谷崎光のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『北京大学てなもんや留学記』を読んだのをきっかけに、これより先に上梓されていた本書も購入し読破。
本書では、貿易商社(アパレル)に就職し、中国相手に仕事をこなしていく著者が中国人や中国ビジネスと接する中で感じた日本人・日本企業との違い・ギャップへの驚き、彼らの図太さやバイタリティーなどが率直に綴られている。いわゆるビジネス書とは異なり、ここには生の中国が感じられる。
本書「あとがき」によれば、本書原稿も著者が直に出版社に持ち込んだのがきっかけとなって出版化されたものだとか。同じく「あとがき」を読んで、1998年に「てなもんや商社 萬福貿易会社」(主演:小林聡美)として映画化されたことも知った。 -
Posted by ブクログ
本書は、政府関係者や役人、学者、大企業の経営者といったいわゆる知識人などによって書かれたものではなく、一般の女性が中国の北京大学に留学した際に肌で感じた中国国内の経済事情、中国人の政府との距離感やつきあい方、中国人の考え方・心理特性・行動特性など、素の中国が赤裸々に、そしてユーモアたっぷりに綴られており、非常に興味深い。海外育ちの華僑、中国に留学に来たアメリカ人の行動、中国で名門とされている清華大学の学生と北京大学の学生の違いなどについて言及されている点も面白い。
そのため、中国を扱った専門書などの類とは違った新鮮な驚きと発見に満ちあふれている。
ただ、筆者の文体、文章癖もあって読みにくい点も -
Posted by ブクログ
一筋縄でいかない隣国、中国の複雑さがよく伝わってきた。
おおらか、大袈裟、大雑把な国民性。
アメリカを嫌いながらもあこがれる心性。
公の場での発言、行動に、いまも気を使わなければならない政治状況。
(共産党の一党支配はまだまだ続きそうな気がした。)
日本を叩くことで、アイデンティファイできるという空気。
中国の負の側面も、余すことなく語られる(そこが文春文庫に入った所以か?)が、それでも中国に惹かれ、住み続けるとは。
中国に身を置いた人でなければ、ここまで突っ込んで書けないだろう。
私は・・・中国語を長年学びながらも、一生中国に留学なんてできないだろうなあ、と自覚してしまった。 -
Posted by ブクログ
2010/8/5
あー、それわかるわかるとか言いながら笑えます。
でもたまにグッと感動しそうになるところも。
何と言っても王課長のキャラクターが良い。
苦労を勝手でもしてしまう。そしてどこまでも前向き。
ちょっと中国人ぽくない気もしますが愛される性格でしょう。
実際に中国との取引がなく、この本を読んでいる方は少ないと思いますが、本の中のできごとを笑いながら読んでいるのと、実際に我が身に降り掛かってきた時の違いは凄まじくデカイです。
まず身をもって知る。これ大切です。
先日、受講したセミナーの講師も言ってました。
「中国はトップみずからその足で市場を見てこそうまくいく」
そしてこの本の中にも -
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北京在住の日本人作家による、日本人技術者の中国での勤務状況や日本の技術の流出について書かれた本。実際に中国で働く日本人技術者や、日本人と中国人のヘッドハンターへのインタビューを中心に、よく調査されていると思う。実態をつかむことができた。
「中国で働く、日本人の車のエンジニアで、年200万元(3600万円)程度の報酬を受け取る人はけっこういる。多いのは150万元(2700万円)程度。これに加えて、高級マンションが用意され、通訳と送迎がつく。年数回の帰国費用も会社が負担する」p18
「機械のエンジニアは育つのに時間がかかる。そして日本人は同じ会社に何十年もいた。技術が継承、蓄積されてきた。ところ -
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中国という国は、不思議な国である。
とめどもなく、発展している。
そこの中にいる中国人。
日本にいる王課長、中国にいる周さん。
ふたりが好対照に書かれていて、
いずれも仕事が好きで、がんばり屋だが、
そこには、身体の中を駆けめぐるものが、
あるような感じである。
中国では、宴会をなぜするのか?
中国の品質管理と日本の品質管理の差が、
カルチャーギャップとして、うまれてくる。
そこで、生き残るには、たゆまない「タフな交渉」なのだ。
「どんなに賢くても知識があっても、ここは戦場なのだ。
観客席から見ているだけの人は向かない。」
「職人気質の日本人は『よいものをつくること』
そのものに喜びを -
Posted by ブクログ
十数年前、ユニクロが中国に進出する前の時代。
作者が、中国企業と国内企業が共同出資して設立した、
国内アパレル商社に勤めていた頃の経験談。
現地で働いた体験がめちゃくちゃでおもしろい。
当時の中国の考え方や価値観、文化、
アパレル商材の品質の低さが見えてくる。
華僑でバリバリ仕事をするタフな上司の王さん、
香港出身でスマートな働き方をする張さん、
現地工場出身で、独立して成功する周さん、
などの登場人物を通じて仕事を考えさせられる。
大阪商人の父親
「お金がないと、恥かく、義理かく、情けかく」
「お金を手に入れるには、稼ぐ、取る、貰うの三つしかない。」
周さんの起業後、
「家でご飯