプロレス中継をどれだけの人が
見ているかは定かではないが、ガラガラの客席が映ったのを見た事もあるだろう。
実際、盟主と言われた新日本でさえ、最近は空席が目立つ。
NOAHでもそうだ。やはり地方大会や、横浜文化体育館などでは
かなりの空席が目立つ。横浜文体に関してはインディー団体の使用会場
という認識が強いためか、メジャーの大会でもあまり客が入らない。
まさに「背に腹は変えられない」状況の中、プロレス界は頑張っている。 -
Posted by ブクログ
世のプロレスファンに衝撃を与えた、所謂「高橋本」です。
「果たしてプロレスはショーなのか?」という疑問に真っ向から答えたこの本。
内容は皆さん、ご自分でお読みになって下さい。旧来のプロレスファンの方々には、ショッキングな内容が書かれていますので、これを見てプロレスファンをやめる方もいらっしゃるかもしれません。しかし私は、この本の発売によって、日本プロレス界がいい方向に向かうような気がしてきました。著者の文章、そしてプロレス界に対する感想を見て、そう感じました。
ただし!これを読むなら順番があります。
先に「至近距離の真実」を読み、その後に「流血の魔術」を読んで下さい。
そうしないと面白味が半減します。それは読んで頂ければわかるでしょう。
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Posted by ブクログ
プロレスの試合すべての勝敗が予め決まっていることや
流血はカミソリで切っていたことなど
ショッキングな内容が目白押しです。
猪木神話は僕の中で崩壊しました・・・。
ただ、プロレスへの愛情はすごい感じます。
プロレスはキング・オブ・スポーツではなくて
キング・オブ・エンターテイメントを目指せという提言は納得いくし
実際にハッスルなんかはその路線で人気を博してきているので
プロレスの未来を悲観せずに済みそうです。
ハッスルは高田とか小川が明らかに「演じてる」ところが面白い。
割とセメント(真剣勝負)が好きな人たちが参加してるのは
最初から演技だと割り切って楽しんで出来るからじゃないかと思うし
八百長ではなくて究極に鍛えた肉体を使った演技だと思えれば
もっともっとプロレスは楽しく広がるんじゃないかと思いました。
僕は割とエンターテイメントとしてプロレスを見ていたので
逆に違和感がなくなったというか。
プロレスラーが一般人と比べてホントに強いのは分かりきってるし。
藤田のようにPRIDEとプロレスの両方に参加して
自分の中でバランスを取るような選手も出てきてることだしね。
長く深くプロレスを愛してきた人には受け容れ難い本かもしれませんが
逆にプロレスに対しての信仰心を
問われている本でもあるかもしれません。
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Posted by ブクログ
ネタバレプロレスに興味を持ったことはない。
というよりも、苦手である。
辛いのも痛いのも嫌いだし、流血の大惨事なんて見たくもない。
私が子どもの頃、父が時々テレビでプロレスを見ていた。
その姿を見て母は「あんな八百長、どこが面白いんだか。くだらない」と言い捨てた。
もっとも母は、相撲も巨人戦も八百長だと言い張っていたけれど。
で、この本を読んで、やはりプロレスは母の言うところの八百長だったということが分かった。
ただし、楽な試合をするための、または星のやり取りのための八百長ではなく、ファンの見たい姿を一番効果的に演出するための、ストーリーなのだそうだ。
強い選手を見たい。
これはファンの心理の第一だろう。
しかし、強ければそれでいいのか。
最初からマックスに力を出し合うということは、山場が一番先に来るということで、実は盛り上がらないらしい。
そして、選手の置かれた立場や抱えた鬱屈などを演出し、選手の背景を作り、ストーリーに沿った戦い方をする。
それによりファンは選手に感情移入することができる。
もちろんだらしない試合をすれば、ファンは簡単にそっぽを向くのだが。
これってつまり、ドラマの出来に一喜一憂するテレビ好きとか、アイドルおたくなんかとあまり変わらないってことなのかもしれない。
著者は新日本プロレス(アントニオ猪木のところ)と深くかかわっていた人のようで、猪木の長所や短所や短所や短所が多く書かれているが、ジャイアント馬場については深い尊敬の念を感じられる。
“「プロレスという興行は、地方地方を回り、テレビで知っている顔の選手がテレビで見たことのある技を出すのをファンに見てもらう。そんな仕事なんだ」
馬場さんが一貫して守り抜いた哲学がそこにある。”