西部邁のレビュー一覧

  • 保守の遺言
    思想はもちろんのこと、培われた環境、思考法、引いてくる言説。全く異なる、いや世間的にはむしろ真逆からのアプローチであるにも関わらず、なんと斎藤幸平の「人新世の資本論」とさらに宮台真司と結論をほぼ同じにしている。

    これはいつか訪れるであろうユートピアを夢想するものの共通概念。全く難解なことではない。...続きを読む
  • 保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱
    BSフジのプライムニュースに出演していたことから著者を知る。圧倒的な知識量と思考に感銘。自死を選択した方だがもっとテレビで直接話を聞きたかった。
  • 六〇年安保 センチメンタル・ジャーニー
    2018年初頭に入水自殺した60年安保世代のセンチメンタルジャーニー。同時代のブント同志諸氏への追悼文。
    一読した印象で強く感じたのは、著者が60年安保闘争に関わったのは東大入学直ぐの教養部時代であり、本郷のブント中心部とのズレがあり、教養部手握の必要性から行動左翼的に運動に関わっている。このあたり...続きを読む
  • 保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱
    時代を象徴する長文の遺書。

    読み始めて思いました・・・
    「これは絶筆宣言だよね。それを新書で出すとは・・・」
    否、多くの読み手を考えて(私のような貧乏人も居る)
    敢えて新書版として出されておるのだ・・・等と。
    気合の入り方が違うがな・・・当初より自死を予定していらっしゃいますがな・・・
    手書きがも...続きを読む
  • 昔、言葉は思想であった 語源からみた現代
    西部先生はこの本でケリをつけました。

    それは近代という時代を懐疑せず、
    でたらめな妄言を吐き続けてきた知識人に対してです。

    西部先生は、この本で言葉の正当な意味を示し、
    いかに現在使われている知識人の言葉が
    社会に混乱を引き起こしているかを明らかにしています。
    これまで知識人が妄想し設計してきた...続きを読む
  • 14歳からの戦争論
    本書における、本質を突いた提言には圧倒されて、読み終わった後、しばらくの間無心。
    日本人の平和ボケに関して、常に言及していた著者が、軍隊において日本人が本質的に抱える欺瞞を鋭く批判。
    国際情勢や、アメリカ自由主義の矛盾、日本国民の卑屈さについて、理論的に解説。
    14歳の時にこんな本があればなと、30...続きを読む
  • 難局の思想
    外国の方の話は私には少し難しかったけれど、司馬遼太郎については、私が今までに思っていた通りのお話で、溜飲が下がる思いで読みました。この章を読めただけでも この本を読んで良かった!皆さんにもぜひ読んでほしい。
  • エコノミストの犯罪 「失われた10年」を招いたのは誰か
    著者の作品は奥が深く、毎回驚かされます。

    現在のエコノミストなどの無責任な発言をあらゆる角度から批判しています。
    著者は組織の重要性についても言及している。
    普通なら組織のことを考えて行動するから、昨今起こっている危機は単なるブームから起こったものである。
    リスクとクライシスは異なる意味を持ち、ク...続きを読む
  • 妻と僕――寓話と化す我らの死
    夫婦という具体的なものと、思想という抽象的なものを適宜往復して語られている。前著『寓喩としての人生』の夫婦版、と言える(ちなみに副題は「寓話と化す我らの死」)。本を書く人が皆こういう本を書いてくれると、著者や著作の信頼性を判断するための格好の材料になるのだが・・・。どちらかといえば熱心な方の読者のつ...続きを読む
  • パール判決を問い直す 「日本無罪論」の真相
    太平洋戦争における東京裁判で連合国側判事にありながら日本の無罪を主著したインド代表のラダ・ビノード・パール判事。靖国神社に併設されている遊就館にも同博士の顕彰碑が建てられている。極東軍事裁判唯一の国際法専門家で、絶対悪とされた日本の戦争犯罪を無罪と言い切った勇気ある裁判官として、保守派から大きく尊敬...続きを読む
  • 保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱
    モダンの訳語は近代的ではなく、「模流」である。明治維新後、日本は西欧を模倣し、社会を築いてきた。それが特に戦後さらに社会に表面化し、ここ30年に至ってはマスメンたちが流されるままに社会を変革してきた。理想を求めれば格差や軋轢が生じ、現実主義ばかりでは自由や権理が埋没する。その間には平衡が必要であり、...続きを読む
  • 保守の遺言
    2018年1月21日に多摩川で入水自殺した西部邁の遺言です。あとがきに2018年1月15日とあるので、自殺の6日前に完成したことになります。本書では、我々がおかれている状況、現代社会、そこに生きる人々、日本の核武装論、憲法改正など、ありのままの言葉で論じられています。目新しいさではなく、過去の発言を...続きを読む
  • 保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱
    日本保守思想界の重鎮。最期の著作となった。Tokyo MX系列の言論番組は大学時代に観ていた唯一少ない番組だ。

    「バランスとは、矛盾せる両方向への姿勢をそれぞれ最高度に保ちつつ、その間に生じる緊張を巧みに乗り越えていくということにほかならない。ここで「巧み」というのは両者を総合する言葉と行為を新た...続きを読む
  • 保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱
    私自身、『大衆への反逆』を読んだ学生時代以来、『ソシオ・エコノミクス』など西部邁さんの著作に親しんできた。 テレビによく登場するようになってからは少し遠ざかったが、明晰で力強い語り口ははっきりと印象に残っている。

    社会科学、なかでも経済学を通して社会を見つめてきたわけだが、なんとでも立論できる社会...続きを読む
  • 保守思想のための39章
    著者の考える保守主義について、原理的な考察をおこなった本です。

    著者によれば、保守主義はただ伝統を形式的に墨守するだけの立場とは異なります。保守主義とは、伝統や慣習のうちに、現在の生の活動にとって重要な平衡の基準を見いだそうとする立場でなければなりません。

    人間は、現在の状況の中で自由に決断する...続きを読む
  • もはや、これまで 経綸酔狂問答
    黒鉄ヒロシ氏と西部邁氏という異色の
    二人の座談集的な本。
    内容が、二人の掛け合いのようで、
    非常に面白いと思います。
    ただ、やはり西部氏の含蓄は非常に
    高尚でときどき難しいところもありますが
    総じて面白い本だと思います。
  • 学問
    チェスタートンなどの人物から「自由」や「権利」など日常生活で目にすることが多い言葉など全119項目について、西部邁氏が1項目2~3頁ほどで解説をしてくれている。とくに「自由」や「権利」など、概念を言語で論理的に説明することが難しく感じる言葉についての説明は、大変勉強になる。
  • 難局の思想
    ケネディの章と、司馬遼太郎&松本清張の章に出てくる、近代主義の考え。いまや使いふるされた「チェンジ」という言葉、人工的な流行、大衆への押し付け。
    なんでもかんでも分かりやすい単純すぎる言葉に集約されがちな今、ブツ切り状態のパーツをつなげて、俯瞰して物事を考えてみるのもいいんじゃないかい?
    ってメッセ...続きを読む
  • 難局の思想
    第1章 田中角栄
    第2章 毛沢東
    第3章 三島由紀夫
    第4章 チェ・ゲバラ
    第5章 ジョン・F・ケネディ
    第6章 親鸞
    第7章 司馬遼太郎と松本清張
    第8章 マイケル・サンデル

    世間一般に流通している見方とは別な角度から、多様な評論を加えています。個人的には異論があるところも多々ありますが、それで...続きを読む
  • 知識人の生態
    [ 内容 ]
    知識人はなぜ既成権力の批判しかしないのか?
    知識人はなぜ大学やマスコミでの権威にかくも固執するのか?
    知識人はなぜ己の発言の過ちにかくも無責任でいられるのか?
    感情を強く単純に刺激する言説にしか反応できなくなった大衆と手を携えて、虚無主義の大海に落ちゆかんとする現代の知識人。
    本書で著...続きを読む