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数年前、この本を初めて読んだとき
プロレスラーは強いだけではなく
頭もいいんだなあと、感心した記憶があります。
興行会社とは何か。
ショービジネスとはどうあるべきなのか。
観客を喜ばせるためにはどうすればいいのかなど
非常に学ぶことが多かったです。良書です。
Posted by ブクログ 2019年10月26日
「本当に強い、”いかにも強そう”と思わせる演技力を含めてファンに納得させる力、その力を兼ね備えたエンターテインメント、それが今後のプロレス復活に必要不可欠な条件ではないだろうか」
新日本プロレスが斜陽に入った2001年に本書は出版された。”すべてのプロレス”と名打っているが、内容は当時の新日本...続きを読むプロレスに対するアンチテーゼである。
本書を遡ること2年前の1999年、当時のWWFは株式上場に伴い、プロレスに筋書きがあることを全米にカミングアウトした。
「プロレスは作りものだということを、WWFは堂々と公言したことになる。」
「それが出来たのは、彼らが本当のプロフェッショナルだったからだ。スポーツか芝居かわからん、中途半端なバタバタではなく、完成されたショーを全米の何百万もの人に提供しているのだ。」
それに引き換え、新日本プロレスは
「群雄割拠というよりは、ドングリの背比べ、秀でたものが見当たらず、また秀でる可能性のある若者を引き出そうともしていない。そして、みんなのギャラが少しずつ上がっていき、おまけに体も動かぬベテランも高給を取り。これでは改革も進まない特殊法人や役所と変わらないではないか。」
「会社がレスラーの引退に寛容なのは実ははっきりした理由がある。たぶん、この本が出ればその理由は意味をなさなくなるのだが、要するにプロレスの秘密を世間に暴かれるのが怖いためだ。」
著者が長年近くで仕えてきたアントニオ猪木に対しては
「猪木さんはさも自分がやってきたことを受け継がせるようなポーズえ、弟子には全く違う戦いをやらせている。」
と批判する。その理由は、過去の異種格闘技戦で、ブックがなかったのは、アリ戦とペールワン戦のみだったからである。
しかし、アントニオ猪木に対しては批判というより、むしろ長年つかえてきて驚嘆する記述が多い。
ペールワン戦では
「ふだんリング上で過激な芝居を演じている千両役者の猪木さんが、まさに死の恐怖すら漂う真剣勝負に臨んで勝ったのだ。」
雪の札幌事件も直前に猪木の意志が入ってのこと。おかげで藤原喜明はブレイクを果たした。そして、第1回IWGP決勝の失神事件も、
「これは猪木さんが意外な結末をリアルに演出し、それによってIWGPとホーガンの価値を高めようとする仕掛けだということが分かった。」
引退後の橋本小川戦についても、
「橋本が怖くてそうしたのではなく、ぬるま湯につかった新日本に活を入れ、緊張感を取り戻したい意図だったのだろうとみている。」
例えて言うと、アスワンダム建設前のナイル川の洪水のようなものだ。毎年大被害を出すが、その後肥沃な土地に生まれ変わらせて作物を実らせる、といったことを繰り返してきたのだ。
しかし、それは新日本プロレスの創立者であったこと、1970年代から80年代にかけてだからできたことで、永続できるものではないだろう。新日本プロレスがまた隆盛を誇るにはどうすればいいのか?だからこそ、著者は本書を書くことに踏み切ったのだろう。
本書が出版された時には、新日本プロレス、プロレスメディア、ファンもそっぽを向き、批判も沢山受けていた。しかし、本書でのマッチメーカー時の裏話、新日レスラーを評したことなど、その内容には興味に事欠かず、その記述はプロレス愛に満ちている。
本書が世に出た10年後、新日本プロレスどころかプロレス界全体が本当に危ない状態にまで追い込まれてしまった。新日本プロレスはじめ業界やプロレスメディアは、公式声明として未だにプロレスの筋書きの存在を認めていない。しかし、残った外道、ライガー、中邑真輔、棚橋弘至たちが、新たな親会社ユークス、ブシロードとともに新日本プロレスの構造改革を断行し、業績のV字回復をきたした。その構造改革の根本は、本書のアンチテーゼであったことは間違いない。
やっぱり面白いなぁ…プロレス。
観るより、やっている側は楽しかっただろうな。こんなビジネス他には無いですね。
でもやっぱり「仕掛けを見えない所で」工夫して「お客を欺く」からあれだけ盛り上がったんではないでしょうか?
そういう行為に罪悪感を持っていた人達も内部にはいたんですね。
最強を知りたくて観てい...続きを読むた僕らの世代は、当然格闘技に流れていくし、ショーとして観る人は、新しいお客さんですね。
僕は上手いより、強いを観たかった気もしますが、観戦の仕方は人それぞれ。
Posted by ブクログ 2015年11月09日
知っている人は知っていることばかりなのだろうが、ここまではっきりと書いてもらうと、気持ちがいい。純粋に面白かった。
屈強な男たちが毎試合ガチンコで勝負したって、体がもつわけないし、選手寿命が短くなり興行として成立しないだろう。ガチンコ系の格闘技が、一時的なブームにしかならなかったのもわかる気がす...続きを読むる。プロレスは、エンターテイメントに徹してきたからこそ、それなりに続いてきたのだろう。
亡くなった祖母が、アントニオ猪木やタイガージェットシン、アナウンサーは古館伊知郎時代のプロレス中継が大好きだったのを思い出した。小学生の自分もそばでいっしょにテレビを見ていて、確かに面白かったのだ。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
世のプロレスファンに衝撃を与えた、所謂「高橋本」です。
「果たしてプロレスはショーなのか?」という疑問に真っ向から答えたこの本。
内容は皆さん、ご自分でお読みになって下さい。旧来のプロレスファンの方々には、ショッキングな内容が書かれていますので、これを見てプロレスファンをやめる方もいらっしゃるかも...続きを読むしれません。しかし私は、この本の発売によって、日本プロレス界がいい方向に向かうような気がしてきました。著者の文章、そしてプロレス界に対する感想を見て、そう感じました。
ただし!これを読むなら順番があります。
先に「至近距離の真実」を読み、その後に「流血の魔術」を読んで下さい。
そうしないと面白味が半減します。それは読んで頂ければわかるでしょう。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
プロレスの試合すべての勝敗が予め決まっていることや
流血はカミソリで切っていたことなど
ショッキングな内容が目白押しです。
猪木神話は僕の中で崩壊しました・・・。
ただ、プロレスへの愛情はすごい感じます。
プロレスはキング・オブ・スポーツではなくて
キング・オブ・エンターテイメントを目指せという提言...続きを読むは納得いくし
実際にハッスルなんかはその路線で人気を博してきているので
プロレスの未来を悲観せずに済みそうです。
ハッスルは高田とか小川が明らかに「演じてる」ところが面白い。
割とセメント(真剣勝負)が好きな人たちが参加してるのは
最初から演技だと割り切って楽しんで出来るからじゃないかと思うし
八百長ではなくて究極に鍛えた肉体を使った演技だと思えれば
もっともっとプロレスは楽しく広がるんじゃないかと思いました。
僕は割とエンターテイメントとしてプロレスを見ていたので
逆に違和感がなくなったというか。
プロレスラーが一般人と比べてホントに強いのは分かりきってるし。
藤田のようにPRIDEとプロレスの両方に参加して
自分の中でバランスを取るような選手も出てきてることだしね。
長く深くプロレスを愛してきた人には受け容れ難い本かもしれませんが
逆にプロレスに対しての信仰心を
問われている本でもあるかもしれません。
Posted by ブクログ 2015年02月17日
読んでしまった。とうとう読んでしまった。この本が出版された時見て見ぬふりをしてきたというのに。知りたくなかったな。でもまだ当時の全日は少し違ったんじゃないかと思おうとしている自分がいたりもする。
Posted by ブクログ 2014年12月15日
プロレスがエンターテイメントであること、そのエンターテイメントをどのように作ってきたかを白日のもとに晒してくれる。
色々なキャラが適材適所で働いてこそ組織が生きてくるのは、どこの職場においても当てはまるのだ。